Eugene Ormandy のウィキマニア2024体験記(8月7日編)

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稲門ウィキペディアン会の Eugene Ormandy です。2024年8月7日から10日にかけて、ポーランドのカトヴィツェで開催された国際会議「ウィキマニア2024」に参加してきたので、その模様を報告します。本稿では、ウィキマニア初日の8月7日の動向を記します。

なお、この日の予定は事前に「ウィキマニア2024のプログラムが公開されたので予定を立ててみた(8月7日編)」という Diff 記事にまとめていたのですが、かなり予定を変更して動きました。その経緯についても記しておきます。

ウィキマニア2024のポスター。(Kasia Ostrowska (bazgra_nina), CC0)

起床

6:30ごろ起床。メールボックスや、メッセージアプリのテレグラムに寄せられたメッセージを確認しつつ、スクワット50回をこなしました。また、日本から参加したウィキメディアンたちのグループチャットに「8:10ごろホテルを出発する予定なので、もしよければ一緒にいきましょう」というメッセージが入っていたので、それに合わせて動くこととしました。

朝食

その後、ホテルで朝食。同じく日本から参加した Narumi.SBT さんや、Wadakuramon さんとおしゃべりしつつ、ビュッフェを楽しみました。

いざ会場へ

日本から参加したウィキメディアン数名でホテルのロビーに集合し、一緒に会場の International Congress Centre へ。かなり大きな建物で、入口にはウィキマニアのポスターが飾られていました。

ウィキマニア会場外観。(Krzysztof Popławski, CC BY 4.0)

会場に入り、まずは手荷物検査を受けました。その後、ロビーで参加者用のバッグを受け取りました。バッグにはお土産として、ウィキマニアのロゴが入った靴下や、ステッカーが入っていました。

入口での手荷物検査を待つウィキメディアンたち。(Aliva Sahoo, CC BY-SA 4.0)
入口での手荷物検査の様子。(Gnangarra, CC BY 2.5 AU)
手荷物検査を終えた後ロビーへ。画面奥の階段を登り、メインホールや各種セッションが開催される部屋へ行きます。(Aliva Sahoo, CC BY-SA 4.0)
ロビーで参加者用バッグを受け取るウィキメディアン。画面左奥は入口および手荷物検査スペースです。(Gnangarra, CC BY 2.5 AU)
参加者に配られたバッグ(右)。ウィキマニアのロゴが記された靴下(左)が入っていました。(Gnangarra, CC BY 2.5 AU)
ロビーに設置された世界地図に、自身の出身地をピン留めする参加者たち。(Manfred Werner (WMAT), CC BY-SA 4.0)
ロビー奥の階段を登った、メインホール入口付近。かなり広々としていて、ウィキメディアンたちがおしゃべりに興じていました。(Manfred Werner (WMAT), CC BY-SA 4.0)

会場には、コーヒーやお菓子が設置されたコーナーがあったので、日本からの参加者とおしゃべり。また、ウィキメディア台湾職員で友人の Joyce、そして台湾のウィキメディアン林文仁さんと合流し、オリエンテーションが開催されるメインホールへ向かいました。

日本と台湾のウィキメディアンの交流の様子。(Eugene Ormady, CC0)

9:00-10:00

9:00 から 10:00 にかけて、広大なメインホールでオリエンテーションが実施されました。舞台にはウィキマニア2024のコア・オーガナイズ・チームのメンバーが登壇し、ウィキマニアの概要を説明しました。大まかな内容は以下のとおりです。ちなみに、このオリエンテーションはライブ配信されませんでした。

  • 今回のウィキマニアのテーマは “Collaboration of the Open” だよ。
  • ウィキメディア・コミュニティ外からもスピーカーを招いているよ。
  • ウィキマニアのためをデザインを紹介するよ。
  • CEE ハブ(中央、東ヨーロッパのウィキメディアンのコミュニティ)の繋がりに感謝します。
  • カトヴィツェの歴史について紹介するよ。
  • ポーランドの食べ物を色々と用意しているよ。
  • トラスト&セーフティの体制も整備しているよ。
メインホールで行われたオリエンテーションの様子。(Robert Drózd, CC BY-SA 4.0)

