比較的若い時期にカウンターカルチャーやビートニクに触れておいて本当によかったと思う。その思想に完全には賛同しないし、作品を愛好することもほとんどないけど、これらを通して得た知見はウィキメディアを考察する上で大いに役立っているので。もちろん「ウィキメディア・ムーブメントというフリーカルチャーを推進している時点で、お前はカウンターカルチャーの継承者だろ」と言われれば「そうだね」と返すけど、自分は既存の権力へのカウンターとしてインターネットという荒野に飛び込んだ人間ではなく、むしろ「非常に悔しいが、インターネットという強大かつ問題含みのプラットフォームを改善しなければ人類の未来はない」という暗澹たる気持ちで、自分の時間と能力を「権力者」たるウィキメディアに捧げた迎合的かつ官僚的な人間なので、自分がカウンターカルチャーの実践者だとはあまり思っていない。とはいえ、恐らくカウンターカルチャーという道の上に自分は、そしてウィキメディアンたちは位置付けられているのだろうということは、折に触れて思い出しておいたほうがいいのかもなと思っている。
蛇足
このエッセイともいえない駄文の集積は、下記の書籍群(および記憶からは消え去っているものの頭のどこかにこびりついている数多の断片的な言説)を対象とした、一介のウィキメディアンの読書感想文でもある。だから何だよ、と言われたら返す言葉もないのだが。
- 竹林修一 著. カウンターカルチャーのアメリカ : 希望と失望の1960年代, 大学教育出版, 2014.5, (ACADEMIA SOCIETY ; NO.12). 978-4-86429-258-0. https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I025423070
- ドミニク・チェン 著. フリーカルチャーをつくるためのガイドブック : クリエイティブ・コモンズによる創造の循環, フィルムアート社, 2012.5. 978-4-8459-1174-5. https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I023623885
- ばるぼら, さやわか 著. 僕たちのインターネット史, 亜紀書房, 2017.7. 978-4-7505-1511-3. https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I028215261
- ブライアン・ハリガン, デイヴィッド・ミーアマン・スコット 著ほか. グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ, 日経BP日本経済新聞出版本部, 2020.4, (日経ビジネス人文庫 ; は19-1). 978-4-532-19970-8. https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I030327933
- 村木厚子 著. 公務員という仕事, 筑摩書房, 2020.7, (ちくまプリマー新書 ; 354). 978-4-480-68376-2. https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I030479545
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