千里の道も一歩から
– 老子
1年の終わりが近づきつつあります。 新しい資金提供戦略のもと、ESEAP地域(※)で、与えた影響、集まった学習、成し遂げた進歩の数々を要約する時がきました。(※「地域」はウィキメディア財団による管轄区域の分類。日本はESEAP東/東南アジア/太平洋地域に所属。以下、「地域」はすべて財団の分類を指す)
ESEAP内での統計からはじめましょう。
ESEAP地域の名のもと、33の地理上の区分が一団となっています。私たちのウィキメディア運動(※ 以下、単に運動と表記)には、地域を拠点とする13の提携団体が参加しています。 - 5つの国別協会と8つの利用者グループです。そして、提携していない多くのボランティアが活動して、私たちの運動の使命を進めるために常に貢献しています。
地域としてのESEAPは、全プロジェクトを通じて、330億のユニークビュー(純粋な閲覧者数)、世界の閲覧者トラフィック(通信量)の16.6%(12ヶ月平均)に達します。世界的な編集者数では15.4%を占めます。

2021年7月から2022年6月のあいだに、地域は、世界の資金提供のうち、昨年の7%から増加して、11%を受け取りました。金額にすると、昨年から135%の増加になります。(58万6000アメリカドルから130万アメリカドル)、投資の94%は新興コミュニティに向けられました。
活動中の公認ESEAP提携団体の77% (13団体のうち10団体) が資金を申請し、与えられました。今後数ヶ月に、さらなる資金提供が行われる予定です。
そのためここで、地域での私たちの運動のめざましい達成として8つの成果を紹介します。
私たちの仕事を次の段階に引きあげるには、あなたの助けが必要です。私たちは、将来と既存の助成金受給者を歓迎し、受給できる環境をつくりあげるために、あなたと働きたいと望んでいます。
さあ、読み続けましょう!
1. 地域資金委員会の多様性

私たちは委員会の人数を12名に増やしました。
これらの委員は、多様で経験豊かで、コミュニティに焦点を当てた視点を委員会にもたらします。
これらの委員は運動に関わり、編集、まとめ役、あるいは他の形でコミュニティに力を貸し、貢献しつづけています。このなかには、若者(ESEAPの人口統計上、必要不可欠な存在)、調査研究、パートナー関係、そして過小評価されたグループ(LGBTQI+)と働いた経験のある人々がいます。
2014年ウィキマニア・ロンドンから始まった、以下のウィキペディア教育プログラムでは、生徒、学生たちが宿題をウィキペディアに提出することに関して、コミュニティの立場は180度転換しました。
試験的な授業は、タイ王国国立マヒドン大学で行われました。それがボランティアの成長のきっかけになり、今日のウィキメディア・タイランドの根幹になっています。
Taweetham Limpanuparb (Taweetham)、ESEAP資金委員会委員。タイ・ウィキペディアとウィキメディア・タイランドの長期ボランティアで、ウィキペディア教育プログラムの経験がある。
2. 第1回目の申請書の増加(さらなる応募を歓迎します!)
世界中で新しい申請が増えています。ESEAPは、初めての申請者に与えられる助成金の件数で、世界第2位になりました。私たちの新しい資金提供の枠組みは多様化して、新しい助成金受領者にも参加地点を易しくすることが可能になりました。そのようなわけで、私たちは地域内で13件の新規応募者に会いました。私たちの資金提供過程や変更について、さらに調べてみてください。あるいは、私たちに連絡してください。( eseap_fund@wikimedia.org 経由)