オリエンテーション終了後は少し時間が空いたので、ロビー付近でウィキメディアンたちと歓談。すると、日本マレーシア友好プロジェクトを一緒に立ち上げた盟友で、去年のウィキメディアン・オブ・ザ・イヤーでもある Taufik Rosman が視界に入ったので、こっそり近づいて「久しぶり!」と声をかけました。元気そうでよかったです。

その後、事前に約束していたとおりプレゼント交換を実施。私は風呂敷をプレゼントし、Taufik はマレーシアのバティック(シャツ)をくれました。また、トルコの友人 Caner も通りかかり、Taufik とプレゼントを交換。

我々3人は仲がよく、しばしば Diff の記事を共同で書いたり、日本マレーシア友好プロジェクト日本トルコ友好プロジェクトを通して交流したりしています。また、今回のウィキマニアでも8月10日にこの3人で発表を行いました。

ウィキマニア2024会場ロビー付近にて。左から Taufik Rosman, Wadakuramon, Eugene Ormandy, そして Caner. (Tofeiku, CC BY-SA 4.0)

予定変更

この後は、いくつかの部屋で様々なセッションが実施されました。前述のとおり、8月7日の私の予定は「ウィキマニア2024のプログラムが公開されたので予定を立ててみた(8月7日編)」というブログ記事にまとめていたのですが、記事を書いた後にウィキメディア財団からノートテイカーのボランティア業務を割り当てられたので、予定を変更して動きました。特に午前中の予定が大幅に変更となりました。

10:00-10:25

10:00-10:25 は、ノートテイカーとして “Communicating as human beings. An introduction to nonviolent communication (introductory session)” というレクチャーに参加しました。レクチャー内容は、非暴力的なコミュニケーションのために気をつけるべきことについて。ウィキメディアに直接関わる内容ではありませんが、ウィキメディア外でも役立ちそうな内容でした。

講師は、トラスト&セーフティチームの Lorenzo Losa さん。「何か不満があった際、正直に伝えるのにはテクニックが必要。では、どんな風に言えばよいのでしょうか」という問題提起を行なったのち、「Observation – Feelings – Needs – Requests」という4段階で伝えるといいよねとアドバイス。ウィキマニアで問題があった際も、このフレームワークで動けるといいねという話がありました。

レクチャーの概要および議事録のリンクは以下のとおりです。なお、本レクチャーのライブ配信は行われませんでした。

講師の Lorenzo Losa さん。2023年撮影。(Biswarup Ganguly, CC BY 3.0)

10:30-10:55

10:30-10:55 は、同じくノートテイカーとして “What tools you can use to fill Structure Data on Commons files.” というレクチャーに参加しました。講師を務めたのは、User:PMG さん。タイトルのとおり、ウィキメディア・コモンズ上のファイルに構造化データ(ウィキデータ)を付与するためのツールをいくつか紹介なさいました。

レクチャーの様子。(Pierre-Selim Huard, CC BY 4.0)

紹介されたツールは、以下のとおりです。ちなみに、私が知っていたのは AC/DC とPetScan だけでした。なお、この2つについても、実際に使ったことはありません。

それぞれのツールの具体的な内容については、解説ページおよびレクチャー動画に譲りますが、ものすごく大雑把に言えば、コモンズ上の写真にうつっている主題をウィキデータと紐付ける作業を様々な面から効率化するためのツール集です。今後、自分でも使ってみようと思います。

講師の User:PMG さん。(Psubhashish, CC BY-SA 4.0)

