2022年12月16日、早稲田Wikipedianサークルと稲門ウィキペディアン会は、ウィキメディア・コモンズに関する勉強会を開催した。本稿では、その模様を詳述する。
アメリカのGLAMとウィキメディア・コモンズの提携について
まずは Eugene Ormandy が、アメリカのGLAMとウィキメディア・コモンズの提携事例を紹介した。

Eugene Ormandy はまず、 GLAM とウィキメディア・コモンズについて説明した。GLAMとは、美術館 (Gallaries), 図書館 (Libraries), 公文書館 (Archives), 博物館 (Museum) の総称であり、ウィキメディア・コモンズとは、ウィキメディア財団が運営する画像収集プロジェクトである。
次に、 ウィキメディア・コモンズに自館の資料をアップロードする GLAMも多いと指摘し、ウィキメディア・コモンズの [[Category:Commons partnerships in the United States]] というページに掲載されたアメリカの事例を紹介した。
まず取り上げられたのは、ブリックリン美術館が公開したウェブ記事である。この記事の著者は、自館の資料をウィキメディア・コモンズと Internet Archive にアップロードしたブルックリン美術館の事例を紹介するとともに、「自館のウェブサイトにのみ資料をアップロードするのは不十分だ」と主張している。Eugene Ormandy は、他のアメリカの GLAM も同様の意識を抱いていると指摘し、カリフォルニア科学アカデミーの AntWeb の事例を紹介した。AntWeb は、CC-BY-NC-SA で公開していた資料をウィキメディア・コモンズにアップロードできるよう、ライセンスをわざわざ CC-BY-SA に変更している。
さらに、ウィキメディア・コモンズに資料をアップロードする際、以下のような工夫をする GLAM もあると指摘した。
- 効率よく資料をアップロードするための bot を作成する(例: 米国デジタル公共図書館 (DPLA) が運営する DPLA bot)
- カテゴリを作成し、ウィキメディア・コモンズにアップロードした資料を総覧できるようにする(例: Archives of American Art が作成したカテゴリ [[Category:Images from the Archives of American Art]] )
- プロジェクトページの多言語展開(例: ブルックリン美術館のプロジェクトページのスペイン語版)
Eugene Ormandy は最後に、今後このような事例がもっと増えてほしいと述べた。
ウィキメディア・コモンズの利用方法レクチャー
Eugene Ormandy の発表ののち、ウィキメディア・コモンズを使ったことがない Lakka26 へ、Uraniwa がレクチャーを行った。
まずは、どの資料をアップロードするか話し合った。Lakka26 は後拾遺和歌集について調べているとのことであったので、国立文化財機構所蔵品統合検索システム Colbase から後拾遺和歌集に関する画像をダウンロードし、ウィキメディア・コモンズにアップロードすることにした。なお、Colbase は利用規約で「本利用ルールは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの表示4.0国際と互換性があり、本利用ルールが適用されるコンテンツはCC BYに従うことでも利用することができます」と明記しているため、Colbase の資料は同ライセンスでウィキメディア・コモンズにアップロードすることが可能である。
ウィキメディア・コモンズにログインしたのち、「アップロードウィザード」にて、資料をアップロードする際の注意事項を確認した。確認した事項は、自分の作品か否か、他人の作品の場合作者が利用等を許可しているかなどである。

その後、Colbase に則って作者、日付、解説などの情報を記載し、原典として Colbase のリンクを明示した。なお、タイトルは Colbase の英語版ページを参考にした。Lakka26 がアップロードした資料は以下のとおりである。

まとめ
今回の勉強会では、アメリカにおけるウィキメディア・コモンズとGLAMの提携事例を紹介したのち、実際に日本のGLAMが公開している資料をウィキメディア・コモンズにアップロードした。
本稿がウィキメディア・コモンズに関心を持つ利用者やGLAMにとって参考になれば幸いである。