2025年3月22日(土)から3月23(日)にかけて、「酒ぺディアin神奈川」を開催した。日本酒の蔵元を見学し、日本酒を味わい、日本酒に関するwikipediaの記事を書く、という内容である。
きっかけ
2017年の京都 や、2018年の長野 での酒ぺディアのことを知って、「面白そう!神奈川でも企画してみたい!」と考えるようになった。神奈川県内には13の蔵元があり(神奈川県酒造組合未加入の蔵元を含めると14)、イベントでコンプリートするにはちょうどよい規模だ。折に触れて「神奈川で酒ぺディアをやりたい」という願望を語ってきた。
2025年2月に参加した「ウィキペディアタウンinさがみはら」の打ち上げ会場で「神奈川で酒ぺディアをやりたい」と話したところ、「相模原市内には蔵元が2つあるのでぜひやりましょう!」と地元の司書のIさんが乗り気になり、ぐいぐい企画を進めてくれた。蔵元巡りには車が必須だが、運転者は試飲ができない。それなら泊まりがけでやればよいのでは?という流れから、Iさんがあっという間に宿泊場所やコワーキングスペース、酒蔵見学まで手配してくれて、1泊2日のプログラムが生まれた。
準備
会場や宿泊の都合上、参加可能人数が10名程度のため、大々的に呼びかけるのは難しいと考えた。Facebookにひっそり投稿し、興味のある方は個別に連絡してもらった。年度末の土日、しかも開催直前の呼びかけとあって、参加者が集まるか心配したが、最終的には定員ぴったりの人数になった。
神奈川の蔵元に関する文献は以前からこつこつ調べていたが、今回のイベント開催にあたって改めてリスト化した。ウィキペディア日本語版の日本酒に関する既存の記事もチェックした。当日編集作業をする会場に持ち込むため、神奈川県立図書館や相模原市立図書館などで資料を集めた。
当日
参加者は9名。内訳は、宿泊7名、土曜日のみ参加2名。ウィキペディア初心者は3名だった。3月22日(土)9:45にJR・京王線橋本駅集合。車2台に6人が分乗して、最初の目的地である久保田酒造に向かった。酒造の看板を目印に脇道に入り、急カーブの坂を下っていくと、視界がパッとひらけて、谷間を流れる川の向こうに母屋や蔵、煙突のある建物が立ち並び、風情のある景色に思わず声が上がった。久保田酒造ではウィキペディアンSさんが待っていた。Sさんはウィキペディアイベントツアーの最中で、前日の宿泊先である高崎から車で相模原へ。そのフットワークのよさにはいつもながら驚かされる。

久保田酒造正面、Latenscurtis, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

久保田酒造 母屋内販売銘柄、Latenscurtis, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons
酒造見学は翌日の午後に予約してあったため、この日は母屋の一角に設けられた販売スペースでお酒を購入するのみ。運転者は試飲ができないので酒粕アイスや梅の実アイスを母屋の軒下でいただいた。ゴールデンウィーク並みの暖かさと日差しのもと、建物の写真を撮ったり、酒樽を観察したり、一通り堪能した後、次の目的地、清水酒造に向かった。
清水酒造は道路沿いにあるこじんまりとした建物で、酒造見学は受け付けていないが、販売スペースの奥につづく作業場を覗き見ることができた。お酒を選んだり、お店の方にお話を伺ったりして、短い時間ながらいい「取材」ができた。

清水酒造外観、漱石の猫, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

清水酒造の店内、Saichi31, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons
近くのスーパーで買い出しをしたあと、イベント会場兼宿泊先に向かった。コワーキングスペース「結びの家」、レストラン「百笑の台所」、バンガローが集まったエリアだ。レストランでランチを済ませ、14:30から17:30まで「結びの家」にてガイダンスと編集作業を行った。スクリーンとプロジェクターは会場に用意されていたので、机や椅子を配置し、資料を並べてセッティング完了。「酒ぺディアとは」の紹介を20分程度した後、既存のウィキペディア記事を眺めて加筆や立項の余地を検討した。夕方から参加予定の地元の司書Nさんが、すでに自宅でいくつか加筆をしたことをメッセンジャーで報告してくれて盛り上がった。もうお一人、夕方から参加予定でウィキペディア編集初心者のJさんの到着を待って、「ウィキペディアの読み方・書き方」の説明を30分程度したところで、編集作業パート1は終了となった。
宿泊場所に荷物を運び込んで一休み。女性5人はモンゴルのテント「ゲル」、男性2人はバンガローに分かれた。日帰り参加のAさんをJR藤野駅までお送りし、近くの立ち寄り温泉「藤野やまなみ温泉」で入浴後、バーベキューで夕食。もう車を出さなくてよいのでアルコールも解禁だ。本日買い付けた2つの蔵元のお酒をさっそく味わった。Jさんが持ってきてくれたカゴ一杯のお猪口のコレクションから、それぞれ気に入った器を選んで、なんとも贅沢な飲み比べだった。焚き火を囲んで、最高に幸せな時間が流れていった。
夕食後は「結びの家」にて編集作業パート2。翌日の昼まで貸切のため、資料や機材を広げっぱなしにできて、時間制限もないという、大人の合宿には最高のシチュエーションだった。Sさんは翌日の名古屋でのイベントに向けて出発。短時間でかなりの分量の加筆を済ませていて、さすがの仕事ぶりだった。残った宿泊メンバーは、眠くなるまで資料を読んだり加筆したりして過ごした。
翌朝は鳥の声とともに目覚め、朝食をつくって屋外で食べたあと、8:30ごろから編集作業パート3。11:00に振り返りをして11:30終了、撤収した。
2日間で編集した項目は次のとおり(いずれも加筆)。
また、撮影した写真をウィキメディア・コモンズにアップし、新たなカテゴリをつくった。
https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Kubota_Syuzou
https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Shimizu_Syuzou
「百笑の台所」で昼食後、車4台に7人が分乗して久保田酒造の見学に出発した。道中、当初の計画にはなかったウィキペディアタウン的な寄り道をしたのだが、詳細は別の機会に。
14時からは、今回のメインイベント・久保田酒造見学だ。事前予約制、参加費500円。女将の久保田さんのガイドで日本酒がつくられる工程にそって作業場を一回りした。今年の酒造りは終了しており、蔵人さんたちが片付けをしている横を通りながら、わかりやすく楽しい説明をしていただき、質問にも丁寧に答えていただいた。見学の最後は試飲。ずらりと瓶を並べ、それぞれのお酒の特徴を女将が紹介してくださるのだが、的確で愛がこもっていて全部美味しそうで飲みたくなってしまう、見事な勧め方だった。出来立ての生酒が揃っている時期だったのもラッキーだった。運転しない3人が代表で試飲させてもらい、飲めない運転者は蔵元の名前入りのタオルをいただいた。

久保田酒造 試飲対象銘柄(2025年3月26日時点)、Latenscurtis, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons
楽しかった2日間はあっという間に過ぎ、16時過ぎに久保田酒造の駐車場にて解散した。大満足のいいイベントになった。県内13蔵コンプリートを目指して、続けていきたい。

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