2022年9月3日(土)、早稲田Wikipedianサークルと、その卒業生サークルである稲門ウィキペディアン会は、デジタルアーカイブについての勉強会をオンラインで開催した。本稿では、その模様を詳述する。
様々なデジタルアーカイブの紹介
まずは、Eugene Ormandy が時実象一「世界のデジタルアーカイブ」を取り上げ、様々なデジタルアーカイブを紹介した。論文で言及されている Europeana, DPLA, Internet Archive について、画面共有をしながら解説したほか、論文では取り上げられていないウィキメディア・コモンズについても解説した。
その後、サークルメンバーが各自のデジタルアーカイブ利用法を共有した。
Takenari Higuchiのデジタルアーカイブ活用法
はじめに Takenari Higuchi が、自身のデジタルアーカイブ活用法について発表した。
Takenari Higuchi はまず、自身が執筆したウィキペディア記事 [[少女☆歌劇 レヴュースタァライト (アニメ)]] を取り上げ、本記事で出典として用いたウェブページを WaybackMachine でアーカイブしたという事例を紹介した。アニメの記事においては、ウェブページが重要な参考文献となることも多いが、それらはリンク切れを起こす可能性が高いため、アーカイブを取得したとのことであった。
ほかにもTakenari Higuchi は、大学データベースに収録されている新聞デジタルアーカイブを参考文献として活用していると述べた。たとえば [[本山原人]] のウィキペディア記事においては、朝日新聞のアーカイブである「朝日新聞クロスサーチ(旧『聞蔵Ⅱ』)」、毎日新聞の「毎索」、日本経済新聞の「日経テレコン」を利用しているとのことであった。
Uraniwa のデジタルアーカイブ活用方法
次に Uraniwa が、自身のデジタルアーカイブ活用法について発表した。
Uraniwa は、自身が執筆したウィキペディア記事 [[村檜神社]] に、自分が撮影した神社の写真を用いたと述べた。なお、この写真はウィキメディア・コモンズにアップロードしたうえで、ウィキペディア記事に用いているとのことであった。
また、Uraniwa が写真をアップロードした後も、他のユーザーが本記事に別角度からの神社の写真を追加している。参加者からは、このような改善が可能であることこそ、「ウィキ」というシステムの面白さだという声が上がった。
なお、「いつウィキメディア・コモンズを知ったのか」という質問に対しUraniwa は、ウィキペディア記事に付与された「画像提供依頼」テンプレートを見たことで知ったと回答した。
Eugene Ormandy のデジタルアーカイブ活用法
最後に Eugene Ormandy が、自身のデジタルアーカイブ活用法について発表した。
Eugene Ormandy はまず、Europeana にてヒットした指揮者ウィリアム・スタインバーグの写真をダウンロードしたのち、ウィキメディア・コモンズに [[File:William Steinberg.jpg]] としてアップロードし、日本語版ウィキペディアの [[ウィリアム・スタインバーグ]] に活用した例を紹介した。
くわえて、英語版ウィキペディアの [[William Steinberg]] には別の写真が掲載されているが、その写真はアメリカ国内におけるフェアユース規定に基づくものであるため、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを付与してウィキメディア・コモンズにアップロードし、日本語版ウィキペディアに活用することはできなかったと説明した。
続けて Eugene Ormandy は、Internet Archive にアップロードされていた、アメリカのクラシック音楽についての著作権切れの書籍を参考文献として、日本語版ウィキペディア記事 [[カール・バーグマン]] を執筆した事例を紹介した。昔のアメリカの音楽雑誌などを参照できるため、Internet Archive はクラシック音楽関連の記事執筆に非常に役立つとのことであった。
また、Eugene Ormandy は DPLA の活用方法も紹介した。残念ながら、DPLA にアップロードされている指揮者の写真の多くは二次利用が不可能なので、妥協策としてウィキペディア記事の「外部リンク」節にその URL を記載しているとのことであった。
質疑応答
3名の発表ののち、参加者から「絵画でおすすめのデジタルアーカイブはあるか」「Internet Archive 以外にウェブページをアーカイブするのか」といった質問があったため、Uraniwa が archive.today や colbase, WARPといったデジタルアーカイブを紹介した。また、Internet Archive の電子図書館サービスで本を借りる方法を Eugene Ormandy が実演した。
まとめ
今回のミーティングを通して、ウィキペディア編集者は、デジタルアーカイブを作成する立場にも、利用する立場にもなりうるということが確認できた。また、二次利用がどの程度可能であるかは、デジタルアーカイブごとに様々であるということも確認できた。
デジタルアーカイブに限らず、ウィキペディア編集者がそれぞれの体験を共有する活動を今後も展開していきたい。
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