2025年10月8日、情報知識学会シニア部会卓話会にて、「ウィキメディア・ムーブメントに魅せられて」と題して講演しました。情報知識学の振興を目的とする情報知識学会には、シニアを対象としたシニア部会があり、その主催による卓話会に招かれたものです。会場は東京新宿にある紀伊國屋書店で、3階アカデミックラウンジのテーブルを囲んで10名ほどが集まり、オンラインでも16名ほどが参加してくださいました。
初めに「ウィキメディア」とは何かに触れ、ウィキメディアの活動はビジネスでなく、世界中のボランティアによる「ムーブメント」なのだ、と話しました。そして自己紹介に続き、2023年に『70歳のウィキペディアン:図書館の魅力を語る』という本を出版するに至った動機などをまとめました。それは「百科事典」と出会い、「集合知」を知ることで、ウィキペディアの執筆にたどりついたという、私の物語です。途中でウィキペディアの3大方針にも触れました。
次に私がウィキペディアにどんな記事を書いてきたかを示すために、ウィキペディア上の私の利用者ページを紹介しました。その中には、私がこれまで書いてきた記事を地域別にまとめた一覧へのリンクが作ってあります。その一覧から、自分のよく知っていることを書いた例として、音楽司書小川昂をあげました。次に、自分の知らないことを調べて書いた例として、昆虫学者内田登一をあげました。そして現在主にやっている、外国語版からの翻訳の例として、パレスチナの詩人ムスアブ・アブートーハをあげました。こうした記事を書くために、これまで培ってきた知識や経験を総動員し、日々やりがいのある体験を重ねていることを示しました。
3番目の話題は、「世界中のウィキメディアンと知り合う」です。2022年に日本のウィキメディアン、ユージン・オーマンディさんに出会い、彼がウィキメディア財団のブログDiffにたくさん記事を書いていることを知りました。そのユージンさんが2023年に、ウィキメディアン・オブ・ザ・イヤーの新人賞を受賞し、授賞式がウィキマニア2023シンガポールで行われたのです。こうした一連の出来事をきっかけに、私も2024年にはマレーシアでのESEAP会議とポーランドでのウィキマニアに、今年2025年にはマニラでのESEAPサミットとケニアでのウィキマニアに、いずれもウィキメディア財団の助成金を得て参加することができました。こうした体験を私もDiffブログに日本語と英語で次々に投稿し、知り合った多くのウィキメディアンを誘ってFBグループ「Diff日本語版同好会」を立ち上げました。
こうして知り合ったウィキメディアンは皆このウィキメディア・ムーブメントに魅せられ、少しでも活動を前に進めようと日々努力しています。自国の狭い地域だけではなく、世界中のいろいろなところで、その地域に根差した、また地域を超えた様々な種類の活動が繰り広げられており、ウィキメディアは個人の営みを超えてムーブメントなのだというのを、日々感じている次第です。
4番目の話題として、10月に横浜で開催される図書館総合展に出展し、海外との交流で得た自分の経験をコミュニティにシェアする計画を話しました。そして最後に、最近Diffに載った「100歳のウィキペディアン」の記事を紹介し、私もこのように歳を取りたいし、年齢に関わらず多くの方がこのムーブメントに参加していただきたい、と話して締めくくりました。
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