ウィキメディア図書館:100万件のリンクとその先

Translate this post

ウィキメディア図書館(TWL=The Wikipedia Library)が意義のあるマイルストーンを越えました。当図書館利用者の皆さんから、ウィキメディアのプロジェクト群に追加してもらったリンクが100万件目超に達したのです。2012年の設立以来、TWAは有償購読(ペイウォール)のコンテンツをウィキメディアンの皆さんに提供し、ウィキメディアにおけるそれぞれのプロジェクト類で記事の典拠に使う、あるいは研究に利用できるようにしてきました。ウィキメディアンの皆さんの旅は、誰もが全ての知識の総和を無償でシェアする世界へ向かい、今回のマイルストンはTWAが皆さんの旅の仲間として認められた記念になりました。

マイルストン

ウィキリンク・ツール(Wikilink tool)が紙データ収集を始めた2019年以降、ウィキメディア図書館を利用した編集者はおよそ9千人近く、リンクを追加したプロジェクトは累計207件にのぼります。リンクの大半(61万件超)は各言語版のウィキペディアの記事に結ばれました(ほぼ全件、典拠として)。利用率が最多のコレクションは「Newspapers.com」であり、追加リンクの半数超を占めます。現在、月次のTWA利用者は2,500名前後。

沿革

当ウィキメディア図書館(The Wikipedia Library)の2011年創設者は Jake Orlowitz 氏(user: Ocaasi)であり、草創期の2012年にはウィキメディア個人関与助成金(Wikimedia Individual Engagement Grant)を受給しました。ウィキペディアは典拠がなくては成り立たず、最も信頼性の高い典拠は その多くが有償購読制のため、ウィキペディアのボランティア編集者の手が届かないところにあります。この甚大な問題を解決しようと Orlowitz 氏は学術研究、報道系の出版社の説得に取り組み、アクセス権を求めてやまない少数のウィキメディアンに無償で提供してもらえないかと説いて回りました。出版社はその見返りに、ウィキペディアに引用されて可視性が増し、サイトには訪問者がやってきます。このプロジェクトは瞬く間に成功し、すぐにウィキメディアンの間でも注目を集めました。TWLの最初期に加わった提携先には、ハイビーム、ジェイストール、コックラン、オックスフォード大学出版局(Highbeam、JSTOR、Cochrane、Oxford University Press)などが含まれます。TWL は2014年、ウィキメディア財団に移管されてコミュニティ・リソース(Community Resources)のイニシアチブとして活動費全額を受給して動き始め、成熟したプログラムに成長し発展しようとしています。

Jake Orlowitz、WCNA 2024にて。クレジット:Kevin Payravi、CC BY-SA 4.0

戦略的パートナー関係

TWL プログラムに参加する出版社には、ウィキメディアの最も熱心な編集者にコンテンツへの無償アクセス権の提供を受けています。ウィキメディア財団はこれらコンテンツにライセンスを付与しない代わりに、出版社に対してインターネット上で最も広く利用されてきた情報源の一つに掲載されると、その視認性からどれほどのメリットが得られるか伝えています。ウィキメディアのプロジェクト群は月次のページビューはおよそ150-200億回、またWikipediaは300以上の言語で読めます。出版社にとって、ウィキメディアのプロジェクト群に引用されると、それぞれのウェブサイトではトラフィックの大幅な増加につながるわけです。インターネットにおいて、検索エコシステムとコンテンツの消費方法が急速に変化している現状に照らすと、これはますます重要になっていきます。出版社はまた、自分たちの著者の著作がウィキペディアの記事に引用されると、著者の普及範囲(リーチ)拡大というメリットを得ます。

現在、TWLにはパートナー先のコレクションがすでに100件以上収蔵されていて、コンテンツの提供言語数は34以上です。TWLの提携先には、世界有数の学術出版社や大学出版局、コンテンツ・アグリゲーターや新聞社の多くが参加しています。このようなパートナー関係の構築には、適切な関係者との打ち合わせ、ご説明したメリットに納得していただくこと、法的懸念に対応しつつ、さまざまなアクセス設定の実装など、かなりの時間を注いでいます。そうは申せ2023-24年度には、前年度から既存のパートナー関係の更新・拡大にとどまらず、新たなパートナー12件をTWLにお迎えしました。一部をご紹介すると、IEEEエクスプロア、イギリス・オンライン・アーカイブ、ACM電子図書館、アメリカ医学会ジャーナルなどです(IEEE XploreBritish Online ArchivesACM Digital LibraryThe Journal of American Medical Association )。

将来像

100万件目のリンク達成は、私たちにとってまさに祝うべき瞬間なのですが、今後、当図書館が達成すべきことはまだまだたくさんあります。ウィキメディアンが必要とする多くのリソースは、まだ当図書館にご用意できていません。また言語や地域による差異に直面する面は、ウィキメディアの他のプロジェクトと変わりがないのです。現在、当図書館のコンテンツのほとんどは北アメリカおよびヨーロッパのもので、大半は英語媒体です。ボランティアの皆さんの要望に応えようと新しいパートナー関係を築いていくなかで、昨年の追加案件のうち6社は英語以外の言語で重要なコレクションを保有し、たとえばモール・ジーベック・フェアラーク、de Standaard(デ・シュタンダート)などを指します。このリソースがまだ利用できないけど、アクセスしたいというご希望は、当図書館の「提案」ページにてどのコレクションを追加するか候補を投稿していただくか、もしくはご希望の候補に投票してください。

コミュニティを祝う

以上、実に意義深いマイルストンをご紹介したところで、皆さんのご意見ご感想をぜひお聞きしたいと考えます。ウィキペディア図書館に関連して、シェアしてみたいできごとや思い出などはありませんか? もっとここをこうしてほしいなど、改善や開発のご希望は? マイルストンを祝いつつ、この図書館の未来形を皆さんとともに作りたいですし、考えておられることをこちらに投稿をお願できないでしょうか。

Can you help us translate this article?

In order for this article to reach as many people as possible we would like your help. Can you translate this article to get the message out?