雑誌『みんなの図書館』2023年3月号が、専門図書館で開催されたウィキペディア編集イベントを紹介

図書館をテーマとした雑誌『みんなの図書館』2023年3月号が、専門図書館で開催された2つのウィキペディア編集イベント(エディタソン)を紹介しました。この記事では、当該箇所を引用しつつ、両イベントの運営に携わった筆者が補足を行います。エディタソンに興味のある方や、専門図書館が好きな方のお役に立てば幸いです。

大宅壮一文庫の本棚。Wikimedia Commons [[File:WikipediaOYA 2022-05-28(4) as.jpg]] (Araisyohei, CC-BY 4.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/File:WikipediaOYA_2022-05-28(4)_as.jpg

大宅壮一文庫

1つ目のエディタソンは、2022年5月と同年11月に大宅壮一文庫で行われた WikipediaOYA です。第1回は「パン」、第2回は「スイーツ」をテーマとして開催され、ウィキペディアンと他の図書館の職員が参加しました。イベントの概要を記したプロジェクトページはそれぞれ以下のとおりです。

大宅壮一文庫職員の鴨志田浩さんは、『みんなの図書館』に寄稿した「資料としての商業雑誌と雑誌の図書館・大宅壮一文庫」という記事で、WikipediaOYA を紹介してくださいました。内容は以下のとおりです。

(大宅壮一文庫独自の大宅式分類法について)この検索システムに着目したウィキペディアンにより、雑誌と雑誌記事索引を使ったWikipedia執筆イベントも開催され、執筆にあたって雑誌記事索引をどう利用したかというレポートも公開されている。

鴨志田浩「資料としての商業雑誌と雑誌の図書館・大宅壮一文庫」『みんなの図書館』2023年3月号、22頁

鴨志田さんが言及している「この検索システムに着目したウィキペディアン」は、筆者 Eugene Ormandy のことです。また、「レポート」は、筆者がウィキメディア財団の公式ブログ Diff に寄稿した「雑誌専門図書館の大宅壮一文庫をウィキペディア記事の編集に活用する」という記事のことです。ご紹介いただき、身に余る光栄です。

東京国立博物館

2つ目のエディタソンは、東京国立博物館で開催されたウィキマニア2022東京です。このエディタソンは、東京国立博物館の所蔵品と資料を用いてウィキペディアの記事を執筆することを目的として開催されました。プロジェクトページはこちらです。

東京国立博物館資料館の山﨑美和さんは、『みんなの図書館』に寄稿した「日本・東洋の美術と歴史の専門図書館--東京国立博物館資料館紹介」という記事で、ウィキマニア2022東京を紹介してくださいました。

本年度、初めて Wikipedia の文化財記事執筆のためのエディタソンに会場提供の協力を行いました。特定の列品について、午前中は展示会場観覧、午後は当館で文献等調査を行いながら記事を執筆し、最後に各自成果を発表するというプログラムでした。信頼性のある記事執筆への支援と今後の当館活用につながれば幸いと受けましたが、これは新型コロナウイルス感染症対策による開館制限の休館日で、閲覧室をほぼ貸切状態に出来たことが実現の大きな要因でした。新型コロナウイルス感染症は、臨時休館や各種厳しい制限下での開催を余儀なくされるなど、負の面も多かったのですが、一方で複写料金のキャッシュレス決済導入や今回のような新しい試みへのきっかけにもなりました。当館の場合はその変化も試みも小さいものかもしれませんが、変化への意識を持ち続け、今後も少しずつでもさらに利便性を高め、他の図書館からのレファレンス含め、より多くの方に利用していただけるよう努めたいと思っています。

山﨑美和「日本・東洋の美術と歴史の専門図書館--東京国立博物館資料館紹介」『みんなの図書館』2023年3月号、37-38頁。

まとめ

両エディタソンの運営に携わったウィキペディアンとして、このような記事が公開されたことを大変嬉しく思います。特にウィキメディア・プロジェクト以外のメディアが、ウィキペディアについての動向を取り上げる意義は非常に大きいと感じます。

エディタソン開催にご協力いただいた大宅壮一文庫、東京国立博物館の皆さん、エディタソンに参加してくださった皆さん、そして何より素晴らしい記事を執筆してくださった鴨志田さんと山﨑さんに、改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。