Wikimania 2026 参加レポート② 韓国滞在と Pre-Conference「Wiki AI」

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ウィキマニアの参加レポート、2本目です。7/20 のパリへの移動(仁川での乗り継ぎと韓国観光)と、7/21 に開催された Pre-Conference のお話を記録しようと思います。

7/20 仁川乗り継ぎ & 韓国観光

今回利用した便は、関西国際空港を0時台に出発し、仁川国際空港には2時に到着する深夜便です。2時間のフライトですが機内食も出てくるため、食べ終わるころには1時台となっています。寝るタイミングを完全に失ってしまい、結局飛行機内では一睡もできませんでした。

仁川での乗り継ぎ時間が長めだったので、韓国への入国手続きもしてみました。祝、初韓国。なお、現在時刻は朝3時。

ここで韓国のウィキメディアン、Aspereさんと合流しました。前日のうちから、仁川空港まで駆けつけてくださったようです。先日の ESEAP Conference 以来、2か月ぶりの対面でした。今回のウィキマニア期間中、おそらく一番お世話になりました。

3時台の仁川国際空港からはソウル市内へ向かう交通手段がないので、5時台の始発を待ちつつ、ウィキメディアについて楽しくおしゃべりしました。空港内のお店をのぞいてみると、「かっぱえびせん」や「チョコビ」など、日本でもなじみのあるお菓子が並んでいました。

おしゃべりをしていると時間が経つのは早いもので、気が付けば5時となり、AREX(仁川国際空港鉄道)でソウルへ向かいました。とはいえ観光に使える時間は長くないので、観光はソウル駅と、その近くにある崇礼門(南大門)に絞りました。ソウル駅の旧駅舎はどこか見覚えがあるのですが、どこなのでしょうか。京都府立図書館のような気がします。

Old Seoul Station building
旧ソウル駅舎
Photo: Lin Xiangru, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
Sungnyemun (Namdaemun) gate in Seoul
崇礼門(南大門)、写真が適当なのはあまり時間がなかったから。
Photo: Lin Xiangru, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

再び空港に戻ると、韓国の Youngjinさんも途中から合流しました。Youngjin さんも同じ便でパリへ向かうそうです。

フライト前に、物理化学(その実態は量子化学)の講義動画や無機化学の講義資料をダウンロードしていたら、あっという間に搭乗時間になってしまいました。機内ではネットが使えませんし、教科書を持っていくとかなり重いので(※化学系の教科書は B5判で数百ページという、かなり大きなものが多いです。)、スマホやパソコンに教科書のデータをパンパンに詰め込んでいました。

偏西風に逆らって飛ぶため、約14時間とかなり長いフライトです。試験のことで頭がいっぱいで、そのプレッシャーからか、機内ではほとんど眠れませんでした(1〜2時間くらい?)。

機内の照明がついているうちに、「博物誌学」という授業の期末レポートを書きました。

「博物学」に関係すればなんでもいいよ、というゆるいテーマだったので、「ウィキペディアは『博物学』の一つの成果として位置づけられるのかも。授業で出てきた人物を見ていると、博物学の担い手は王侯貴族の趣味から、どんどんアマチュアにも広がっているよね、その終着点が『誰でも参加できる』ウィキペディアな気がする。今年のウィキマニアのテーマは『自由・公平・信頼性』だけど、今こういう将来への障壁があり、こうしておきたい。ウィキデータという面白いものがあるよ。ウィキデータやウィキペディアを博物学や博物館とうまく組み合わせていったら、もっと面白そう」などと、思いつくことを目いっぱい書いてみました。

自分のアイデアや意見をいろいろと出しながら整理する時間になったので、ウィキマニア前日のいい準備運動になったのではないでしょうか。


長いフライトを終え、パリに到着しました。現地時間で17時過ぎ、日本時間では24時過ぎで、気が付けば日付が変わっています。パリの上空から地上を眺めていると、日本とは違う土地の使い方が見えて、地理で勉強した知識って実際にはこうなっているんだ…と、勝手に納得していました。「パリは猛暑で大変だ」というニュースを聞いていたので半袖ばかり持って行ったのですが、想像以上に涼しくて、逆に困惑しました。ちなみに上着も用意はしていたのですが、京丹後に忘れてきてしまっていました。ああ…。

Aerial view of farmland near Paris from an airplane window
パリへ向かう機内から見た風景
Photo: Lin Xiangru, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

ホテルに到着してから、会場の建物内のフードコートにて、日本からの参加者たちとごはんを食べました。よく考えてみると、機内だけでなくその前日もあまり寝れておらず、かれこれ2日間起きていることになります。体はもう限界で、頭がボーっとしていました。

そんなこんなで解散して部屋に戻ると、お布団に直行しました。これにて、パリの1日目は終了です。

7/21 Wikimania 1日目 – Pre-Conference・Wiki AI

久しぶりに7時間も寝られました。気分はるんるん、りんりん(?)。朝ごはんはまっ黄色。そしてこの後も、ホテルの朝食はずっとこんな感じでした。すっかりフィナンシェの虜です。

Hotel breakfast in Paris with croissant and pastries
ホテルの朝食(盛り付けの下手さはご愛敬)
Photo: Lin Xiangru, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

狭義の Wikimania は 7/22〜25 の 4 日間 で、その前日の 7/21 には Pre-Conference(前夜祭、と意訳しましょうか。)が開催されます。Pre-Conference はテーマ別に分かれていて、Wikimedia Commons のカンファレンスや、拡張権限(管理者、チェックユーザー、ビューロクラットなどの上位権限)所持者の集まり、噂には聞いていた WikiWomen+ Summit などがありました。とくに目を引くものがなかったので、ベストではなくベターな選択ではありますが、Wiki AI という AI 関連の Pre-Conference に参加することにしました。

