2023年に大久保敏弘研究室と公益財団法人NIRA総合研究開発機構が実施した「第9回テレワーク就業者実態調査」にウィキペディアが登場していたので、当該部分を簡単に紹介します。
書誌情報
上記の調査を紹介した論文は以下のとおりです。J-STAGE から無料で読むことができます。
- 大久保敏弘「大きく前進するデジタル経済をどう計測するか GDPの限界と新たな統計の試み」『NIRAオピニオンペーパー』66巻、2023年、1-8頁。doi: 10.50878/niraopinion.66.
概要
大久保の論文は「無料のデジタルサービスの価値を消費者の支払い意思額から検討する (1ページ) 」ことを目的としています。
この目的のもと、大久保敏弘研究室とNIRA総研は共同で「第9回テレワークに関する就業者実態調査」を実施しました。本調査では「デジタルサービスの利用率」と「デジタルサービスへの支払い意思額」が問われていますが、デジタルサービスの一例として「インターネット百科事典(ウィキペディアなど)」という項目がありました。
調査によれば、「インターネット百科事典(ウィキペディアなど)」の利用率は78%とのこと。また、「支払い意思額」は以下のとおりでした。
金額(円 / 月) | 割合 (%) |
無料でないと使わない | 78% |
月額100円まで | 6% |
月額300円まで | 3% |
月額500円まで | 3% |
月額1,000円まで | 3% |
月額2,000円まで | 2% |
月額3,000円まで | 記載なし |
月額5,000円まで | 記載なし |
月額7,000円まで | 記載なし |
月額10,000円まで | 記載なし |
月額10,000円を超えても支払う | 記載なし |
大久保は「支払い意思の比率が大きいのはYouTubeなどの動画配信、ソフトウェア、Zoomなどのコミュニケーションツ ール、Googleなどの検索サイトで、28〜31%となってい る。一方、SNSは支払い意思がある人は24%、予約サイト、インターネット事典、フリーメール、ニュース情報サイトでは20〜22%と低い」と指摘しています。
なお、個人的には「『インターネット百科事典(ウィキペディアなど)』について、『無料でないと使わない』以外の回答をした人が22%もいるのか!」と感じました。
まとめ
「第9回テレワーク就業者実態調査」における、ウィキペディアに関する記述を紹介しました。
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