2022年8月4日、早稲田Wikipedianサークルは、初心者向けウィキペディアレクチャーをオンラインで実施した。このレクチャーは、新たにサークルへ加入した Tsuyako Mitani のために行われた。本稿ではその様子をレポートする。
アカウント作成と利用者ページの編集
まず、ウィキペディアのアカウントについての説明があった。アカウントを作成しないと編集時にIPアドレスが表示されてしまうこと、本名や所属がわかるようなアカウント名は避けたほうがよいこと、日本語版ウィキペディアにおいてアカウントの複数所持は基本的に禁止されていることなどが説明された。
その後、受講者がアカウントを作成する予定であったが、受講者である Tsuyako Mitani は、レクチャーが行われる前に、シェイクスピア研究者の北村紗衣さん(ウィキペディアアカウントは [[利用者:さえぼー]] )が作成した、ウィキペディア編集方法についてのYouTube動画を視聴し、アカウントを作成していた。ただし、利用者ページへの記入は行っていなかったので、サークルメンバーのサポートのもと、簡単なあいさつ文を記入した。
その際、サークルメンバーが「ウィキペディアには、ソース編集とビジュアル編集という2種類の編集方法が存在すること」「インフォボックスなどを表示するためにはソース編集でテンプレートを記入する必要があること」の2点について、実演を交えながら説明した。
五本の柱と三大方針の説明
その後、ウィキペディアの基本的なルールが説明された。具体的には、「五本の柱」と「三大方針」が取り上げられた。
五本の柱
- ウィキペディアは百科事典です([[Wikipedia:ウィキペディアは何ではないか]])
- ウィキペディアは中立的な観点に基づきます([[Wikipedia:中立的な観点]])
- ウィキペディアの利用はフリーで、誰でも編集が可能です([[Wikipedia:著作権]])
- ウィキペディアには行動規範があります([[Wikipedia:エチケット]])
- ウィキペディアには、確固としたルールはありません([[Wikipedia:ルールすべてを無視しなさい]])
三大方針
なお、三大方針の「中立的な観点」「独自研究は載せない」については、五本の柱と重複するため説明が割愛され、「検証可能性」のみ取り上げられた。
これらの説明にあたっては、「最初から全てのルールを把握するのは難しいので、編集を重ねる中で徐々に覚えればよい」「もし疑問があれば、遠慮なくサークルメンバーに質問してほしい」「著作権侵害には注意」という点が強調された。
標準名前空間記事の編集と下書きの作成
ウィキペディアのルールについての説明を受けたのち、Tsuyako Mitani は、実際に標準名前空間の記事を編集した。具体的には、 [[まるもふびより]] の句読点を補った(「初めての編集は簡単な誤字修正が良いだろう」ということで、句読点の欠けている記事をサークルメンバーが事前に探していた)。さらに、利用者ページに下書きを作成し、ビジュアルエディターによる脚注の付け方を練習した。
その後、下書きに作成した記事を標準空間に投稿する方法を実際に示すため、サークルメンバーのEugene Ormandy が [[フルーツサンド]] の記事を投稿した。なお、投稿に際して Eugene Ormandy は「ウィキペディア記事を丸々一本執筆するのも良いが、小規模な加筆や誤字修正も大歓迎」という点を強調した。
(ちなみに、 [[フルーツサンド]] の記事は、東京都の雑誌専門図書館大宅壮一文庫で早稲田Wikipedianサークルが開催したエディタソン WikipediaOYA を機に着手された記事である。そのエディタソンの様子は Diff の記事でも紹介されている)
翻訳記事の作成方法
一通り説明が終了したのち、Tsuyako Mitani より「翻訳記事はどのように作成するのか」という質問があったので、翻訳に際して必要となる「他言語版のソースをコピーし、自分の下書きにペーストする作業」をメンバーが実演し、翻訳の際は参照元の言語版、記事名、版を要約欄で指定する必要があることを解説した。また、詳しくは [[Wikipedia:翻訳のガイドライン]] を参照するよう伝えた。
感想
Tsuyako Mitani は「レクチャーを受けることができて良かった。これを1人で身につけるのは難しそうだ」「今日のレクチャーで学んだことは沢山あった。お腹いっぱいなので後日復習したい」と感想を述べた。
サークルとして、ウィキペディア参入のハードルを下げることができたのは喜ばしい。ただし、情報量は今後の課題であると感じた。初心者の方が情報の多さに圧倒され、「自分にウィキペディアの編集は無理だ」と思うことがないよう、レクチャーの内容を適宜見直すとともに、参加者の興味関心を随時ヒアリングして、「このトピックなら編集してみたい!」と思うような題材を提供していきたいと思う。
また、今回のレクチャーを通して、北村紗衣さんの YouTube動画のありがたさも痛感した。なぜなら、動画を用いてレクチャーの予習・復習が可能となるからだ。実際、数ヶ月前にサークルに加入した Lakka26 も、サークルによるレクチャー・勉強会と、北村さんの動画を通して編集スキルを身につけ、記事を投稿するようになっている。今後は北村さんの動画をより活用し、レクチャー運営を効果的なものにしていきたい。
今回のレクチャーによって、また一人新たなウィキペディアンが誕生したことは、非常に喜ばしい。今後も初心者へのレクチャーや、ウィキペディアンの支援などを行えれば幸いである。