施行ガイドラインは、コミュニティから強い支持を受けました。今後はどうなりますか?

ユニバーサル行動規範(UCoC)のプロセスは、期待の持てる形で展開し続けています。2021年2月にユニバーサル行動規範が理事会によって批准された後、次のステップは施行ガイドラインの内容を特定することを意味しました。2022年3月に施行ガイドラインの草案が実施可能かどうかをコミュニティが初めて投票した際には、過半数からの支持があったものの、ボランティアによって明らかにされた懸念事項に基づき、理事会は施行ガイドラインの一部をさらに検討するよう求めました。この過程を経て、UCoCは「投票者の76%が改正された施行ガイドラインの適用を支持する」という現状に至りました。そのため、ウィキメディア財団理事会は今月初め、全会一致で施行ガイドラインの批准を決議しました。しかし、次に何が起こるのでしょうか?

まず、私たちがこのような段階に至った経緯について見てみましょう。ウィキメディア2030の議論の中で、普遍的な行動規範について、繰り返し話題に上りました。世界の知識を構築するためには安全、ハラスメント、そして必要な協力についての理解を深めることが必要で、それは人と知識の両方を包含する未来を意味をすること。多様な価値観と視点を持ちグローバルに分散したコミュニティ全体で許容される行動を特定することは、困難であることは分かっていても、克服できないものではないということ。ウィキメディア運動の各方面から集まったコミュニティは、文脈や既存の地域方針のみならず、施行や問題解決の仕組みに敬意を払いながら、UCoCを作成することになりました。

理事会がUCoCを批准した後、次のステップとして、行動規範の方策となる執行枠組みを作成することになりました。施行ガイドラインの策定プロセスは、2021年2月に始まりました。政策立案とコミュニティ政策の支援と執行に深い経験を持つ委員が集まりました。この委員会は、規模の異なるコミュニティのボランティアと財団のスタッフを含むことにより、私たちの運動におけるさまざまな利害関係者からの幅広い知識を結集しました。2022年3月、施行ガイドラインは、コミュニティからの聞き取りと投票による批准プロセスを経ました。総投票者(2,283人)の58%(58.6%)が、施行ガイドラインに賛成票を投じました。投票者総数のうち、657名が意見を残しました。意見を検討した後、理事会は、スタッフおよび施行ガイドライン起草委員会に対し、施行ガイドラインのいくつかの分野に影響を与えるコメント内容を見直し、検討するよう要請しました。施行ガイドラインに関する数ヶ月の議論とコミュニティとの関わりを経て、2023年1月の直近の投票により、UCoCは現在に至っています。

公平な参加を目指して


UCoCおよび施行ガイドラインのテキストを利用しやすくし、広く包括的なリーチを持つようにする努力の一環として、財団は全テキストの35言語への翻訳に力を注ぎ、そのうち32言語は北米、西欧、北欧以外の言語としました。この中には、約25の中・小規模言語への翻訳も含まれています。これに加えて、UCoCプロジェクトチームは、SecurePollのテキストをさらに約25の言語に翻訳してもらうために、スタッフやボランティアに働きかけました。また、ウィキの用語や文脈に精通し、理解しているコミュニティメンバーによって翻訳が完了しました。信頼と安全(T&S)の政策チームは、経験豊富なコミュニティメンバーやコミュニティとの取り組みに精通したファシリテーターから洞察を得ることで、この言語リストが広く包括的な範囲に及ぶように慎重に収集しました。

UCoCプロジェクトチームは、UCoCと施行ガイドラインの関連性、特に中小規模のWikiとの関連性について、コミュニティメンバーとのパネルディスカッションや協議を数多く実施しました。そのうちの一つが、Youtubeで公開され、Diffの投稿で共有されました。財団のスタッフは、多様性、公平性、包摂に関心のあるコミュニティグループのリーダーとビデオを共有し、施行ガイドラインと投票プロセスについてメンバーをよりよく教育することができました。このアウトリーチにより、投票者とウィキ・コミュニティの両方が参加することにつながったと思われます。

投票は、暗号化された投票と選挙を可能にするMediaWikiの拡張機能であるSecurePollを使用して行われました。これは通常、理事会の選出など、運動に関する大規模な選挙で使われます。この投票では、有資格者(プロジェクトの編集数が一定以上である者、または他の条件を満たす者)に、改訂されたガイドラインに基づく普遍的行動規範の実施を支持するか否かを尋ねました。投票は2週間にわたって行われ、その後、投票が集計される前に、ボランティアによる投票精査者グループが、重複投票や不適格な投票者などの不備がないかを確認しました。

UCoCと施行ガイドラインの次の展開は?

理事会は、3月中旬に対面での会議を開き、施行ガイドラインの投票結果および投票プロセスで収集されたコメントについて議論されました。理事会は、執行ガイドラインを現状のまま批准することを提案し、全会一致で批准することを決定した。次のステップは、2023年4月に発表される予定です。その間、スタッフそれに向けた準備を進めています。この作業は主に、コミュニティが活用できるトレーニング資料の開発が含まれます。これらのトレーニング教材は、アクセスしやすく、グローバルコミュニティをサポートするものでなければなりません。UCoCプロセスの他の部分と同様に、これらのトレーニング資料の開発には、コミュニティのメンバー(の関与)が不可欠となります。

ユニバーサル行動規範が前進していると自信を持ってお伝えできることは、素晴らしいことです。ユニバーサル行動規範に関する最新情報や参加方法については、メタウィキページでご紹介していきます。