3. 毎日の小さな勝利がいつまでも続く影響や伝統の発展につながる
地域での私たちのさまざまな影響です
- ウィキメディア韓国:理事会委員との最初の戦略計画の練習を完了しました。特に、社会経済的、若者、性別役割、それに「脳の多様性」(※)に焦点を当て、多様な閲覧者を運動のなかに迎え入れました。(※ 「脳の多様性」とは、神経や脳の差異を病気ではなく多様性としてとらえ、尊重する立場)
- ウィキメディア台湾 と パイワン語ウィキメディア利用者グループ : (※ パイワン語 台湾の先住民族言語のひとつ) 堅固なオープン・アクセス(無料公開)文化を進展させ、政府と市民社会団体群とのパートナー関係から抜け出しました。先住民の現地の知識/言語版ウィキペディア/成長するためのコミュニティへの支援的な環境を提供しました。
- ウィキメディア・コミュニティ利用者グループ・マレーシア:提携者として、助成金を受け取るための正式な銀行口座を開設することに成功しました。
- ウィキメディア・オーストラリア:多年度の資金提供を確実に手に入れると同時に、3年間の戦略と詳しい活動計画をつくりだしました。オーストラリアは2019年から地域のために初の集まりを催し、11月にはシドニーでの2022年ESEAPカンファレンス(協議会)を主催することになっています。
- アオテアロア|ニュージーランド利用者グループ:: 事業用の委員会を設置して、戦略的な計画づくりを終え、利用者グループとしてはじめて助成金調達を成功させました。全12ヶ月で、非営利の立場を適用されるよう、計画をはじめました。
- ウィキメディア・タイランド:タイの編集コミュニティは、若者が主導し、若者に焦点を当てた取り組み方法を用いて、より深く関わりあい、より親密になりました。
- ウィキメディア・コミュニティ利用者グループ香港:最初の助成金申請に成功しました。若者の主導のもとで、計画立案と予算作成という技能の組み合わせを打ち立てました。
- ウィキメディア・インドネシア:指導者のあり方が刷新される過程を経験して、新しいローカル・ウィキメディア・コミュニティをつくり、支援しながら、よりたくさんのボランティアをローカルからESEAP地域の参加者かつ代表者へと引きあげるための空間を作りました。
利用者グループとして設立3年目を終了しようというとき、イベントやプロジェクトを主催するために時間を使う編集者が増えているのを知るのは励みになります。私たちは個々の編集者の集まりから、多様な種類の構想を抱いた、互いに支援しあうコミュニティに変化しました。運営のための助成金は、変化の速度を増しました。
Victoria Leachman, アオテアロア・ニュージーランド・ウィキメディア利用者グループ 会長
4. ウィキメディア協定資金を通じて、パートナー関係への注目が増しています
使命に沿った組織は、私たちの運動で十分に評価されていません。しかし、そういった組織はウィキメディア協定基金を通じて支援されます。ESEAP地域では6団体のパートナーを迎え入れました。彼らは、より多様性のあるコンテンツ、寄稿者、それにウィキメディア・プロジェクト・コンテンツの閲覧者として新しい取り組みを先導しています。
これらのパートナーは、ESEAPでの運動の成長を確実に加速するために必要不可欠です。
たとえば、 Analysis Policy Observatory (オーストラリア); クリエイティブ・コモンズ (インドネシア), 公開ストリートマップ(インドネシア), 国立成功大学 (台湾), 公開ストリートマップ (台湾), Shin Leh Yuan 芸術空間 (台湾)