以下、かなりマニアックな感想なので、興味がない方は次のセクションまで読み飛ばしてください。

実は、私はあまりウィキメディア・コモンズを積極的に編集しておらず、特に被写体の特定作業(ウィキデータを用いた紐付け作業含む)は、自分の撮影した写真以外ではほとんど行っていません。というのも、被写体を特定するという作業は、ウィキペディア(ウィキメディア・コモンズではない)における「検証可能性」を満たした作業とは言えない場合が多く、果たしてそれがアマチュア集団であるウィキメディアンが行うべきものなのか判断しかねていたからです。例えば「見た目はネコそっくりだが、実はイヌ」という生物がうつった画像に、素人のウィキメディアンが「ネコ」というウィキデータを付与してしまう可能性がありますし、それを検証できる術がほとんどありません。

ウィキペディアからウィキメディア・ムーブメントに足を踏み入れた人間ということもあり、私はウィキペディア(特に日本語版)のガイドライン、方針を他のウィキメディア・プロジェクトにも当てはめて考えてしまうという悪い癖があります。とはいえ、検証可能性や一次資料の扱いのスタンスが、ウィキメディア・プロジェクト間でかなり異なっているのは事実なので、本件については別の機会にじっくり検証しようと思っています。

前置きが長くなりましたが、私はこのレクチャーを受講して「そうも言ってられないな」という感想を抱きました。というのも、生成AI等による、きわめてクオリティの低い被写体の特定作業が大規模に行われる可能性に気がついたからです。それならば人間が手動で特定作業を進めた方がまだマシだな……と感じました。また、これはウィキデータの編集にも言えることですが、既存のデータ、画像(およびそのメタデータ)のクオリティをあげておけば、生成AI等による出力のクオリティも多少マシにはなるかな……とも感じました。

感想が長くなりました。レクチャーの各種記録は以下のとおりです。

PMG さんのレクチャー “What tools you can use to fill Structure Data on Commons files.” の様子。48:54 から 1:01:43 ごろまで。なお、レクチャー冒頭部分はうまく録画されなかった。

ちなみに、このレクチャーでは、隣の席に座った、ドイツからの参加者 User:Cookroach さんと仲良くなりました。休憩時間中に、ウィキデータにまつわるお互いの関心をシェアして、連絡先を交換。なお、私はウィキデータを用いたビジュアライゼーションについて紹介しました。「たまたま隣に座った人がウィキデータユーザーだったから、互いの活動領域について話した」なんて経験、ウィキマニア以外ではなかなかできませんね。

User:Cookroach さん(左)。(Eugene Ormandy, CC0)
筆者 Eugene Ormandy がウィキデータを活用して作成したグラフ。ヴァイオリニスト鷲見三郎の弟子をグラフ化している。隣の席に座った Nills さんに紹介した。(Eugene Ormandy, CC0)

11:00-11:25

11:00-11:25 も、同じくノートテイカーとして “WikiProject International Botanical Congress 2024” というレクチャーに参加。講師は Wikimedia Aotearoa New Zealand のメンバー Siobhan Leachman さんとHeidi Meudt さん。Siobhan は2023年のウィキマニアで一緒にウィキメディアン・オブ・ザ・イヤーを受賞した友人で、それ以降も一緒に Diff でブログ記事を書いたりしています。

レクチャーの様子 (Eugene Ormandy, CC0)

レクチャーでは、スペインで開催された International Botanical Congress 2024 に参加して、植物に関連するウィキデータのポスターセッションを行った Siobhan たちが、その経緯を説明しました。具体的には、事前にどのような準備をしたか、ニュージーランドからの費用を捻出するためにウィキメディア財団を含む各種団体とどのように交渉したか、ポスターセッションではどのようなことを説明したかが詳しく語られました。

スペインで開催された International Botanical Congress 2024 で Siobhan たちが行ったポスターセッション。(Nicolekearney, CC0)

レクチャーを聞いて、とにかくその胆力に感動しました。海外で開催される会議の担当者に「ウィキデータに関する発表をさせてくれないか」と交渉するガッツ、そして様々な障壁を乗り越えつつ企画をなんとか実現させる行動力は見習いたいものです。また、特定分野の専門家・好事家にまとめてアウトリーチできるのは、ウィキメディア・コミュニティにとって非常に有益だなとも感じました。「アマチュアでもコミットできる」というのがウィキメディア・プロジェクトの良さではありますが、専門知と提携すれば、より発展するのは論をまたないでしょう。今後の自分のアウトリーチ活動にも、何かしらの形で活かしたいものです。

