稲門ウィキペディアン会の Eugene Ormandy です。2024年8月21日、東京国立博物館資料館でウィキペディア編集イベントを開催したので、その模様を報告します。
開催の経緯
東京国立博物館資料館で編集イベントを開催するのは、今回で3度目です。なお、1度目は2022年8月9日に、2度目は2023年8月17日に開催しています。それぞれの詳細については、下記リンクをご参照ください。
2024年某日、上記イベントにご協力いただいた東京国立博物館の方に「今年も開催できるといいですね」という話をしたところご快諾いただけたので、2024年もウィキマニアの時期にあわせて開催する運びとなりました。
事前準備
前回同様、スペースの都合を考慮して、参加者は10名から15名程度としました。また、参加者は一般募集するのではなく、私の知り合いのウィキメディアンに声をかけていく形としました。それにくわえて、東京国立博物館からの提案で、同館インターン生たちにも参加していただくこととなりました。そしてイベントの約1週間前に、参加者リストおよびそれぞれの執筆予定記事を東京国立博物館に共有しました。
イベント当日
イントロダクション
9:50ごろ、東京国立博物館へ集合。職員の方の誘導のもと資料館へ入館し、イントロダクションを実施しました。まずは私 Eugene Ormandy がイベントの概要を説明したのち、東京国立博物館職員のAさんが資料館およびその検索システムを、同じく職員のBさんが博物館そのものの概要を説明されました。
展示見学
その後、各自が思い思いに展示を見学。私は本館の展示を眺めたのち、本館裏の庭園でリラックスしていました。庭園は初めて行きましたが、最高でした。
昼食
資料館に戻ってきたのち、各自昼食へ。博物館を出てカフェ等に向かう方もいれば、博物館内の売店で食事を購入する方もいました。私はウィキメディアンの Wadakuramon さん(書籍『70歳のウィキペディアン』の著者である門倉百合子さん)、および資料館職員の方と一緒に、隣接する東京藝術大学の学食をいただきました。
昼食では、博物館や図書館がウィキメディア・プロジェクトと提携する意義についておしゃべり。ウィキメディア・プロジェクトとの提携を通し、博物館等は自館の知を社会に還元できるだけでなく、博物館等のヘビーユーザーがどのように資料・検索システムを利用するかのサンプリングもできるという話をしました。また、私が大宅壮一文庫や三康図書館で開催したウィキペディア編集イベントについても紹介しました。
講義・編集
その後は講義および編集タイムです。経験者の皆様には早速調査・編集に取り掛かっていただき、私は初心者向けのレクチャーを開始しました。
まずはウィキペディアの仕組みについてのレクチャーを実施。三大方針や5本の柱について解説しました。その後は実際の編集タイム。利用者ページへの挨拶記入、下書きの作成、利用者ページに下書きへのハイパーリンクを設置という3ステップをこなしていただきました。
編集タスクが完了したのち、改善したい記事と出典を探していただきました。皆さん美術に関心がある方ばかりな上、東京国立博物館資料館の蔵書も素晴らしいので、リサーチに苦労した方はいらっしゃいませんでした。その後は既存の記事に加筆する内容を下書きにプレーンテキストで書き込んでいただき、出典の表記方法をレクチャーしました。なお、実際の作業においては、他の経験者のウィキメディアンにサポートいただきました。
振り返り
イベント終盤、振り返りを実施しました。具体的には、経験者が編集した記事を共有したほか、初心者の皆さんも何かしらの加筆ができたことを報告。最後に、GLAMとウィキメディア・プロジェクトとの提携は、双方にとってメリットのあることなので今後もぜひとお伝えしてお開きとなりました。
その後の展開
その後、参加者の Keeezawa さんが早速「国宝のWikipedia記事の書き方――東京国立博物館の資料館がすごい!」というブログ記事を作成。東京国立博物館職員の皆さんの間でも話題になったようです。また、参加者の皆さんに、ウィキペディア上のプロジェクトページにコメントを書き込んでいただきました。
まとめ
2024年8月21日に東京国立博物館資料館で開催したウィキペディア編集イベントについてまとめました。職員の皆さん、参加者の皆さんのおかげで、大変充実したイベントになったと思います。今後も提携できれば幸いです。
