稲門ウィキペディアン会の Eugene Ormandy です。2024年7月10日に、友人のウィキメディアン Wadakuramon さんとウィキデータに関するおしゃべりをしたので、その模様を簡単に記録しておきます。
経緯
私は2024年7月8日に「ドロシー・ディレイの弟子がたった6人なわけないやろ!ワイが修正したる!:クラシック音楽オタクが Wikidata Graph Builder で遊びながらデータを整備した話」というふざけたタイトルのブログ記事を書いたのですが、この記事で解説したクラシック音楽の演奏家に関するウィキデータの改善には、ぜひ音楽仲間の Wadakuramon さんにも参加してほしいなと思ったので「もしよければ今度ご都合のいいときにオンラインでウィキデータのおしゃべりでもどうでしょう?」とお誘いしました。
ウィキデータ概要など
おしゃべり会の実施前に、Wadakuramon さんは上記記事を読んでくださった上、Wikidata Graph Builder の操作も試してくださったとのこと。ありがたいですね。ということで、おしゃべり会では Wikidata Graph Builder などのツールの背景となるセマンティック・ウェブの概要、そしてウィキデータの検索を可能とする Wikidata Query Service などについて私から簡単に説明したのち、ウィキデータの活用について色々とお話ししました。私の解説内容は主に以下のとおりです。
- コンピュータが意味内容を把握できるセマンティック・ウェブを実現させるための重要なツールであるRDF
- RDF で記述した情報を検索するための言語 SPARQL
- RDF「風」のウィキデータでも Wikidata Query Service で SPARQL を用いた検索ができる
- SPARQL が書けない人も簡単に検索ができるツールとして Wikidata Graph Builder や Wikidata Query Builder などがある
- SPARQL を用いた検索結果を改善させるために、ウィキデータの文 (Statement) を改善しよう
ウィキデータイベントなど
その後はウィキデータをめぐって色々な話をしました。個人的には「ウィキデータには立項されているがウィキペディアには何語版にも立項されていない項目を立項する際、ウィキデータに記されていた情報源が大いに役立った」という Wadakuramon さんの経験談に感動しました。ウィキデータが言語を超えた情報ハブとして役立っているのだなあという思いを新たにしました。
また、ウィキデータの編集イベントが日本でも開催されてほしいねという話もしました。VZP10224 さんのブログ記事「オープンソースカンファレンス2024Nagoyaに参加」のように、日本でもオープンソースコミュニティではウィキデータイベントが多少開催されていますが、総数としてはあまり多くはない印象です。私もウィキペディアの編集イベントはそこそこ開催しているのですが、ウィキデータをメインとしたイベントは未経験です。個人的には、まずは気心の知れた友人のベテランウィキメディアンたちを対象とした編集イベントから始めようと思っています。
なお、ウィキデータのイベントにおける参加者のモチベーションの問題についても話し合いました。ウィキペディアの場合、参加者のモチベーションを高めるのは比較的簡単です。なぜなら、参加者たちの努力は「みんなが知るメディア」に(基本的には)すぐ反映されるからです。しかしウィキデータの場合、「よく知らないメディアが改善されただけ」と感じられる可能性が高いように思われます。もちろん、「SPARQLを用いた検索の精度を上げるためにウィキデータを改善しよう」と言うことも可能ではありますが、SPARQLを知らない方にはむしろ「自分には全く関係のない世界だ」と思わせてしまう可能性もあります。
そのため、SPARQLを書けなくても検索が可能な Wikidata Graph Builder のようなツールを示しながら、「このグラフを改善するためにデータを整備しましょう」とアピールするのが得策かなと個人的には思っています。実は最初の「ドロシー・ディレイの弟子がたった6人なわけないやろ!ワイが修正したる!:クラシック音楽オタクが Wikidata Graph Builder で遊びながらデータを整備した話」というふざけたタイトルのブログ記事や、「ウィキデータ・クエリビルダーを活用してタンザニアの都市に関するウィキデータ項目を改善する」という記事は、そのための準備として書いていたのでした。
季語を学んで酷暑を乗り切ろう
ウィキデータとは関係ない話ですが、おしゃべり会では俳人でもある Wadakuramon さんから素晴らしい知見を学ぶことができました。曰く「どれだけ暑かろうが寒かろうが、季語を知っていればそれを味わうことができる」とのこと。その奥深い世界に感動するとともに「季語というメディアを介して、さまざまな俳句と目の前の現実がつながる様はまさに『リンクト・データ』の世界だ……」という妄想をしたりもしました。皆様も酷暑にはお気をつけて。
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