少し自分の話をしますと、私はいわゆる「生成AI」と呼ばれるものについて、あまり詳しくありません。そのうえで、ウィキペディアの執筆者という立場から「生成AI」にどういう印象を持っているかと訊かれたら、「生成AIの性能を論じる以前に、ウィキペディア上で生成AIをうまく使えていないように見える投稿を目にする機会が多く、そのせいで印象が悪くなってしまっている(し、同じように感じているウィキペディアンは少なくないのではないか)」というところでしょうか。また、「この記事は生成AIの出力ではないか」と感じる記事はある程度見分けがつくものの、現状では決定的な根拠がないと削除などの対処がしにくく、さらに作成のスピードに検証が追いつかないという点で、なかなか厄介な存在だと感じています。その意味では、機械翻訳以上に扱いの難しいツールだとも思います。

(※注:AI の性能向上はとても速いので、この記事が読まれるころには事情がかなり変わっているかもしれません。ここに書いたのは、ウィキマニア参加時点(2026年7月)での私の印象です。また、AI そのものを否定しているわけではなく、ウィキペディアでの使われ方に課題を感じている、という趣旨です。)

脱線した話をもとに戻しましょう。ウィキマニアの会場は、パリの科学館「シテ・デ・シアンス・エ・ド・ランデュストリー(Cité des Sciences et de l’Industrie)」の一部でした。科学館そのもののセキュリティチェックと、ウィキマニア会場のセキュリティチェックの二重チェックで、入場する前からすでに文化の違いに驚きました。

Wikimania 2026 banner at the venue in Paris
会場内のウィキマニアの看板
Photo: Lin Xiangru, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

ここからは、印象に残ったセッションを中心にお話ししていきます。

まず、最初の Keynote は、Wayback Machine で知られる Internet Archive の Mark Graham さんによる、同団体での AI 活用についてのお話でした。タスクを消化しつつ聞いていました。続いての Productive Coexistence というセッションは、私が参加したセッションの中では唯一のワークショップ形式のものでした。日本語を知らない参加者たちとディスカッションをしました。翻訳を使いながら話しているこの場がすでに、AI との Productive coexistence(生産的な共存)を達成できているのでは…?などと思いながら。

息抜きのコーナーとして、Anachrogen という、絵画の中から「時代錯誤な(Anachronistic)」間違い(時代を考えるとありえない矛盾)を探すゲームが行われました。大変面白かったです。ちなみに、「Anachronistic」という単語ですが、とあるウィキペディア記事を翻訳した際に登場した単語でもあり、「時代錯誤な」という訳は少し硬すぎると思い、訳に迷った記憶があります。

Anachrogen game at the Wiki AI Pre-Conference
Anachrogen
Photo: Lin Xiangru, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

Small Wikis(小規模言語版)に関するライトニングトークもありました。小規模言語向けに機械翻訳を作っているという話もありましたが、日本語版ウィキペディアでは機械翻訳をそのまま投稿することは禁止されています。個人的には、機械翻訳をそのまま使えない日本語版においては、コンテンツ翻訳(Content Translation)は使いづらく、意義がよく分からないツールだと感じています。ウィキメディア財団がホストする機械翻訳サービス MinT についても言及されていました。そんな機械翻訳サービスがあったんだ…と思い、MinT について詳しく調べた記憶があります(どこかの Diff 記事で言及したような気もします)。

初日から、難しいお話を不得意な英語で聞いていて、頭の処理能力がパンクしそうになりました。セッション以外のお話もしましょう。

ウィキマニアでは、世界地図の中で自分が来た場所にピンを刺すようです。初日にピンを刺している人はあまりおらず、日本にはまだ誰も刺していなかったようです。という訳で、京都のあたりにピンを刺してみました。

Pointing at Japan on the attendee map at Wikimania 2026
From Kyoto to Paris 💓💓
Photo: Lin Xiangru, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

少し息抜きに、会場の科学館を探索しました。会場外のカフェには水槽が置いてあり、気分が少し落ち着きました。

そしてなにより、併設されている図書館には心が躍りました。「CHIMIE」(化学)コーナーを見ていたのですが、中には『マッカーリ・サイモン物理化学』のフランス語版が!私も使っている教科書なので、少しテンションが上がりました。日本語版は上下巻に分かれていますが(上巻だけでも約700ページの分厚い本です)、フランス語版は1冊にまとめられているので、それ以上に大きく、もはや鈍器です。

お土産コーナーも物色しましたが、なかなか面白いグッズが揃っていました。動くアインシュタイン像も刺さりましたが、何よりも周期表グッズが良いです。私は「元素」という入り口から、今のウィキペディア活動や化学の勉強へとつながってきたので、やはりなじみが深いです。

マリー・キュリー推しが強いのも良いところです。実は、私がフランスに来た理由の一つもそれでした。どうしても行きたい場所があり、そこにはウィキマニアの3日目に行くことになります。

その後も発表はいろいろと続きましたが、「ここから先は開発者向けだから」ということで、1日目は少し早めに切り上げることにしました。初日から、いろいろと情報の洗礼を受けたような気がします。

少しふりかえり

ウィキマニアから2か月ほど経って、このレポートを執筆しています。ここ2か月の夏休みでは、ウィキペディアにまつわることを広く浅く調べて、実際に手を動かして体験してみました。今このタイミングで、ウィキマニアでのセッションの写真を見返してみると、「わかる」話題が増えているなとか思いました。もったいないことをしたな、と後悔しつつ、そうしたことにも触れてみるモチベーションにはなったので、よかったのでしょう。

区切りがいいので、第2回はこの辺で終わりにします。次は、ウィキマニア2日目と3日目の記録をしようかと思います。

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