ESEAP地域とウィキメディア資金提供プログラムは、長い道のりを歩んできました。私たちが地域での成功を祝っているあいだも、知識の公平性の欠落を埋めるたくさんの仕事が待っています。- まだ代表者がいない国々への連絡経路をつくることも含まれます。
Kartika Sari Henry (22Kartika), ESEAP資金委員会委員, ウィキメディア・オーストラリア、ウィキメディア・インドネシアでの長期ボランティア
5. 助成金申請での新しい傾向
計画づくりと新機軸
世界的に「若者」は、計画立案において優先順位が高くありません。
しかしながら、ESEAP地域では、若者に焦点を当てた、あるいは若者が主導するプロジェクトが新しく興る傾向にあります。胸のおどる新機軸は「文化と遺跡」につながっています。たとえば歴史的な設備を紹介するためのデジタルマッピング(電子地図の作成)や、ウィキメディアへの寄稿に焦点を当てて、特定のテーマのプロジェクトを発展させる、博物館との強いパートナー関係です。
地域という次元への注目
すべての提携団体が、地域レベルへの寄稿や参加をもっと活発にすることに興味と意思を示しています。
たとえばニュージーランドとオーストラリアの提携団体のように、いくつかの団体は年次事業計画のなかに、進捗指標として、地域での共同作業やパートナー関係を含めています。
運動全体の能力を開発
より柔軟な資金提供プログラムでは、コミュニティ、有給スタッフ、理事会委員に対する技能研修の要請が増えているのに気づきます。内容は、グループ活動支援の技能(ファシリテーターの役割)から文化的感受性(※)の研修にまで至ります。(※ 他者の文化的背景を尊重すること)
コミュニティの成員はまた、「レッツ・コネクト-つながろう」を通じて、ピア・ラーニング(仲間との学習)の機会に近づくことができます。「レッツ・コネクト」は、以下のような考えに基づき、包括的な学習文化を築くよう努めています。
つながるための情報、正しい場所、実施における支援を与えられれば – 私たちはそれぞれ何か、共有するべき価値のあるものを持っている。
成長と多様化
すべての提携団体は、コンテンツと表現のうえに存在する「欠落」「格差」を特定しています。テーマにおける格差に橋を架けようと活発に働いています。たとえば、性別役割、先住民コミュニティ/最初の国(※現在の移民国家で、移民が来る前の国や共同体。特にカナダで使われる用語)、若者といったテーマです。
私たちは公平性と包括性に、さらに深く反映と焦点を当てています。
ウィキメディア地域資金委員会のESEAP委員を務めるのは、充実した経験です。この経験のおかげで、私は、応募してきた提携団体や協定組織、それぞれ独自の必要性に対して、より深く理解することができました。対象コミュニティの願いに命を吹き込む過程に参加するのは、たいへんな喜びです。
Butch Bustria (Exec8), ESEAP資金委員会、ウィキマニア運営委員会 、 ウィキメディア運動戦略作業グループ/役割と責任
6. 多言語での取り組み

提出された助成金申請書のうち、12%が英語以外で書かれています。(すなわち、標準中国語(北京語)、インドネシア語、韓国語、日本語)
たくさんの人たちが効果的な応募や参加のために、翻訳と通訳の支援を必要としていました。財団が翻訳と通訳支援を増やして効率を上げるとともに、私たちはさらに多様な地域からの申請者を歓迎しています。(特に、迅速助成金プログラム)
ESEAP資金委員会の新委員として、申請書を読んで驚きました。
言語の違いにも関わらず、私たちすべてが同じ問題を抱えていたのです。私の強い望みはコミュニティ群が言語を横断して戦略を共有することです。
「パートナーを招待するのは私たちの考えを伝えるためだけではなく、パートナーが私たちを別の領域に導くのを認めることでもあります。そこは私たちの心地よい居場所の外側かもしれません」
私の着任時の事前指導より、審査の心構えというテーマに関する、もっとも重要な概念。
Yumiko Shibata (YShibata), ESEAP資金委員 、日本でのウィキメディア運動の一員
7. 資金提供を超えた支援:レッツ・コネクトと地域学習集会
レッツ・コネクト でのピア学習プログラムを元にして、コミュニティ資源チームは、地域レベル、または各地の地域資金委員会を世界的に横断して、反映、連携、共同作業のための空間を設けたいと考えています。
2022年10月、40人近くの出席のもと(迅速、協定、それにコミュニティ資金プログラムの大多数はすでにいる助成金受領者)、私たちはESEAP学習集会を開会しました。集会は実り多いものでした。地域の高次レベルでの傾向や、学習と現地化の傾向を共有するために貢献における入力を行った参加者の提供した、コンテンツから成っていました。

8. ふたたびつながりましょう。- ESEAPカンファレンス(協議会)

私たちの地域で、もっとも重要な経過地点のひとつは、地域次元での集会、表現、戦略の構築に焦点を当てることです。
この展望への完璧な実例は、シドニーで11月に行われるESEAPカンファレンス2022です。テーマは「再連携」という、コロナウィルスの世界的流行によって明らかになった、地域にとって非常に重要なことがらです。
カンファレンスは私たち全員がふたたびグループになり、私たちが前進するための戦略を再開し、再活性する瞬間になるでしょう。
ESEAPプログラム指導者、また、ESEAP資金委員会の代表が、対面でカンファレンスに参加する予定です。私たちは会話を続けるのを楽しみにしています。連絡してきたすべての人たちを歓迎します。詳しい過程や、あなたの試みに対する支援方法をお知りになりたい場合、こちらにご連絡ください。(eseap_fund@wikimedia.org)