レクチャーの動画

11:30-11:55

11:30-11:55 も、同じくノートテイカーとして “Future of MediaWiki: A sustainable platform to support a collaborative user base and billions of page views” に参加。講師は Birgit Mueller さんです。内容はウィキメディア財団による MadiaWiki の改良作業について。Selena Deckelmann さんの Diff 記事などを通して「MediaWiki はそろそろアップデートしないとマズいらしい」程度のことは知っていたものの、私は MediaWiki を実際に使ったことはほとんどないので、残念ながらレクチャーでは理解が追いつかない箇所もありました。今後勉強しようと思います。

レクチャーの動画。1:34:58 から 2:04:44 まで。

12:00-13:30

その後は、メインホールでビュッフェ形式のランチを堪能。マレーシア、インドネシアの友人たちが座っていたテーブルにお邪魔し、おしゃべりをしながら一緒にランチを楽しみました。彼らとはウィキマニア2023ESEAP Conference 2024 で実際に会っているほか、日本マレーシア友好プロジェクトの各種オンラインイベントで何度も顔を合わせているので、もはや長年の友人のような感覚です。ウィキメディアの話やら、学業・仕事の話やら、とりとめのない楽しいおしゃべりをしました。

メインホールでのランチの様子。(Eugene Ormandy, CC0)
マレーシアの友人 Wafiq(右)と。(Eugene Ormandy, CC0)

13:30-14:45

13:30-14:45 は、”OpenRefine + Wikidata = ~*magic*~” というレクチャーを聴講。講師は Asaf Bartov さんです。参加者はとても多く、大盛況でした。

講師の Asaf Bartov さん。(Pymouss, CC BY-SA 4.0)

レクチャーの内容は、OpenRefine というソフトウェアを活用して、ウィキデータをまとめてアップロードする操作の説明です。ひとつひとつ画面を共有しながら説明してくれたので、わかりやすかったです。また、シンガポールのウィキマニア2023でも実感しましたが、講師の Asaf Bartov さんは本当にプレゼンテーションが上手で、見習いたい点が多々ありました。フロアからの質問に対して「いい質問ですね!なお『いい質問』とは講師が答えられる質問のことを言います」と切り返したのには大爆笑。さすがでした。

なお、個人的には、GLAM がウィキメディアンと協力して典拠データを一括アップロードする際に OpenRefine がどのように使われるのか、そしてその際にどのような苦労があるのかといった話も聞けると良かったなとは思いましたが、こちらについては別のメディア等で勉強しようと思います。ちなみに、日本では東京藝術大学図書館が OpenRefine を活用した画像提供を実践しているものの、あまり他の事例を聞きません。今後発展してほしいですね。

レクチャーの動画。3:58:54 から5:26:28 まで。

15:00-15:30

15:00-15:30 は休憩時間。ウィキメディアンたちは思い思いに過ごしました。私は軽食スペースでさえぼーさんと再会し、お互いが参加したセッションの感想をシェアしました。その後、ウィキメディア・アルゼンチンの職員で友人の Angie Cervellera さんと Mauricio V. Genta さん、そして日本から参加した方々も合流したので、互いに自己紹介を行いました。このようにウィキマニアでは、ちょっとした休憩時間に国際的なネットワークが形成されます。

日本とアルゼンチンのウィキメディアンによる交流の様子。(Eugene Ormandy, CC0)

