東京23区の公共図書館をウィキペディアの編集に活用する #5 荒川区立中央図書館(ゆいの森あらかわ)

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東京23区の公共図書館をウィキペディアの編集に活用するシリーズ第5弾。今回は荒川区立中央図書館(ゆいの森あらかわ)を訪問しました。

執筆にあたって

図書館の意義が問われる時代です。出版不況が続き、オープンアクセス化が推進され、人工知能が台頭する現代において、図書館はどのような存在であるべきなのでしょうか。

それを探るためには、図書館の活用記録、すなわち「図書館のおかげでこんなことができた」という記録が、様々な観点から作成される必要があると私は考えています。未来を描くためには過去を知る必要がありますし、過去を知るためには資料が必要だからです。

そのような思いで「東京都の公共図書館をウィキペディアの編集に活用する」シリーズを立ち上げました。このシリーズの目標は、ウィキペディアンによる図書館活用記録を1つでも多く作成することです。この目標を達成するために、私 Eugene Ormandy が東京都の様々な公共図書館を訪問し、所蔵資料を活用してウィキペディア記事の加筆修正を行い、その模様をウィキメディア財団のブログ Diff の記事としてまとめます。このシリーズが、図書館の意義や未来を探るための参考資料となれば、これほど嬉しいことはありません。

調査方針

図書館を訪問する前に、その土地に関するウィキペディア記事数本に目を通し、図書館資料を用いて加筆修正できそうな箇所の目星をつけます。また、図書館を訪問した際は、加筆修正したい箇所をレファレンスカウンターで示し、役立ちそうな資料を教えていただきます。

事前準備

今回は荒川区立中央図書館(ゆいの森あらかわ)を訪問することにしました。訪問にあたっては、事前に下記のウィキペディア記事に目を通しました。

今回のテーマは「ウィキペディア記事 [[荒川区民会館]] に、何が出典を追加すること」とします。

図書館訪問

冠新道図書サービスステーションから20分ほど歩いて中央図書館へ。大きくてとても綺麗な図書館です。

荒川区立中央図書館(ゆいの森あらかわ)。Wikimedia Commons [[File:Arakawa Central Library, Tokyo.jpg]] (Eugene Ormandy, CC-BY-SA 4.0) https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Arakawa_Central_Library,_Tokyo.jpg

入口には、荒川区美術連盟の絵画作品が展示されていたほか、「新しいこと始めよう」と題された特集も。『基礎からわかるはじめての陶芸』『1億3000万人のためのeスポーツ入門』といった、様々な入門書が置かれていました。

入口の横にはカフェが併設されていました。店内には、貸出手続きをしていない図書館資料を持ち込むことができるとのこと。また、店内にも色々な図書館資料が置かれていました。

せっかくなので、ここで昼食を取ることに。サンドイッチを食べたのち、店内にあった “The art of white shirt” という本に目を通しました。

その後は館内を散策。5階建ての大きい図書館なので、一通り見るだけでも良い運動になります。館内には、荒川区の交流都市の郷土資料や、吉村昭記念文学館など、様々な資料・展示がありました。印象に残ったものをあげるとキリがないので、気になった方はぜひ実際に図書館を訪問してみてください。

なお、私が愛してやまないプロレス本も大変充実していました。吉田豪の名著『書評の星座』シリーズや、『日本プロレス全史』といった大型本のほか、『1985年のクラッシュ・ギャルズ』や『ダンプ松本『ザヒール』』といった、女子プロレスの本もきちんと置かれており「信頼できる……!」と感じました。男子プロレスの本ばかりで、女子プロレスの本が全然置かれていない図書館もありますからね……。

いよいよ本題へ。レファレンスカウンターに行き「荒川区民会館(サンパール荒川)について調べています。特に設立の経緯が知りたいです。何か良い資料はないでしょうか」と質問しました。

色々と調べていただいたのですが、残念ながら役立ちそうな資料は見つかりませんでした。ただし、「区史に記載されているかもしれない」とのことでしたので、早速確認。予想どおり荒川区民会館に関する記述があったので、図書館の作業スペースで加筆しました。電源も用意されており、大変快適に作業ができました。差分はこちら。

右側が加筆した内容。日本語版ウィキペディア [[荒川区民会館]] 2023年3月23日 (木) 04:19時点における版2023年5月6日 (土) 05:12時点における最新版の差分。2023年5月7日アクセス。

まとめ

資料・設備ともに素晴らしい図書館でした。しかし、ウィキペディアに加筆できたのはほんの数行。題材選び、事前準備の難しさを痛感しました……。いつかリベンジしたいですね。

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