2月26日、東京スカイツリーが建つ、東京・墨田区で「地域の情報をまとめる ウィキペディアタウン入門」が開催された。墨田区は東京駅から5キロメートルの位置にあり、浅草にもほど近い行政区である。今回の講座を企画・主催したのは、区立図書館ではなく、生涯学習や地域活動を行う立ち位置にあたる「ユートリヤ(すみだ生涯学習センター)」だ。ユートリヤは、単に公民館機能として、住民がイベントを開催するだけではなく、ユートリヤ主催で地域の歴史を掘り下げるイベントやワークショップなど、多くの企画を展開してきた。
これまで区内では地域団体がウィキペディアタウンを主催していたが、今回はウィキペディアを通し墨田区を深く知るための講座として企画されたものである。その地域団体「すみだすみずみほりおこし隊」が開催してきたウィキペディアタウンは、墨田区内でこれまで2回開催してきた。初回の模様については、自身の個人ブログで取り上げたので参照されたい。
今回の講座では、定員を15名と設定し、内容はウィキペディアやエディタソンに関する説明、取り組みの内容、これまで墨田区で開催されてきた事例の紹介、実際のワークとした。ウィキペディアタウン初心者を想定して、かなり入門的な内容を想定して計画を進めた。主催担当者の方は「これまでのウィキペディアタウンに参加した際に、ウィキペディア執筆に大変充実感を得ました。また、地域紹介に貢献できることに、やりがいを感じる区民は潜在的に少なくないと思っている」と感想を述べていた。また、「経験者にとっては物足りない講座になるかもしれませんが、初心者の導入にふさわしい内容で展開できれば、今後の仲間づくりのきっかけになるかと考えております。」とも発言していた。
開催2か月前には、プログラムと執筆するテーマの案が出揃った。テーマ候補は10あり、実際に書いてみたい項目を担当者がセレクトするというのが重要な要素の一つで、地域や図書館で所蔵する資料があるか、また「独立記事作成の目安」などウィキペディアのガイドラインとの兼ね合いなどについてすり合わせをしながらさらにプログラムをブラッシュアップしていった。また、墨田区報の2022年12月21日号にも告知を掲載し、幅広い区民にリーチを図った。
区報の内容について、テキスト版は以下のリンクを参照されたい。
https://www.city.sumida.lg.jp/kuhou/backnum/221221/kuhou06.html
また、実際に全戸配付された区報のPDFファイルは、墨田区のウェブサイトに掲載されており、告知は6ページに掲載されている。
https://www.city.sumida.lg.jp/kuhou/backnum/221221/pdf/all.pdf
迎えた開催当日は、13名が参加した。今回の講座では、まちあるきを行わない形式にして、できるだけ編集時間を確保するようにした。自身がワークショップを開催する際には、新聞などのメディア記事を読み、まずはそれらの記事が伝えたいことを自分なりにまとめる個人ワーク・グループワーク、さらにはそれをウィキペディアのある記事に載せるとしたらどんな内容なら良いだろうか、という作業を紙面上で、手を動かして考えてもらっている。今回は、区立中学校の防火水槽にメダカが住んでいたことを発見し、最終的には東京スカイツリーにある水族館で展示されることの経緯に触れた記事を選定した。自身は主催の方がこのトピックを選ばれ、そのエピソードや選定理由をお聞きするのも一つの楽しみになっている。

実際のウィキペディア編集では、向島百花園、東向島、白鬚橋、江戸切子、隅田川七福神、白鬚神社を編集した。今回の編集では、1人一文でも書き加えることがある意味の目標であったので、ハードルは高く設定しすぎないように主催者も自身も配慮した。終了後に記載されたアンケートの感想には、時間が足りなかった、とする一方で充実感はあった、とするものが多かった。ここで参加者の感想を紹介する。
- 使っていましたが、書き手としての目を持っていなかった点が新鮮でした
- 第一歩をここちよく始めることができました。おかげさまです。楽しいことがよくわかった。たいへんお世話になりました。
- Wikiの書き方と墨田区の情報が同時に学べて楽しかったです。
- 記事を追加できて、とっても満足しました!参加者みなさまも、たくさん編集された様子も知ることができてとても楽しかったです!
- 時間があっという間でした。地域の方と地元のお話できたのが良かったです。
- 「Wikipediaタウンとは?」というところから情報リテラシーにもつながるワーク、墨田区情報の発信(?)までできて楽しかったです。
- ずっと屋内のWikipedia Townは初めて。2つの記事から書き出していくワークは新鮮だった。地元でも気軽にやりたい。
- 初めての講座でシビレました!これは複数回同じコンテンツでも参加者が集まると思います。
- 人数的にちょうどよい人数で各自それぞれWikipediaの編集を体験できたと思う
- グループに分かれて作業出来てとてもよかったです テーマに合わせた資料を用意して頂き大変助かりました
年度末に差し掛かること時期ということもあり、次年度の計画については、まだ未定のところもあるが、墨田区内でのウィキペディアタウンはまだまだ広がるだろう。