その後は、ひょんなことからイタリアのウィキメディアンと立ち話。「そういえば、イタリア政府が作成した独自の著作権ライセンスについて、クリエイティブ・コモンズやウィキメディア・イタリアが抗議してましたよね?」と尋ねたところ、「そうなんですよ。パブリック・ドメインになった絵画ですら、デジタル化したものを活用するには許可が必要とされるんです。だから、イタリアの絵画を用いたパズルが欲しかったら、イタリアの会社じゃなくて、ドイツの会社から買った方がいいですよ」とのこと。悲しいですね。なお、イタリアの動向については下記のウェブ記事に日本語で簡単にまとまっているので、興味がある方はご覧ください。

  • 「クリエイティブ・コモンズ、イタリア・文化省が策定した文化遺産デジタル化計画に関するコメントを発表」『カレント・アウェアネス・ポータル』2022年7月6日。https://current.ndl.go.jp/car/46445

実は、私の出身校である早稲田大学の古典籍総合データベースも、似たようなことをしています。明らかに著作権が切れている資料が含まれているにもかかわらず、「本データベースに収載された画像、書誌情報等を当館に無断で、テレビ放映、出版物(各種電子媒体を含む)、ホームページ等に使用することは一切認めておりません。詳しくは当館ホームページの「利用者別案内」をご覧ください」と明言しているのです。国立国会図書館が運営するジャパンサーチとはえらい違いですね。

著作権、文化利用に対する無理解はもちろんのこと、自館のサービス・資料についての壊滅的な広報センスについても、素人ながら心配してしまいます。なお、もちろんこの事例はイタリアのウィキメディアンに共有しておきました。案の定「あちゃー」という反応でした。

15:30-15:55

日本語版 Diff に寄稿したブログ記事「ウィキマニア2024のプログラムが公開されたので予定を立ててみた(8月7日編)」に書いたように、この時間は “Regional hubs within the Wikimedia movement: opportunities and challenges for open collaboration” というレクチャーに参加しようと思っていたのですが、間違えて “WikiJournal: 10th anniversary” というレクチャーが行われている部屋に入ってしまいました。とはいえ、せっかくの機会なのでそのまま聴講することに。レクチャーの予習こそしていませんが、Wiki Journal にはもともと興味があったので、結果オーライです。

レクチャーの様子。(Eugene Ormandy, CC0)

Wiki Journal とは、ものすごくざっくり言うと、ウィキメディア・プロジェクト上に学術雑誌のようなシステムを作ろうという(挑戦的な)プロジェクトです。学術雑誌同様、ピアレビュー制度を取り入れたり、DOIを取得したりしています。

概要こそ知っていたものの、Wiki Journal の具体的な動向は全く把握していなかったのですが、レクチャーを聞いて「想像以上に成果を上げているんだな」と感じました。学術情報流通の分野においては、プレプリントや事前登録論文など、今までの「論文」とは違った形の成果物が登場していますが、Wiki Journal ももしかしたら選択肢の一つとして存在感を増していくかもな……と思いました。今後の動向に注目ですね。なお、いわゆる「論文」の形が多様化している事情については、下記の記事がわかりやすくまとめてくれているので、興味がある方はぜひご覧ください。

  • 佐藤 翔, 学術情報流通の多様化:査読誌の「4機能」の変化, 情報の科学と技術, 2023, 73 巻, 1 号, p. 2-8. https://doi.org/10.18919/jkg.73.1_2
Wiki Journal User Group のロゴ。(Mikael Häggström, CC BY 4.0)

「学術情報流通の基礎知識がある人でないと、ちょっと難しい内容かもしれないな」とは感じましたが、大変刺激的なレクチャーでした。興味がある方はぜひ動画や概要等をご覧ください。

レクチャーの動画。5:42:40 から 6:13:51 ごろまで。

16:00-16:55

ブログ記事「ウィキマニア2024のプログラムが公開されたので予定を立ててみた(8月7日編)」に記したとおり、この時間は “Wikimedia Summit 2024 Follow-Up – Looking back and ahead” というレクチャーを聴講する予定でしたが、ちょっと気分転換をしたいなと思い、”Hang Out Room” と題された部屋へ行きました。ここは休憩・交流用のスペースで、ウィキメディアンたちがリラックスして過ごしていました。

