ウィキマニア2025参加者座談会(後半)

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昨年ウィキマニアの参加は、その後ウィキメディア上での活動や日々の生活への影響はありましたか。また今年のウィキマニア参加に向けて意識されたことはありますか。

門倉:昨年参加して最も変わったのは、日常的に海外のウィキメディアンとSNSで交流するようになったことです。それにより自分の意識がみるみるグローバルになった気がします。また今年意識したのは、私は英語が得意ではないので、言語に依らないコミュニケーションでも交流できたらということでした。浴衣や折り鶴を持参したりウィキクワイアに参加したのはそういう意識からでした。

北村:去年の様子を見ていろいろ準備するものを決めました。初めてステッカーを作って配布しましたが、すぐになくなりました。あと、セパレートの着物を準備しました。

なるみ:昨年初めてスカラシップをもらったことで、この1年のウィキメディアとの向き合い方では、責任感やコラボレーションへの意識がかなり芽生えました。人的コネクションが生まれ、いろんなイベントへのお誘いをいただくようになったことも大きな変化でした。何より、昨年のウィキマニアが楽しかったな~という思いは1年ずっと続いていたような気がします。今年は何か発表したいと思ったのですが、間に合いませんでした‥来年こそ‥
 昨年はポーランドへ向かう途中にロストバゲッジにあってしまったので、今年は荷物がなくならないように荷物にタグをつけたり、空港スタッフに何度も念押ししたり(?)様々な策を講じました!(荷物はなくなりませんでした!)

Eugene:2023年から続けている、各種国際プロジェクトをきちんと維持させておかないとなという思いが強まり、自分なりに実行しました。特に縁が深いマレーシア、トルコはもちろん、韓国、フィリピン、モロッコとも編集イベントを行いました。また、来日したウィキメディアンに東京を案内したりもしました。他にも、ロンドンのウィキメディアUKオフィスを訪問したり、イスタンブルで開催されたCEE Meeting 2024に参加したり、マニラで開催されたESEAP Summit 2025に参加したりしました。
 海外のウィキメディアンと交流するのみならず、日本のウィキメディアンたちに、海外の動向をできる限り共有することにも努めました。具体的には、編集イベントやミーティングでレクチャーをしたり、ブログを書いたりしました。また、国立国会図書館職員のような、ウィキメディアンではない日本のGLAM関係者にも、海外のムーブメントを紹介しました

VZP10224:昨年のウィキマニアに参加した段階では、初回ということもありどのような立ち振る舞いをしてよいかわからない部分もありながらの参加でした。ただ昨年のウィキマニアで得た仮アカウントに関する情報など、遅くなってしまいましたが、日本語版ウィキペディアの中で情報を展開することができたのがよかったと考えています。またオープニングセレモニーはなるべく民族衣装を、というアナウンスが事前にありましたが、諸事情により和服が調達できなかったので、4日間アニメ系のTシャツ(オタクのコスプレ?)で参加してました。

開会式での各国のウィキメディアン。右から3人目がなるみ、その左がルワンダのDr. Dorcas Chebet

ウィキマニアへの参加を重ねることで、ウィキマニアやウィキメディア運動に対する見方は変わりますか。また、どのように変わりますか。

なるみ:私個人の感覚ですが、2回ウィキマニアに対面で参加してみて、ようやくウィキメディアがコミュニティベースの運動=Movementsであるということが身に染みてわかりました。前回はヨーロッパ、今年はアフリカ開催(今回は東アフリカ地域で初めての開催)だったことで、参加者の出身地も各セッションの内容も全体として違いがあったように思います。Wikimediaコミュニティの多様性の一端に触れ、改めて刺激をもらいますし、自分も自分のやり方で貢献していこうと思います。

北村:アフリカにはパノラマの自由がない国が多いということで、著作権などについて政治的な働きかけをすることの重要さを感じました。ウィキマニアに何度か出ることで、国ごとの仕組みの違いとか、ガバナンスのあり方に関心が向いてきたと思います。

