ウィキメディア運動としての私たちの進歩と成長 – ESEAP物語!

Translate this post
Vanjpadilla, CC BY-SA 4.0

 「飛び出していった人たちが世界を動かす」

東アジア、東南アジア、それに太平洋地域(ESEAP地域)では、ウィキメディア・プロジェクトの月間平均ページ閲覧数の3分の2が、モバイル端末からの来訪者だということをご存知ですか。

ESEAP 地域は33の地理区分にわたり、世界人口の30%の故郷であり、世界のインターネット利用者においても、ほぼ同じ割合を占めています。すなわち28%です。多様な文化と言語、それに58言語版のウィキペディア(さらに増加中)を主催する地域です。

ESEAP は、素晴らしい機会に恵まれた地域です。ここ1年にわたり、私たちがローカルなコミュニティを支援し続けるにあたって、学ぶべき成功と難題、双方を見ました。

ウィキメディア台湾は、2007年にESEAP 提携団体として認められた初めての組織です。 

過去15年で、提携団体の数は13件にまで増え、助成金の受取額と提携団体の会員数の多さ(100人以上)という観点から見れば、最大はウィキメディア・インドネシアです。

提携団体の数と範囲は近年増加しはじめました。ほとんどの団体は出発したばかりで、法人化や非営利団体としての登録、統治と管理過程を決定しようとしています。

ESEAP地域における深い学習を通じて、知識の公平性を高める

本年、ウィキメディア財団の年次計画の一部として、私たちは地域での仕事に重点的に取り組むことにしました。これは、私たちが「知識の公平性」の前進および運動戦略の支援のために行っている取り組みの一部です。

私たちは全員が世界的なウィキメディア運動の一部です。そこには地域、言語、コミュニティの区別はありません。地域に焦点を当てることで、財団は、現地化の必要性や地域の傾向をより深く理解できるでしょう。これは私たちの仕事の一部です。

今年度のはじめ、私たちはこの新しい取り組みを、地域との連携を改善することから開始しました。

財団チームは地域で働き、ローカル・コミュニティのパートナーとなってきました。今、世界中のさまざまな地域にいる私たちは、一丸となってつくることができる影響を明らかにするために、より意識的に集まるようにしています。

各四半期ごとに、私たちは話しあう予定です。議題は、個別のボランティア、国別協会、利用者グループ、テーマ別組織、フリーな(※自由な、無料の)知識の生態系(※ ウィキメディア財団が提唱する「知識の循環」体制の比喩)のパートナー組織によって行われた、地域的、歴史的な傾向と活動についてです。

これらの集会は、私たちの年次計画の一部にとって重要な手続きです。財団のさまざまなチームが計画した仕事を検討し、優先順位と適合する資源(リソース)を決定します。これらは焦点を当てた問題の結果と、より影響力のあるパートナー関係を得るためです。

ESEAPからの学習と傾向

心にとどめるべき重要な新傾向は、ESEAP では、モバイル端末の使用割合の高さです。

ある研究によると、ほとんどの人が携帯端末の定額契約をしており(100人につき125機の携帯端末の定額制契約)、人口の66%がインターネットに接続しています。

私たちはまた、多くのESEAP の地理区分で、若者の人口が増えつつあることを知っています。

私たちの運動のために、世界の活動的な編集者の18%、純粋な編集者数の15%がESEAP地域の出身で、フリーな知識運動のために顕著な貢献をしています。

ESEAPコミュニティのための支援の増加

ウィキメディア財団は着実に、地域への支援を増額しています。

ちょうど昨年、私たちは助成金の獲得が135%増加したのを見ました(58万6000アメリカドルから、130万ドルへ)。ほとんどは、直接、新興コミュニティに提供されました。現在では、ESEAP内の活動中の公認提携団体のうち77%(13団体のうち10団体)が申請し、資金提供を獲得しています。次の数ヶ月のうちに、さらなる助成が行われる予定です。

マレーシアとニュージーランドの利用者グループは、迅速助成金から一般支援資金プログラムへと発展することができました。

ウィキメディア・オーストラリアは、3年間を原則とする助成金を確保しました(2022年から2025年まで)。

詳細はこちらをクリック。

私たちは、このESEAPの助成金に、さまざまな興味深い傾向をみつけました。

65%の助成金受領者にとって、主な目的のひとつは新規寄稿者を勧誘することです。彼らはまた、過小評価されたグループ、多様性と包括性、年齢、社会経済状況などに鋭く注目しています。

