2024年8~9月の自分のWikipedia執筆の振り返り

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私は、これまでのDiffの記事では、一つテーマを決めて執筆してきたのですが、今回は単にここ一ヶ月の自分の日本語版Wikipediaでの執筆活動を振り返りたいと思います。というのも、この一か月はいつになく密度濃く積極的に編集に参加できたので、記録に残しておきたいと思ったからです。(そして今後は忙しくなってこんなに執筆できないだろうから記念にしとこう……という悲しい理由もあります。)

[[プロジェクト:LGBT]]の整備

最近、「プロジェクト:LGBT」の整備を行っていました。以前Diffで書いた作業も、この整備の一環です。日本語版Wikipediaでは、プロジェクトページがあまり機能していない印象があるかもしれません。しかし、他の言語版では、プロジェクトページを見ることで、執筆されていない重要項目が一目で分かったり、読むべき参考資料が示されていたり、よく使われるテンプレートがまとまっていたりと、非常に有用であることが多いです。

もともと私は、セクシュアル・マイノリティ関連の記事を執筆する際に、こうしたことをいちいち自力で調べるのが面倒で困っていました。最初は手元でまとめたメモを作ろうとしていたのですが、「いや、これはWikipedia上にまとめる仕組みがあるはず」と考えて、プロジェクトページという場所を思いついたという次第です。この目的にかなうために、もっと充実させていきたいところですね。プロジェクトページが充実していると、プロジェクト参加者の間で「この分野のWikipediaを改善するためのプロジェクトに参加している!」という感覚を醸成することに繋がり、執筆者のモチベーションの向上や知識の共有にも発展すると考えています。執筆者のみなさま、ぜひ参加をお待ちしています。

このプロジェクトページの整備をするのと合わせて、この分野の概略記事・一覧記事・重要テンプレートに少し手を入れました。それが[[LGBT関連トピックの概略]]、[[性的同一性と性自認の一覧]]、[[Template:性的指向]]、[[Template:Transgender sidebar]]などです。こうしたページが整備されていると、欠けている重要記事が何なのか分かりやすく、今後の執筆の目安になるという効果があります。これらのページにも、プロジェクトページからすぐにたどり着けるように工夫しています。

また、合わせて、混乱していたカテゴリーの整理も行いました。なお、最近「Portal:LGBT」に改名提案が出されているので、このプロジェクトの名称も変更されるかもしれません。

[[Template:プライド・パレード]]の作成

「プロジェクト:LGBT」の整備の一環でもあるのですが、「プライド・パレード」のテンプレートを作成しました。いわゆる「重要項目」や「大項目」は、重要なのは分かっていても執筆するのは難しいものですが、こうした一つのイベントに関する記事であれば、比較的書きやすいものと思います。特に、英語版Wikipediaに記事があれば、なおさら書きやすいでしょう。世界各地で開かれているプライド・パレードなら、それぞれのパレードの固有の英語版Wikipediaの記事が数多く存在しますが、その日本語版はほとんど存在しないという点において、かなりもってこいの題材です。手軽に、セクシュアル・マイノリティ関連の記事を書いてほしいなと思って、このテンプレートを作りました。

自分でも、[[ネパールのプライド・パレード]]、[[ケープタウン・プライド]]の記事を翻訳で新規立項してみました。この手の記事は写真が盛り込まれていることも多く、遠くの同志に思いを馳せることもできるので、執筆していて楽しいですね。みなさん、ぜひこのテンプレートから翻訳をしてみてください。

[[ジェンダー・トラブル]]の作成

セクシュアル・マイノリティ関連の重要記事として、(またフェミニズムやポスト構造主義分野の重要記事として、)「ジェンダー・トラブル」を新規立項しました。もともと、この記事は英語版ほか16か国語のWikipedia記事がありました。最初は英語版から翻訳して記事を作成しようとしていたのですが、結局、本書の日本語訳であるジュディス・バトラー著・竹村和子訳『ジェンダー・トラブル』(青土社、1999)を出典として組み替える方が良さそうだったので、直接的な翻訳部分はわずかになり、おおむね自分で書いています。この訳本に加えて、手元にある関連書籍から記述をいくつか追加して作成しました。ただ、全体の構成は英語版を参考にしています。

なお、この記事は、新着記事に選出されました。ありがとうございます。

この記事を書いていて改めて思いましたが、日本語版Wikipediaは、フェミニズム関連の理論についての記事が非常に不足していますね。たとえば、「アナ―カ・フェミニズム」(英語版)は46か国語版、「レズビアン・フェミニズム」(英語版)は32か国語版に記事がありますが、日本語版Wikipediaにはありません。[[ウィキギャップ]]の取り組みなどと呼応しながら、こうした方面も充実させていけるといいな、と感じています。

[[大村入国管理センター]]の大幅加筆

最近、李英美『出入国管理の社会史 : 戦後日本の「境界」管理』(明石書店、2023)という本を読みました。戦後の日本政府による、日本人・外国人の境界を管理する制度やシステムの歴史について学ぶことのできる本です。制度の歴史がまとまっているのはもちろんですが、そうした制度が実際の現場(収容所・役所・学校など)で、具体的にどのような形で現れてくるかという点に焦点が当てられていて、新しく知ることが多かったです。

さて、この本を読んだ後に、大村収容所の日本語版Wikipediaを見たのですが、薄い記述しか無かったので、この本の内容をメモしながら大幅に加筆しました。合わせて、オープンアクセスで閲覧できる論文から記述を追加しました。きちんとリサーチすると、他に参考にすべき本がいくつかあることが分かりますが、ひとまず手軽に入手できる「信頼できる情報源」から加筆しました。いずれ文献に当たってもう少し加筆したいですね。

[[道教]]、[[詩経]]の「良質な記事」選出

この一か月は少し時間に余裕があり、コメントに応える余裕がありそうでしたので、上の二つの記事を「良質な記事」の選考に出しました。どちらも数年前に私が主執筆で全面改稿したものです。まだ記事に課題は残っているのですが、ひとまずどちらも良質な記事に選出されました。丁寧なコメントをくださった方々に感謝申し上げます。

以上、ここ一か月の編集活動についてまとめてみました。成果をまとめてみると、また次頑張っていこうというモチベーションが湧くのがいいですね。

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