Eugene:パラダイムシフトといえるような、大きな認識の変化は今回はなかったです。ウィキメディア・ムーブメント全体についての自分なりの大まかな地図は去年ごろには描けていたので、今回はその細部を明瞭にしていく、という感じでした。今後も各分野のキャッチアップを行いつつ、ドラスティックな変化にも対応できるよう、ウィキメディアに関係ないニュースにもぼちぼち目を通しておこうと思いました。

門倉:昨年は初めてだったこともあり、ただただ感激するばかりでした。今年はセッションでの発表をはじめ、自分から積極的に関わるようにしたことで、一層ウィキメディア運動が理解できてきたように思います。また去年知り合ったウクライナの方と再会し、更に親交を深められたのはウィキマニアならではで嬉しかったです。

VZP10224:ユーザーグループとしてOSCに参加していると、まだまだ「ウィキペディアはだれが編集しているのかよくわからない」という声を聴きます。確かに日本のネット環境の特性上、実名を明かさないような活動を好む人が多いのも事実ですが、単に「ウィキペディアを編集する」のではなく、ウィキメディア運動にかかわる、という意識を持つことで、実態のある人間が編集を行っているということを少しでもアピールできればと思います。

ESEAPメンバーのButch Bustria、Robertsky、Eugene Ormandy (左から)

今年のウィキマニアで一番印象に残ったことは何ですか。

門倉:一つをあげるのは難しいですが、アフリカのウィキメディアンと何人も直接会話出来た事は大きな経験でした。特に博士号を持つルワンダの女性ウィキメディアンは心に残りました。帰国してからもアフリカ始め各国のウィキメディアンとSNSで続々とつながりつつあります。

北村:とても楽しかったですが、去年より運用が緩かったように思いました。開会式で椅子がまったく足りなくなったり、プレカンファレンスのGLAMミートアップの部屋で音声のトラブルが頻発したり、プログラムの組み方で似たようなセッションが同じ時間帯にかぶったり、最後のエクスカージョンがいかにもウィキメディアンが興味を持ちそうな国立博物館ではなくけっこう世界各地にあるイリュージョン(錯視)博物館だったり…
 一番印象に残っているのはウィキペディアに関する研究を紹介するセッションです。ウィキメディアリサーチファンドの成果なども含めて簡潔に紹介してもらえて参考になりました。

なるみ:心を動かされたセッションはいくつもあり、一つに絞ることは難しいのですが、メキシココロンビアでの、暴力や殺人事件の犠牲者たちをアーカイブするプロジェクトには感銘を受けました。国連の偽情報対策についてのセッションで、local knowledgeをempowerすることが大事という話が出たことも面白いと思いました。一般にAIがローカルな情報を苦手とするということも思うと、人間にしかできないことはその辺りにあるのかなぁと考えたりしました。あとは、頑張って浴衣を着たこと。

Eugene:ウィキベースを活用して典拠データを作成するナイジェリア国立図書館についてのセッションですね。典拠データをめぐる状況は国によって様々なのだなと再認識するとともに、国立国会図書館が典拠データをリンクト・オープンデータとして公開している日本は本当に恵まれているなと感じました。ちなみに、登壇者のひとりであるンケムさんは、私の前年のNewcomer of the Year受賞者です。セッション後には挨拶できたのでよかったです。
 あと、ウィキメディアン・オブ・ザ・イヤーの歴代受賞者たちで記念撮影をできたのもよかったですね。受賞者間の交流は今までほとんどなかったので、今後はゆるく交流を保ちたいところです。