参加者コメント
参加者の皆さんがプロジェクトページに寄せてくださったコメントを以下のとおり引用します。引用元は日本語版ウィキペディア「プロジェクト:アウトリーチ/GLAM/ウィキマニア2024東京」2024年10月12日 (土) 05:41(UTC) 版です。
- 昨年に引き続き参加しました。今回執筆した墨台、水滴、匙はNDLサーチやデジコレでは有力な資料があまりヒットせず執筆に難儀していたのですが、資料館の検索システムのおかげで多数の資料が見つかり、記事の完成に漕ぎ着けることができました。昨年のエディタソンではそこまで検索システムを活用できなかったので、今回素敵な機会をいただきありがとうございました! 国立博物館系列の文化財はWikipediaでの写真利用が容易であるだけに、願わくば正倉院宝物の写真にもCC BYが付与されれば……と強く感じる一日でした。なお今回の記事の執筆録ははてなブログに投稿しました。–Keeezawa(会話) 2024年8月21日 (水) 12:15 (UTC)
- 東博イベントは初めてでしたが、さすがの情報量に圧倒されました。それを縦横に引き出せる仕組みが素晴らしいです。途中で編集がブロックされ焦りましたが、WiFiを別のにしたら回復しました。周りの皆さんが直ちに助け舟を出してくださり嬉しかったです。また画像の扱いは何度やっても不慣れでしたが、こちらも助けていただきました。そうしたやりとりが自然にできるのがエディタソンの素敵な所です。 —Wadakuramon(会話) 2024年8月21日 (水) 12:24 (UTC)
- 資料館の検索システムにて、列品番号から文献を探す方法を教えてもらい、新しい文献をいくつか見つけることができました。また、Colbaseの存在を教えてもらい、画像をコモンズにアップロードして記事に使いました(ちなみに、colbaseへのリンクを貼る場合はTemplate:Colbaseを使うとよいです)。どちらも使いやすくて、今後も大いに活用できそうです。職員のみなさま、ありがとうございました。–Gynaecocracy(会話) 2024年8月22日 (木) 01:05 (UTC)
- 3年連続の参加となります。毎度のことですが東京国立博物館はまさに宝の山です!まだまだ執筆を待っている題材が多数埋もれています。可能でしたら京都、奈良、九州の国立博物館などでも同様の催しが開催出来ればより良いと感じました。職員の皆様、本当にどうもありがとうございました。–のりまき(会話) 2024年8月23日 (金) 06:41 (UTC)
- オンラインで参加しましたが、やはり現地参加ができず、手元に資料がないと厳しいと感じました…まだまだ東博所蔵品で記事のない国宝、重要文化財がたくさんあるので、気長にやっていきたいと思います。–さえぼー(会話) 2024年8月23日 (金) 13:23 (UTC)
- 今回、初めて加筆を体験しました。Wikipediaの基本方針から実際の編集方法まで丁寧にレクチャーしていただき、Wikipediaへの理解を深めることができました。また、ウィキペディアンの皆様のご活躍を間近で拝見し、その執筆スキルに感銘を受けました。今回は、東京国立博物館が所蔵する資料やColbase(国立文化財機構所蔵品統合検索データベース)を活用して執筆が行われました。Wikipediaの充実により、文化財の魅力が多くの人に伝わることが期待されます。博物館資料活用の新たな可能性を感じた一日でした。– 利用者:Wako Matsunaga (利用者:Eugene Ormandy代筆)
- 今までWikipediaを書いている人は画面越しの人であり、実際にいるというイメージが無かったため、短時間で記事を作成している所を目の前で見て非常に驚きました。また膨大な資料を集め、読みやすい文章を書き上げている姿が印象的でした。今回初めてのWikipediaの編集でしたが、文章を考える中で記事を作成する際の注意点などを理解し、楽しみながら加筆することが出来ました。自分の文章が世界に公開されているのは未だに不思議な感覚です。またWikipediaの編集に挑戦してみようと思いました。貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。 — 利用者:らみょん (利用者:Eugene Ormandy代筆)
