人工知能学会第66回SWO研究会でウィキデータ編集イベントを開催

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稲門ウィキペディアン会の Eugene Ormandy です。2025年9月4日、佐渡島で開催された人工知能学会第66回SWO研究会において、小規模なウィキデータ編集イベントを実施したのでその模様を記録しておきます。

稲門ウィキペディアン会のロゴ (Uraniwa, CC0)

経緯

私は大学院生としてウィキメディア・プロジェクトを研究しており、その一環でセマンティック・ウェブ技術にも関心があります。そのため、人工知能学会のSWO研究会(セマンティック・ウェブとオントロジー研究会)に参加しました。

SWO研究会は、1泊2日の合宿形式です。そのため、夕方に研究発表が終了した後も、参加者たちはホテルの一室に集まって議論をしたり、おしゃべりを楽しんだりします。そこで私は、仲良くなった参加者たちと一緒に小規模なウィキデータの編集会を行うことにしました。というのも、ウィキデータはセマンティック・ウェブにおける重要な研究対象であり、今回の研究会で何度も言及されていたからです。

準備

イベントを開催するにしても、大まかな方針が決まっていなければグダグダして終わるだけです。そのため、どのようなウィキデータを編集するかを事前に考えておきました。

結果「研究者のウィキデータにおける『博士論文指導教授 (P184)』プロパティおよびその値を整備する」という方針を設定しました。これなら、CiNii Researchで博士論文を取得し、ページ内検索で「指導教官」と入力すればすぐ実行可能です。

また、ウィキメディア・プロジェクトの編集イベントは、同プロジェクト上にイベント概要ページを設けるのが慣例となっています。そこで私も、自分の利用者ページのサブページに [[User:Eugene Ormandy/SWO editathon 20250904]] を作りました。

イベント概要ページのスクリーンショット。CC0

イベント実行

いよいよイベント実行です。参加者たちに上記の方針を説明し、早速調査に移りました。なお、参加者は全員ウィキデータについてご存知だったので、RDFLODといった基本的な事項のレクチャーは割愛しました。

調査においてはまず、CiNii Research で「情報」などの適当なキーワードで検索を行い、ヒットした論文のうち興味のあるものの著者を確認。その後、当該人物の博士論文を同じく CiNii Research で探し、論文のページ内検索でその指導教官を探すというタスクに取り組みました。

しかし、これはスムーズにはいきませんでした。というのも、博士論文の謝辞等で「指導教官」と明確に記載しているものが、あまり見当たらなかったからです。例えば「ご教示をいただいたA先生に感謝」など、やや曖昧な記述が散見されました。もちろん、それを根拠にウィキデータの編集をしてもいいのですが、編集経験が浅いうちは避けておいた方がいいだろうという私の独断のもと、今回は控えました。

その後も検索作業を続け、参加者全員が「指導教官と学生」のペアを見つけることができました。

ここからは、いよいよ実際にウィキデータを編集します。研究者のうち、ウィキデータにすでに立項されている人もいれば、そうでない人もいたので、ウィキデータ項目の立項方法および出典の記載方法をごく簡単にレクチャーし、作業に移りました。なお、理想を言えば、各ウィキデータのステートメント(文)をできる限り充実させたいところではありましたが、今回はとりあえず「博士論文指導教授 (P184)」プロパティ、「博士課程指導学生 (P185)」プロパティ、そしてJ-GLOBAL等の識別子プロパティの値を入力すればOKとしました。

最終的に、参加者全員がウィキデータ編集を達成しました。「実際に編集できてよかったです」「編集トピックを探すのって意外と大変ですね」「楽しかったです」などのフィードバックをいただけました。

まとめ

人工知能学会第66回SWO研究会で実施した、小規模なウィキデータ編集イベントの模様についてまとめました。本稿が何かの役に立てば幸いです。

私見ですが、セマンティック・ウェブの研究コミュニティにおいて、ウィキデータはあくまで「実験に使うデータ」という認識であり、「編集対象」とはあまりみなされていないのかなと感じています。もちろん、研究に用いるデータを研究者自身が編集することの是非は都度考慮する必要がありますが、研究に関係のないウィキデータの整備や、ウィキデータ整備そのものを研究に組み込む動きは、今後生じてもいいのではと個人的には思っています。

私も「研究を嗜むウィキメディアン」として、研究コミュニティでのウィキデータエディタソン/ハッカソン開催をサポートできれば幸いです。

人工知能学会第66回SWO研究会の会場に設置された案内 (Eugene Ormandy, CC0)

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