稲門ウィキペディアン会の Eugene Ormandy です。2025年11月2日から6日にかけて、日本の奈良県コンベンションセンターで開催された国際学会 International Semantic Web Conference 2025 に参加し、ウィキデータをめぐる議論に接してきたので、その模様を記録しておきます。

学会概要
International Semantic Web Conference(以下、慣例に則り ISWC と略します)とは、セマンティック・ウェブに関する議論を行う国際学会で、同分野のトップカンファレンスとみなされています。ISWCでは、セマンティック・ウェブにおける重要なデータベースであるウィキデータについての議論も盛んに行われており、論文集 (proceedings) でもウィキデータを取り上げた論文が何本も公開されています。
参加の経緯
本稿を執筆している2025年時点で、私はウィキデータを含むウィキメディア・プロジェクトの研究を東京大学大学院で行っています。この縁もあって、ISWC 2025 にはボランティアの大学院生スタッフとして参加することができました。現地では設営作業など担当しつつ、空いた時間には会場で行われているセッションを聞きました。

ウィキデータをめぐる議論
ISWC 2025では、ウィキデータをめぐるセッションがいくつも開催されました。特に、初日の11月2日には “Wikidata Workshop” というワークショップが組まれ、ウィキデータに関連するセッションが集中的に実施されました。
私は設営作業の間隙を縫って各種セッションに参加しましたが、やはり楽しかったです。特に印象に残っているのは、ウィキデータの(ごちゃごちゃした)クラス階層をめぐる議論や、研究者としてウィキデータコミュニティにリーチする重要性についての議論でしょうか。上述のワークショップにおける発表についての論文はGitHubページにアップロードされているので、今後しっかり再読しなければと思っています。
ウィキデータ創始者との邂逅
私にとっての ISWC 2025 のハイライトは、なんといってもウィキデータの創始者 Denny Vrandečić さんとお会いできたことでした。Denny とは初日のコーヒーブレイクの際におしゃべりし、最終日にはお茶に誘ってもらいました。ウィキメディア・プロジェクトをめぐるオーラルヒストリーや、ウィクショナリーに適用されるウィキファンクションズの関数、そしてウィキメディア・プロジェクトをめぐる各種統計について縦横無尽にお話しできたのは、とてもいい思い出です。

感想
2025年にセマンティック・ウェブの話をすると、ほぼ必ず「大規模言語モデル (LLM) 全盛期に、セマンティック・ウェブ技術ってどうやって生き残っていくの?」という話になります。そして、それに対する明確な答えは、ISWC に参加した程度では得られませんでした。しかしISWCでは、セマンティック・ウェブをめぐる豊かなコミュニティが形成されているということを確認することができました。ウィキデータというセマンティック・ウェブの最高傑作(と私は思っています)に携わる人間として、その維持・発展に貢献していきたいなと改めて感じました。
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