皆さんはヨーロッパ、北アメリカ、日本などの国々で高齢化が進んでいるのをご存知でしょう。そこでは豊かな知識があり、自分の考えを持ち、時間のたっぷりある高齢者がどんどん増えています。しかし、その人たちは知識をソーシャル・メディアでシェアすることが多いのです。ウィキペディアは活動的な高齢者がコミュニティに参加し、質の高いフリーな知識の創出に貢献するのを歓迎しています。ウクライナのオンライン・ウィキ会議2024参加者対象の無記名アンケートでは、コミュニティの50代の人はたった8%で、60歳以上はとても少ないことがわかりました。
ウィキメディア・プロジェクトへの高齢者の参加は素晴らしい連携です。それは高齢者自身の生活を豊かにし、オンライン百科事典を充実させます。しかしどのようにしたら高齢の人たちの参加を効果的に促せるのでしょうか。
とっかかり
ウィキペディア編集に高齢者を誘うアイデアを、私は昨年思いつきました。そしてウィキマニア2024に参加し世界中から来たたくさんの仲間と出会い、アイデアを再考しました。2021年10月からウィキペディアに参加するようになった高齢女性として、私は個人的にこのプラットフォームの変革力を経験しました。ウィキペディアへ高齢者を誘うのは、高齢者にとっても有意義なのを確信しています。
情報技術について学校で学ばなかった人たちが、初めてウィキペディアを編集したりウィキメディア・コモンズへ写真をアップロードしたりする時に感じる困難さについて、私はよくわかります。2005年以来、私は若い同僚に追いつけるよう、ICTについて学校で学び、個人的にパーソナル・コンピュータとインターネットについて学びましたが、ほんとに難しかったです。時間がたつにつれ、何とか充分なレベルに、問題によっては高度なレベルに達っすることができました。しかし3年前にウィキペディアの編集を始めると、見慣れないインターフェース、編集画面、メニューの配置などにまごつき、なによりも「また学ばなくちゃ」という事実に圧倒されました。でも根気よく続けると、満足できる段階に到達できました。今は自分の経験を他の人たちと共有する時、この挑戦に怯むことはありません。
他の人たちの経験を使おう!
高齢者をウィキメディア・プロジェクトに誘う方向性を理解するため、私はまず外国語版ウィキペディア・コミュニティの経験について調べてみました。するとこの方向性は、ルーマニア語版ウィキペディア、ナイジェリア語版ウィキペディア、チェコ語版ウィキペディアなど、多くの言語版ウィキペディアで長年実施され、素晴らしい成果を上げているのがわかりました。ウクライナ語版ウィキペディアでもこの方向の活動を始め、リビウでトレーニングが行われました。プロジェクトの成果、作業分野、会合の形式やテーマを分析し、チェコのプログラム「高齢者がウィキペディアを書く」の経験が選ばれました。
私は調査の結果を2024年10月のウィキ会議で発表しました。このトピックはウクライナのウィキ・コミュニティの関心を呼び、発表の質疑応答でアイデアや助言が表明されました。ウィキメディア・ウクライナ協会は、チェコのプログラム「高齢者がウィキペディアを書く」を見本にした高齢者を誘うプロジェクトの創設をサポートしました。このプログラムにはいくつかの作業分野があり、チェコの哲学者、政治家、翻訳家、ウィキメディア・チェコ協会名誉会員であるヤン・ソコルが開発した講座に基づくものです。
講座の概要
最初に、私はチェコの講座「高齢者がウィキペディアを書く」の資料を翻訳することにしました。これは2013年からウィキメディア・チェコ協会が700人以上の受講生を育ててきたものです。講座はオフラインモードで各2時間の授業が6つありました。それと並行し、「55歳からのウィキペディア」プロジェクトの組織委員会は講座の参加者を募り、開催地を検討しました。特筆すべきは、参加は55歳以上で、パーソナル・コンピュータ、インターネット、マイクロソフト・ワードのワードプロセッサーが十分使えることが受講の条件だったことです。55歳から74歳までの15人がこの講座での学習を希望しましたが、全員が参加できたわけではありませんでした。毎週の授業はオレス・ホンチャール記念ポルタヴァ青少年図書館での開催が決まりました。2024年11月初めに図書館のデジタル教育センターで授業は始まり、参加者にはラップトップと大きなスクリーンに発表素材が映し出される快適な空間が提供されました。
講座の授業は、講義と実践を組み合わせた形式で開催されました。それぞれの授業で、私は解説と課題のプレゼンテーションを準備しました。Viverチャンネルも同様に用意され、継続的にコミュニケーションが行われ、教育素材や課題、興味深い事例、質疑などが加えられました。講座の間に受講生たちは、ウィキペディアページのナビゲーション機能、利用者ページ作り、記事の編集、テンプレートや画像のダウンロード、下書きに文章を書込んで形式を整える、あるいは記事の翻訳などを学んでいきました。
図書館の見学も受講生たちに開催され、施設の構造を学んだだけでなく、プロジェクト活動についても知ることができました。見学の後、チームワークの技術を使って、図書館についての記事編集の授業が行われました。
高齢者グループの教育の難しさは、コンピュータ技術について彼らはよく知らず、多くの用語や機能が理解できず、それら全てを彼らが学ばなければならないことにあります。それに加え、ウィキペディアのインターフェースには、彼らに馴染みのない多くのリンクやパネルやメニューがあります。よくある不便さの一つは文字が小さいことです。私たちはこれを変えようとしましたが、しかしページを拡大した時、編集パネルやメニューのいくつかが消え去り、中身のないアイコンだけが残されました。これらは全て継続的な編集により変わっていくことであり、大事なのは彼らを助けることです。さらに、高齢者は「自分の行動の正しさ」をとても気にしているので、「保存」ボタンを押すのがたやすくありません。彼らは躊躇し、そして残念ながら、しばしば何もしないことを選びます。最後の授業では、受講生は証明書と記念品を受け取りました。しかし私たちは「さよなら」は言いませんでした。私たちは週に1度オンラインで集まり、相談にのり、成果を披露したりしています。
まとめ
高齢者のためのウィキペディア編集コースが開催されました。受講生はそれぞれウィキペディアについて6回の講義を受け、記事を一つ書き、中には複数の記事を書いた人もいました。将来的には、ウィキマラソン2025への参加を計画しています。「55歳からのウィキペディア」組織委員会はこの方向で計画を練っています。現在、地域のトレーナーを探しているところです。私にとっては、とてもいい経験でした!高齢者を教えることは、学校で子どもたちを教えるのとは全く違うと言いたいです。そこには「教師―生徒」という関係は無く、知識を伝えるための連携があるだけです。
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