Hang Out Room の様子。ウィキメディアンたちが休憩・交流している。世界各地からのお土産も置かれている。(Gnoeee, CC BY-SA 4.0)
Hang Out Room の様子その2。(Eugene Ormandy, CC0)

Hang Out Room には、日本から参加したウィキメディアンや、カナダから参加した日本語話者のウィキメディアンがいたのでおしゃべり。「英語の巧拙に関係なく、こういった国際会議に参加する日本語話者が増えるといいよね」という話で盛り上がりました。

また、オンライン上での交流はあったものの、対面では会ったことがなかったウィキメディアンたちとも挨拶を交わすことができました。例えば、チリで活動するウィキメディアンで、ディアスポラに関する情報の拡充に取り組んでいる User:Igallards7 さんや、ギリシアのウィキメディアンで、
Extracurricular Wikimedia organizations などのテレグラムグループでお見かけすることの多い Nikos Likomitros さんとお話しすることができました。

17:00-19:00

17:00-19:00 は、メインホールでオープニングセレモニーが開催されました。私は事前にマレーシアの友人 Taufik Rosman と「一緒にオープニングセレモニー聞こうぜ」と約束していたので、Taufik を見つけ出し、同じテーブルに陣取りました。なお、同じ卓には、マレーシア、インドネシア、エストニアの友人たちもいました。

その後、熱気に包まれたオープニングセレモニーが開始。演出も非常に豪華で、ポーランドのマーチングバンドの演奏が披露されました。音楽好きとしてはたまらないですね。

オープニングセレモニーの様子 (ProtoplasmaKid, CC BY-SA 4.0)
オープニングセレモニーにて演奏するマーチングバンド。(Ahmad Ali Karim, CC0)

オープニングセレモニーには、ウィキペディアの創設者ジミー・ウェールズも登場。相変わらずの存在感でした。セレモニーでは、ウィキマニアの歴史が簡単に紹介されたほか、昨年この世を去ったウィキメディアンたちへの追悼も行われました。

オープニングセレモニーに登壇するジミー・ウェールズ(左)と、ウィキメディア財団の Natalia Szafran-Kozakowska さん。(Le Commissaire, CC BY-SA 4.0)

そしていよいよ、ウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー2024の表彰式へ。隣の席に座る、2023年のウィキメディアン・オブ・ザ・イヤーである Taufik もワクワクしながら待ち構えていました。

実は2023年の表彰式でも、私と Taufik は隣の席に座り、お互い緊張しながら自分の名前が呼ばれるのを待っていたのですが(私も新人部門の受賞者だったのです)、今回はリラックスしながら純粋に楽しむことができました。なんてったって、今回は自分たちの名前は絶対に呼ばれませんからね!

ウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー2024表彰式を楽しむ、2023年受賞者の Taufik Rosman. (Eugene Ormandy, CC0)
Taufik と筆者。(Eugene Ormandy, CC0)
2023年にシンガポールで開催されたウィキメディアン・オブ・ザ・イヤーの表彰式でも、Taufik と筆者(手前から2列目)は隣同士でした。(Gnangarra, CC BY 2.5 AU DEED)

ここ最近の傾向では、ウィキメディアン・オブ・ザ・イヤーは6人程度選出されることになっています。新人部門、技術者部門などで1名ずつ選出されたのち、最後に大賞である「ウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー」が選ばれます。今年は Functionary of the Year 部門が新設され、7人が選ばれました。

各部門ごとに受賞者が発表され、それぞれスピーチを行うわけですが、びっくりしたのは Media Contributor of the Year 部門。なんと、日本トルコ友好プロジェクトを一緒に立ち上げた Caner の名前が呼ばれたのです!

