私をペチュニアにしないで!ウィキマニアプログラムレビュアーの告白

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透明性や開放性はウィキメディアムーブメントにとって重要な要素で、カトヴィツェで行われた今年のウィキマニアのテーマでもあるので、この記事ではレビュアーとしてウィキマニアへの応募を評価するのにあたって私がどういう基準を用いたかを説明します。レビュアーは全員、公平で偏見のない審査をすることになっていますが、今年の応募者も将来ウィキマニアに応募したいと思っている人も、どちらもそれぞれのレビュアーはどうやって応募申請案を審査しているのだろうか…ということが気になるのではないかと思います。基準の一部を公表することで、将来応募する人がもっと良い応募申請案を書けるようになるかもしれません。もちろん私の基準は他のレビュアーの基準と違うでしょうが、将来の応募者を助けるために、私のひみつ(!)の基準を機密情報に触れない程度にお話します。

1. 新しくしよう

ひとつめの基準は、新しいアイディアは今までに他のところで発表されたアイディアよりも歓迎されるということです。この基準は全レビュアーに共有されていて、おそらく一番大事だと見なされているのではないかと思います。似た発表を何回も聞きたくないでしょ。前の発表が記録されてYouTubeやプロジェクトサイトなんかでオンライン公開されている場合はとくにそうですね。もし以前に地域のウィキメディアの会合で似たセッションをやったことがあるなら、ウィキマニアでアクセプトされるチャンスは減ります。セッションがアクセプトされるかどうかはおおむね応募申請案がどれくらい重要か、面白いかによりますが、 完全に一味違うようなもののほうが常に興味をそそります。

この基準は「プロジェクトの進展アップデート」みたいなセッションにもあてはまります。「プロジェクトの進展アップデート」みたいなセッションを見かけると、レビュアーは毎年ウィキマニアで特定プロジェクトのアップデートをする必要が本当にあるのかな…と思ってしまいます。もし前のウィキメディア関連会合でやったのと同じメンバーでセッションを組織する予定なら、それはやめましょう。とくに私のトラックであるGLAMでは、博物館や図書館関係のウィキメディアンのグループが組織同士のパートナーシップを強化するため、数年おきに似たようなメンバーでセッションを組織しようとする傾向があります。でも、こういうタイプの応募申請を見ると、レビュアー(少なくとも私)は『銀河ヒッチハイク・ガイド』に出てきたペチュニアの鉢よろしく、「おいおい、またですか」みたいな気分になります。継続は力なりといいますが、新規参加者と新しいアイディアがもっと機会をもらうべきでしょう。レビュアーをペチュニアにしないでください。

Petunias in a bowl (by Maina Tadu)

2. 個人的経験よりも明確に説明されたプロジェクト

これは私がレクチャーやパネルのようなセッションを審査する時に使った個人的な基準なのですが、レクチャーやパネルについては、明確に説明されたプロジェクトに関するもののほうが個人的経験を共有するだけでそれ以上の発展がないものよりも優先です。もちろん個人的経験を共有するのはコミュニティにとって不可欠なのですが、個人的経験に関するレクチャーやパネルは話し手の経験が突出してユニークなものでないかぎり、ぼんやりしたものになってしまう傾向があります。ミートアップ、協働的なワークショップ、ラウンドテーブル、ポスター、地域のミーティングなどのほうがウィキメディアンの個人的経験を共有するにはよりふさわしいと思います。自分の話に一番あったセッションタイプを選びましょう。

特定のプロジェクトについてレクチャーやパネルの応募申請案を用意するのなら、とにかくできるだけ具体的に書いてください。プロジェクトの目的、カバーする範囲、結果をはっきり書いて、できたらプロジェクトページへのリンクもつけましょう。自分のプロジェクトについて一切知らないレビュアーに新しいアイディアを説明する必要があるのだと考えてください。簡潔は機知の要ですから、長くてぼんやりした説明をしてもレビュアーは興味を持ちません。パネルを組織したいなら応募前に発表者を確定しましょう。みんな同じことをするので、自分のプロジェクトの重要性を強調する必要はありません。自分のプロジェクトがウィキメディア・ムーブメントにどういう貢献ができるのかについてもっと書きましょう。そうすればレビュアーがどれくらいプロジェクトが重要なのか、どれくらい面白いのかわかってくれます。

3. できるだけ違うように

これは私の基準で他のレビュアーはあまりそう思わないかもしれないのですが、ウィキマニアのような1週間近くにわたる会合では、参加者は毎日違う体験ができるべきだと思います。会合が同じようなセッションばかりだと参加者は飽きてしまいます。トピックやアプローチの違いに加えて、地域や文化についてもできるだけ違うところから出てきたセッションがたくさんあったほうがいいと思います。ウィキメディアンはムーブメントの公式ブログの名前をDiffにするくらいなので、違いが好きなのに決まっていますよね!

私の意見では、今年のウィキマニアのGLAMトラックは充分バラエティがあったとは言えないと思います。GLAMはたくさん面白い応募のある人気のトラックである一方、GLAMトラックで東アジアに関連する応募申請は1件だけでした。私はレビュアー間でこのことを指摘したメモを共有したのですが、この東アジア関連セッションはアクセプトされませんでした。ウィキマニア2024が公式に始まる前の日である8月6日にシロンスク博物館で開催されたGLAMグローバルミートアップでは、出席者の大半がヨーロッパか北アメリカからであることが参加者から指摘されました。。ウィキマニアでのGLAMイベントにもっと多様な参加者が必要とされているのなら、大会組織者はプログラムを決定する前に地域的なことも考慮すべきだと思います。

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