『コミュニティ内部報告』によると、新規参入者の2倍がアジアから参加するようになり、女性の参加者が上昇傾向になるであろうことがわかるでしょう。

とりわけ、若者の参加の上昇傾向と地域への関与が組み合わさると、歓迎すべき傾向です。

昨年の「今年の新規参加者」賞受賞者で「今年のウィキメディア」賞のCarma “Citra” Citrawatiがこの地域から現れたのも不思議ではありません。

「若者」は、世界中の私たちのコミュニティ全体で、プログラム作成において優先順位が低いように見えます。しかし一方で、若者に焦点を当て、あるいは若者が主導するプロジェクトが、ESEAP の新しい傾向として登場しつつあります。

テーマ別の焦点部門の上位3位は、教育(助成金の70%)、文化と遺跡(69%)、それに多様性(69%)です。

助成金受領者はソーシャルメディアの重要性を認識しています。しかし、ほとんどの受給者は、新たな視聴者に連絡し、ターゲットにする具体的な戦略がありません。この格差は私たちが埋めなければなりません。

60%の助成金受領者にとって、コンテンツの寄稿は、彼らの仕事の主な目的のひとつであり、特に、文化/民族的な多様性に関するコンテンツで顕著です。

ESEAP地域には寄稿者が、将来、さらに成長する余地があります。

つけくわえると、この地域には多様な言語と文化が存在しています。そのため、コンテンツの現地化の進展に焦点を当てたウィキメディア運動には、たくさんのチャンスがあります。現地化は言語、文化双方です。

パートナー関係という観点からは、地域では、コミュニティによって高く評価されたプロジェクトで、運動と共同作業するパートナーの名簿は増加しているように見えます。

この共同作業の鍵を動かすのは、協定基金です。これは運動の進行を加速するために、志を同じくする組織どうしを団結させます。

たとえば、分析と方針の観測所は、ウィキデータを使って、「最初の人たち」(※ 先住民族)政策に関する情報をアップロードしています。

Shin Lei Yuan美術空間は、「台湾の革新的な美術空間」を主導して、ウィキデータとウィキベースを利用して、所蔵品の保存記録化(アーカイブ化)の必要性調査を実施する予定です。

協定者基金についてはこちらを参照してください。

寄稿者の必要性を理解する

しかし、データや数値を超えて、私たちが忘れてはならないのは、私たちの日常生活の現実です。すなわち感染爆発です。

この2、3年は私たち全員にとって困難な時期でした。外部の環境の変化に慣れながら、私たちは機敏になり、先見力を持って行動する必要がありました。

私たちのコミュニティの「新しい平時」(ニューノーマル)が、感染爆発以前の状況に戻ることはないでしょう。

代わりに、私たちは継続する不確実さに慣れ、適応すると同時に、それを乗り越えなければなりません。運動の成長と持続可能性を確実にするためです。

地域では、他地域と同様、少しずつ活動的な利用者層/私たちの運動の参加者が減っているように見えます。私たちは全員で彼らを守り、育てるために働かなければなりません。

感染爆発の頂点では、多くの提携団体および独立したコミュニティのまとめ役が同時に必要性を調整してきました。必要性は、たとえば、健全なコミュニティの維持、活動の実行とくりかえし、パートナー関係の勧誘、世界的な(また/あるいは、地域的な)運動につながり続けようとする、志を同じくする個人の中核チームの構築と保持などです。

こういった変更が積み重なると、(※訳注 利用者が変化に耐えられず)、コミュニティ構築にあたって提携団体が行った前進が簡単に蝕まれるかもしれません。それゆえ、私たちはボランティアの「燃え尽き症候群」がいまだに蔓延していることを覚えている必要があります。

ESEAP の主な重要点のひとつは、この地域は、それぞれの地理ごとに解決策を変えて対応する必要があるということです。

私たちは「誰に対しても有効な取り組み方法」を採用することができません。それは文化と言語の多様性のためばかりではなく、また私たちの覚醒のレベル、感じ方、言語理解、それに私たちのコンテンツのローカル化が、地域のなかのそれぞれの地理区域によって違うためでもあります。

ESEAP は成長、進化、終わりのない可能性の物語です。

ESEAP カンファレンスが間近に迫っています。私たちは地域の成長の物語を次の段階に引き上げるために、聞き、学習し、共同作業を続けるのを楽しみにしています。

英語の原文

Can you help us translate this article?

In order for this article to reach as many people as possible we would like your help. Can you translate this article to get the message out?

No comments

Comments are closed automatically after 21 days.