もちろん、Caner の実績はウィキメディアン・オブ・ザ・イヤーに相応しいと思うのですが、Caner は事前に私とTaufik に「今年は自分は選ばれそうにないや……」と話していたのです!隣に座る Taufik と一緒に「Caner のやつ、俺たちを騙しやがったな……」と笑い合いました。なお、Caner は受賞者スピーチにて、日本トルコ友好プロジェクトと、同プロジェクトの共同創設者である私の名前に言及してくれました。とても嬉しかったです。

他にも、オンラインの参加ではありましたが、韓国の友人 Gu Eun-ae さんが Honorable mention 部門に選出されたのも大変嬉しかったです。すぐにテレグラムでお祝いメッセージを送りました。

Functionary of the Year 部門の受賞者 Vira Motorko さん。(Качуровська, CC BY-SA 4.0)
Tech Contributor of the Year 部門の受賞者 Siddharth VP さん。オンラインにて参加。(Lord Ravager, CC BY-SA 4.0)
Honorable Mention 部門の受賞者 Gu Eun-ae さん。オンラインにて参加。(Aspere, CC0)
Newcomer of the Year 部門の受賞者 The Wayuu Community およびその代表者 Leonardi Fernández さん。登壇者のうち右から2番目が Leonardi さん。(Jacek Durski, CC BY 4.0)
Media Contributor of the Year 部門の受賞者 Yılmaz Caner Özyayıkçı さん(舞台右)。(Le Commissaire, CC BY-SA 4.0)
Wikimedia Laureate 部門の受賞者 User:DerHexer さん。(Ahmad Ali Karim, CC0)
Wikimedian of the Year の Hannah Clover さん(舞台中央)。(Pedro J Pacheco, CC BY-SA 4.0)
オンラインでの参加者も含めた、ウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー2024受賞者の集合写真。(Robert Drózd, CC BY-SA 4.0)
オープニングセレモニーおよびウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー授賞式のビデオ。

19:00-21:00

オープニングセレモニー終了後は、メインホールでビュッフェ形式のパーティーです!マレーシア、インドネシア、トルコ、ニュージーランド、ドイツ、エストニアといった様々な国のウィキメディアンとおしゃべりをしながら、ゆっくり食事を楽しみました。

トルコ、マレーシア、インドネシア、日本のウィキメディアンたち。(Rafli Noer Khairam, CC BY-SA 4.0)

また、Taufik と私で、今年のウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー受賞者たちを探し出し、お祝いをしました。現地参加者のうち、残念ながら Vira さん、DerHexer さんには会えなかったのですが、Hannah さん、Leonardi さん、そして Caner には会えたので、おしゃべりを楽しみました。

さらに、自分と同じ部門の受賞者には、先代受賞者としてプレゼントを渡しました。具体的には、Taufik は Hannah にぬいぐるみを、私は Leonardi に扇子をプレゼントしました。2023年のウィキマニアでは、表彰式に先代受賞者が登壇し、舞台上で新受賞者にプレゼントを贈呈したのですが、2024年は演出が変更となり先代受賞者の登壇が無くなったので、「せめてプレゼントの伝統だけは残したいね」とTaufik と話していたのでした。

左から Taufik Rosman, Eugene Ormandy, Caner。(Rafli Noer Khairam, CC BY-SA 4.0)
左から Eugene Ormandy, Taufik Rosman, Hannah Clover。(Eugene Ormandy, CC0)
左から Leonardi Fernández, Eugene Ormandy。(Tofeiku, CC0)
シンガポールで開催されたウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー2023表彰式にて、ウィキメディア財団職員の Mehrdad Pourzaki さんと、Newcomer of the Year 2021 受賞者の Carma citrawati さんからプレゼントの人形を受け取る筆者。Taufik と筆者で「2024年もシンガポールみたいに受賞者にプレゼントをあげたいね」と話した。(Jeromi Mikhael, CC0)

ホテルにて

その後、21:00過ぎごろホテルへ戻りました。ウィキマニアでは朝夜にスクワット50回を行うことを目標としていったのですが、この日は疲れていたので、20回、10回、10回、10回に分けて実行しました。「まあ、ゼロよりはマシ!」と言い聞かせて、ぐっすり寝ました。

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