VZP10224:アフリカのOSMに関する取り組みを紹介するセッションは、ユーザーグループとしてもOSMfJの人たちと一緒に活動していることもあり、興味深く聞きました。またミートアップイベントとしてWikimedia Koreaが発表していたWikiVaultのような、AIを積極的に取り入れるツールも今後必要になるのではないか、ということを思いました。そのほか、キーノートのパネルディスカッションをはじめ、やはりAIとの共存をテーマにしたセッションが多く、全部は追いかけきれない状態でした。
 今回はスカラシップで参加したこともあり、昨年は経験しなかったWikimaniaのボランティアにも対応しました。キーノートのRoom Managerをやるとは思いませんでしたが。
 あと、Extend rightsのプレカンファレンスでグループトークがあったのですが、その中で自分の意見をアピールしないとと焦って、たぶん無茶苦茶な英語をしゃべってたのではないかと思います。それを見かねたほかの人が「表現するのに翻訳ツール使ったっていいじゃない」という感じのアドバイスをしてくれたことで、なんだか肩の荷が下りたような気がしました。とにかくこういう国際カンファレンスに参加するには「完璧な英語が喋れないと参加できない」と思い込みがちですが、実際にはそんなことはないのだということを改めて感じました。そもそも、アジアを中心に日本語ができる人も結構いますしね。

WikiWomen* Summitの参加者、前列右が門倉。今年のテーマカラーの緑を身につけるのがドレスコード。背景はカウラの森。

ナイロビという都市やアフリカという地域は、日本からは遠い存在イメージを持つ方も少なくないかと思いますが、みなさんは今回実際に訪れてどのように感じられましたか。

北村:毎日ホテルでキャッサバと思われる芋が出たのが面白かったです。

なるみ:夢に見たアフリカに今回初めて来ることができて最高でした。ホテルのすぐ隣に広大な森があり、大自然と都会が共存しているという印象を受けました。何度も停電があったり、ネットが不安定だったり、ウィキメディア運動を支えるインフラ上の課題も感じましたが、これからますます発展していく地域だと感じました。

Eugene:空港に「ようこそMpesaの国へ」という看板があったのが印象的でした。日本にいるとMpesaのようなマイクロファイナンスはあまり馴染みがありませんが、ケニアやバングラデシュでは盛んと聞いています。国ごとの金融システムの違いは興味深いなと改めて感じたので、帰国後に岩波新書の『世界の貧困に挑む マイクロファイナンスの可能性』という書籍を購入しました。

門倉:高地で涼しかったこと、お米の料理がいろいろあったこと、左側通行でトヨタ車をよく見かけたことなど、行ってみないとわからないことがいろいろでした。事前に翻訳したビレッジマーケットの記事に、現地で撮った写真を追加出来てよかったです。

VZP10224:右ハンドル・左側通行ということで、軽自動車含めた日本車を多く見かけたのに親近感がわきました。とはいえ、治安に対する懸念から、夜に一人で出歩かないようにという事前アナウンスがあったこともあり、あまり気軽にナイロビの町中に出かける機会がなかったのは少し残念でした。昼間は会場でいろんな人としゃべることに夢中で、サファリツアーとかもあまり考えられなかったですね。
 Eugeneさんが触れられているMpesaですが、私はどちらかというと携帯電話会社が構築した決済システムという点で関心を持ち、せっかくの機会なのでナイロビの空港に到着してからすぐにSafaricomのSIMを購入して、Mpesaで買い物をするチャレンジをやってみました。

最後に一言ずつお願いします。

北村:来年は世界シェイクスピア学会と完全に重なるので参加できませんが、ウィキマニアに行くとやはりここがインターネット上で昔からの理想が唯一残っている場所だと思います。

なるみ:みなさんとご一緒できて良かったです!

Eugene:今後は大学生のような若い方も参加してほしいなと感じます。日本からの参加者を増やしたいですね。

門倉:今回のウィキマニアでの経験を10月の図書館総合展でシェアしたいと思っています。よろしければご参加ください。

VZP10224:日本からもっと多くの人、特に若い人に参加してほしいと思います。

ウィキマニア2026はパリ開催に向けて準備が始まっており、スカラシップ応募受付中です(2025年10月30日まで)

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