Wikipedia認知度調査アンケート 第1次結果報告

 

2023年10月24日から11月15日までの23日間、日本では、四半世紀の伝統ある図書館フォーラム「図書館総合展」がオンライン・オフライン両方で開催されました。このフォーラムに参加した「ウィキペディア展覧会」は、まだウィキメディアに参加したことのない人々に対して、広くウィキメディア活動への参加を呼んでアウトリーチ活動を行っています。

 さて、いまや日本では大半の人がその存在を知っているだろうウィキペディアですが、実際に「どのくらい正確に」知られているのでしょうか? 今回のアンケート調査では、その仔細を探ることを目的に、350人から回答を集めました。その結果を以下に報告します。

 まず、調査期間と回答者の内訳は、次のようなものでした。

調査期間:2023年10月24日~11月15日(23日間)/ 回答者数:350人 / 回答者の男女比:男性31.8%、女性66.5%、その他1.7% / 回答者の年齢比:22歳以下17.6%、23歳以上30歳以下11.3%、31歳以上50歳以下37.4%、51歳以上68歳以下32.3%、69歳以上 1.4%

1.「ウィキペディアを読むことがあるか?」という質問には、99.1%(347人)が程度の差はあれ「読む」と回答しました。

2.「ウィキペディアが百科事典である」ことは8割の人が知っています、「知らなかった」「百科事典であるかということを気にしたことがありません」と回答した人はそれぞれ1割程度と少数でした。この結果は、調査を行った場がウィキペディアのアウトリーチ活動の現場であることから、一般平均よりも認知度が高く出ている可能性があります。

3.「ウィキペディアが誰でも編集できるコンテンツである」ことは、百科事典であると知る人よりも多く、96%が知っていました。この数値も問2と同様の理由で一般平均より高い評価となっている可能性がありますが、多くの人に「だれでも編集できること」が知られていることは、間違いないでしょう。

4.「ウィキペディアを編集してみたいと思いますか?」という質問には仕事や趣味など自分の生活に役立つちそうならやってみたいという人が、51%以上と過半数でした。答えた人、編集したいとまったく思わない人はそれぞれ約24%となっており、「編集できることは知っているけど、自分がしたいとは思わない人」が一定数いることがわかりました。

5.「ウィキペディアをどのくらい編集しますか?」という質問には、66.6%が「編集したことはない。」と回答しましたが、そのうちの1割程度の人は「試しに、編集ボタンを押してみたことはある。」とも回答しました。編集したことがある人のおよそ3人に1人は、「記事を読んでいて間違いを見つけたら編集する」「既存記事に不足を感じたら編集する」「(個人ではやらないが)イベントなどで共同編集はする」など、なにかのきっかけがあればウィキペディアを編集するようです。

6.「ウィキペディアを編集するイベント(エディタソン)に参加する機会があれば、参加してみたいですか?」という質問では、41.3%の人が「近所であれば参加したい」と回答し、次いで30.9%の人が「開催場所や内容が魅力的であれば参加したい」、21.5%の人が「オンラインなら参加したい」、16.3%の人が「職場の研修や学校の授業であれば参加したい」と回答しており、これまでウィキペディアを編集したことがない人(前項66.6%)も、多くの人が、「機会があれば編集活動に参加してみたい」と考えていること窺えます。「参加したくない」と答えた人は、わずか14%でした。

7.自由記述で率直に回答いただいた「ウィキペディアのイメージ」では、圧倒的に多くの人がウィキペディアは「便利」であると回答しており、特によく知らないことについて概略を把握するのに役立つと回答しています。

 一方で、信頼性については意見が分かれました。多くの人は、ウィキペディアの情報は信頼性に欠けると考えており、編集したことがない人ほど、ウィキペディアは信頼できないものと考えている傾向が見受けられました。ウィキペディアの編集方針やガイドラインなどへの理解を広げることが、ウィキペディアへの期待を高め、このコミュニティに参加しようという意欲を高めるのではないかと推察されます。

 この自由記述の回答は、X(旧Twitter)の「ウィキペディア展覧会」で #wikipedia認知度調査 のハッシュタグで発信しています。

 今後も、様々な場面で様々な人々と協力し、いまはウィキペディアに縁遠い人にも編集体験などを通してこのコミュニティに親しんでもらえる機会を創出していきたいと思います。