- 企画立案、司会進行、初心者指導を担当した Eugene Ormandy です。東京国立博物館資料館でのエディタソンも、今回で3回目を迎えることができました。快くご協力いただいている東京国立博物館資料館職員のみなさま、そして素敵な編集をしてくださるウィキメディアンの皆様に、心より感謝申し上げます。ウィキメディア・プロジェクトとGLAMの提携は、双方にとってメリットがあると私は確信しております。今後もより良いコラボレーションができるよう、努力できればと存じます。何卒よろしくお願いいたします。– Eugene Ormandy(会話) 2024年8月27日 (火) 04:39 (UTC)
- 「ウィキマニア2024東京 – GLAMエディタソン」に参加をしてみて、Wikipediaを書かれている人と実際にお話をする初めての機会となりました。今までは使うばかりであったために、Wikipediaがルールに則って書かれて、たくさんの二次資料から情報がまとめられることを知りました。
記事を書き換えることを行なってみて、書き足してみたい記事を探した際にぎっしりと情報があり何を加えるかが自分の知識や見つけた資料では思いつかなかったり、ある国宝の記事は一切無かったため一から作る必要があったりと、記事の情報量の違いを改めて実感しました。記事を書き換えるのにも、Wikipediaの情報と資料の齟齬や正確な情報の文章を考えることが難しかったです。ですが、正しい情報を増やせた達成感はとてもありやりがいあるものに思えました。– 利用者:Gekashitu (利用者:Eugene Ormandy代筆) - 3年連続で参加しました。素晴らしい展示に加えて資料室の充実…執筆上での大きな助けとなりました。改めてイベントに関わったすべての皆様に感謝いたします。なお、雑駁ではありますが当日の参加レポートをブログに書きました。–Swanee(会話) 2024年8月31日 (土) 13:21 (UTC)
- 今回初めてWikipediaに書かせていただきました。論文を書くのとはまた別の作法や似通った部分などもあり、非常に面白かったです。また聞かせていただいたお話しのなかで、執筆者によって記事の書き方に差異があることも知り、その内記事の読み比べなども行ってみたいなと思いました。最後に、今回参加してくださったウィキペディアンに皆様に改めて感謝を申し上げさせていただきます。– 利用者:Siminn20
- Wikipediaの編集方針から編集の方法まで、とても丁寧にレクチャーをいただきありがとうございました。大変失礼ながら、Wikipediaに記載されている文章は玉石混交だという印象を持っていました。しかし、Wikipediaの編集方針が少しばかり頭に入った今では、石ころばかり転がる河原に居て玉の探し方に悩んでいる人を、玉がたくさんある場所に連れて行くための、水先案内人のような役割を果たしているのがWikipediaなんだ、というように思っております。既存のWikipedia記事への加筆をした際には重責を感じました。なかなか、片手間で気軽に編集行為はできないなと感じました。一方、Wikipediaに加筆できるような情報を探す時間はとても楽しい時間でしたので、Wikipediaをよく知った人と一緒に加筆ができる機会がまたあれば、ぜひ参加してみたいなと思います! —Erikka22(会話) 2024年9月10日 (火) 06:36 (UTC)
- 昨年に引き続き参加させていただきました。普段はひとりで編集しているので、自分以外の方たちと同じ時間を共有し、かつ実際に資料がある場で編集作業をする機会は刺激になります。特に、皆さんがそれぞれ、どのような編集をなさっているのか知ることができたのは有益でした。また、初めて編集をする方のお手伝いを少しさせていただき、記事を公開したときの瞬間をご一緒できたのは、私にとっても喜びでした。企画してくださったEugene Ormandyさん、東京国立博物館資料館の皆さん、参加者の皆さん、ありがとうございました。Ize2019(会話) 2024年10月12日 (土) 05:41 (UTC)
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