2025年7月5日、北海道小樽市で開催された「ウィキペディアタウンin小樽」は、地域住民が主体となって地域情報をウィキペディアの記事を作成して世界に発信する取り組みとして大きな成功を収めました。
https://otaru.gr.jp/citizen/wikipediatown2025otaru
今回はオンライン・スタッフを含めて13名が集まり、小樽の日本遺産をテーマに、新たなウィキペディア日本語版の記事「小樽中央市場」を作成。参加者の満足度は軒並み高評価を記録し、継続開催への強い意欲を示すなど、地域主導の知識共有活動の新たなモデルケースとなりました。イベントは、市・観光団体などが後援し、市民主体の取り組みとして展開されました。これは、以前鷹栖町で開催されたものと同じような形態となりました。
なお、小樽市について簡単に知りたい方は今回のイベントで作成したウィキヴォヤージュの記事も参考にしてください。
https://ja.wikivoyage.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%A8%BD%E5%B8%82
多様な参加者が集った学びの場
今回のイベントには20代から70代までの幅広い年齢層が参加し、参加者の職業も教育関係者(高校教諭、大学教員)、会社員、団体職員、マスメディア関係者、フリーライター、学生、自営業者と多岐にわたり、多角的な視点での情報収集と編集作業が可能な環境が整いました。

参加者の居住地は小樽市内が約7割を占める一方、札幌市・岩見沢市・函館市からの参加もありました。参加者の中には車で片道4時間という移動とのことでしたが、それでもイベントへの参加を選択したことは、この取り組みへの関心の高さを物語っています。
参加動機の分析では「小樽の歴史、文化、日本遺産をもっと知りたい」が最多で、「ウィキペディアに興味がある」が続きました。事前アンケートでは、小樽への興味レベルが平均8.2点(10点満点)と非常に高い一方、知識レベルは平均5.1点となっており、参加者の「もっと学びたい」という強い意欲が読み取れます。
当日の活動:発見から発信へ
イベントは10時に開始され、まず小樽中央市場の歴史的経緯についての詳細なレクチャーが行われました。参加者は建物の建替の経緯や上層階が住居になっているという珍しい建築構造について学び、その後、中央市場から小樽運河の海岸線を一周するまち歩きを実施。現地での観察と写真撮影を通じて、記事作成のための情報を自分で見て・感じました。
13時にはウィキペディアの記事編集に関するレクチャーが開始されました。まず参加者全員に対してウィキペディアの三大方針(中立的な観点、検証可能性、独自研究は載せない)について説明を行い、その後実際の編集方法について段階的に指導しました。参加者の大部分が編集未経験者でしたが、アカウント作成から記事編集まで丁寧なサポートを提供できました。
参加者をグループに分けて進行し、各グループが記事の異なるセクションを担当することで効率的な作業を実現。事前に準備した地域資料、新聞記事、雑誌などの豊富な参考文献を活用しながら、新規記事「小樽中央市場」を公開しました。中央市場は、1958年開設、1989年建て替えの経緯を持っており、建築的特徴として、市場と住宅の複合施設という全国的にもあまり例を見ない構造を持っています。
記事が完成し公開された瞬間、会場では拍手と歓声が起こりました。参加者は「自分たちで新しい記事を作った」という大きな達成感を共有され、多くの方が今後も継続して編集に関わりたいという意欲を感じました。

これ以外にも「小樽妙見市場」の記事や、市場組合が保管していたアルバム写真をアップロードする取り組みも展開しました。
事前資料準備の具体的なプロセスと所要時間
開催にあたり、小樽市の日本遺産全体を理解するために必要な資料および、小樽市の3つの日本遺産ストーリーのうち、今回の記事作成に関わる構成文化財の資料(1「炭鉄港」:小樽中央市場、2.「北前船」:旧小樽倉庫、3.「北海道の心臓」:手宮線跡)を中心に、資料収集を行いました。運営メンバーである高野氏は歴史研究者として、これまでに小樽市の文化財全般の歴史資料を収集し、論文や記事を多数執筆しています。また、同氏は、小樽市日本遺産推進協議会のワーキンググループ委員をつとめ、日本遺産に関する歴史資料の収集および、啓発パンフレット・ガイドマップ等の資料の作成に関わっていることから、主な資料については、それらの資料群をあらためて確認し、今回必要なものをセレクトする作業を行いました。所要時間は、実働日数で5日程度でした。
さらに、今回の開催に際し、最新情報を把握するため、関係各所へのヒアリング(小樽中央市場、2024年に旧小樽倉庫へ新規出店したルタオ運河プラザ店)、現地調査、図書館(市立小樽図書館・小樽商科大学附属図書館)での資料調査、北海道新聞デジタルデータベースでの情報収集を行いました。これらの作業の所要時間は、実働日数で5日程度でした。以上のプロセスで収集、セレクトした資料について、スキャンデータを準備し、当日も参加者が自身の端末からアクセスできるようにし、必要に応じて参照できるようにすることで、効果的な記事作成につながるように配慮しました。
さいごに
「ウィキペディアタウン in 小樽」は、地域住民が運営主体となって地域の歴史・文化を調査し、編集し、世界に発信するという新しい形の地域活動として大きな成功を収めました。参加者の高い満足度、地域への愛着の深化、そして継続参加への強い意欲は、この取り組みが持続可能な地域づくりの手法として機能することを実証しています。
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