ウィキマニア2023体験記 : 8月15日

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2023年8月16日から19日にかけてシンガポールで開催された、ウィキマニア2023に参加してきました。ウィキマニアとは、世界中のウィキメディアンが集まって交流する、超楽しいお祭りです。本稿では、プレイベントが開催された8月15日の流れをまとめます。ウィキマニアに参加したいと思う方にとっての参考資料となれば幸いです。なお、前日の記録については、こちらの記事をご覧ください。

起床

6時に起床。ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番を聴きながら、服にアイロンをかけたり、ウィキマニアのプログラムを確認したりしました。なお、外はまだ暗かったです。

準備

7時ごろにホテルで朝食。今後の稼働を見越して、しっかりと食べました。その後は部屋に戻り、9時30分ごろまで作業。具体的には、ウィキメディア財団のブログ Diff の記事をいくつか整備したほか、ウィキマニアのページを見て、どのようなイベントがあるか再確認しました。他にも、ウィキマニアに参加するためのチケットなどの必要品を確認しました。

ちなみに、作業をしながら聴いていたのは、ブレイク・ミルズのアルバム “Jelly Road” と、マッコイ・タイナーのアルバム “Fly with the Wind” でした。「今まで良さがわからなかった音楽を旅先で聴くと印象が変わる」という経験を何度かしているので、最近聴いてイマイチだったアルバムを選んでみたのですが、やっぱり私にはまだ難しかったです。

いざウィキマニアへ

朝から2時間近く作業をしたので、もう既にヘロヘロですが、本番はここからです。9時30分ごろにホテルを出発したところ、道中でウィキマニアのTシャツを身につけた2人組を見かけたので、お声がけして一緒に会場まで向かいました。お声がけしたのは、インドネシアのウィキメディアンと、ナミビアのウィキメディアン。過去に参加したウィキマニアの話や、編集している記事、様々な言語が使用されるナミビアの状況について話しながら歩きました。

会場で自分の名札を受け取り、いよいよウィキマニアへ!

筆者が受け取った名札。Wikimedia Commons [[File:Wikimania 2023 nameplate of Japanese Wikimedian Eugene Ormandy.jpg]] (Eugene Ormandy, CC-BY-SA 4.0)

Wikidata Basics: A Workshop for Beginners

まずは、10時から11時にかけて324号室で開催された、ウィキデータに関するワークショップ “Wikidata Basics: A Workshop for Beginners” に参加。レクチャーでは、アイテム、プロパティ、バリューといったウィキデータの基本的な仕組みについて説明がありました。ウィキデータ初心者にとって、このような機会は非常にありがたいです。なお、発表で用いられたスライドは、Google docs で入手できます。

ワークショップの様子。Wikimedia Commons [[File:Wikimania 2023 August 15 Wikidata Basics.jpg]] (Eugene Ormandy, CC-BY-SA 4.0)

SPARQL: access and analyze data from Wikidata

続いて、11時15分から12時45分にかけて同室で行われたワークショップ”SPARQL: access and analyze data from Wikidata” に参加しました。こちらは Wikidata Query Service を活用した実践形式のワークショップで、「ウィキデータにある猫の情報は?」「シンガポール出身の政治家は?」といった、具体的な課題をこなしながら、操作方法を学びました。なお、操作をする上で、Control-Space のショートカットによる予測変換が重要だったのですが、こちらは私が使用している mac では機能しなかったので、実際の作業は途中で諦め、講師の説明を理解することに神経を集中させました。

最後には、講師を務めたウィキメディア財団職員の Asaf Bartov さんが、ボランティアとして運営しているアカウント [[User:Ijon]] が紹介されました。ウィキデータに関する動画や基本的な説明事項などは、こちらのページにまとまっているとのことです。復習用の教材としてありがたいですね。Asaf さんも指摘していましたが、Wikidata Query Service を活用したプロジェクトには、様々な可能性があると思います。私もいくつか考えてみようと思います。

昼食

「昼食はウィキメディア財団から提供される」という連絡が事前にあったので、他の人は誘わずに待機していたのですが、特に動きはなかったので、会場に併設されたショッピングモールを物色して、ハンバーガーを食べました。また、ショッピングモール内にあった Don Don Donki (日本のドン・キホーテ)で飲み物を調達しました。シンガポールのドンキのBGMは日本と異なり「ドンドンドン♪ドンキ〜♪ドンドン♪ドンキ〜♪」でした。初めて聴いた時は衝撃を受けました。

Wikimedia Commons [[File:DON DON DONKI in Singapore.jpg]] (Eugene Ormandy, CC-BY-SA 4.0)

Movement Strategy and Governance Discussions

昼食後は、325号室の “Movement Strategy and Governance Discussions” に参加しました。同室ではその後 “Wikimedia 2030 Strategy – Hubs: A joint framework on working together, but apart” が実施され、参加者間でディスカッションが行われましたが、急いで処理しなくてはいけない個人的な案件がいくつか生じたので、PCで作業をしながらラジオ感覚で聞いていました。そのため、全体の流れを把握することはできませんでしたが、それぞれのウィキメディアンのエピソードを断片的に楽しみました。

ディスカッションの様子。Wikimedia Commons [[File:Aristidek5maya at Wikimania 2023 20.jpg]] (Aristidek5maya, CC-BY-SA 4.0)
ディスカッションの様子。Wikimedia Commons [[File:Wikimania Singapore 2023 – Hubs conversation 08.jpg]] (Pedro J Pacheco, CC-BY-SA 4.0)

個人的には、ディスカッションの前に「そもそもハブユーザーグループとはこういうもので、今までこのような議論がされているよ」といった、基本的なレクチャーや事例共有があるといいなと感じました。私自身、ハブに関する動向はあまり追えていないので(恐らく日本語コミュニティにおけるハブの知名度はきわめて低いです)、しばしば議論についていけなくなりました。

Using Wikibase and Wikidata for Community Archives

15時45分からは、324号室で開催された “Using Wikibase and Wikidata for Community Archives” へ。Wikibase を活用してコミュニティ・アーカイブを活用したシンガポールの My Community の事例が紹介されました。このセミナーに参加するまで Wikibase のことを知らなかったので、正直なところ理解が追いつかなかったところもいくらかありました。後ほど復習しようと思います。なお、発表後の質疑応答では、あえて Wikibase を使う意義についての質問や、ウィキメディア・コモンズを使った方がいいのではという提言もありました。

休憩時間

16時30分からは、ムスリムのウィキメディアンがお祈りを行うため、休憩時間となりました。お祈りをしない方は、廊下で歓談したり、散歩をしたりと自由に過ごしていました。

私は作業スペースとして開放されていた部屋で、Diff の下書きを作成していたのですが、隣り合ったオーストラリアのウィキメディアン [[User:Chipmunkdavis]] さんとのおしゃべりに花が咲き、互いの編集している記事や、お互いのコミュニティの話をしました。また、Chipmunkdavis さんは、東アジア、東南アジア、環太平洋地域のウィキメディアンからなるグループ ESEAP の一員とのこと。「もっと色々な日本のプロジェクトを知りたい」とおっしゃっていたので、私が東京都の三康図書館で開催したイベント WikipediaSanko を紹介しました。

東京都の三康図書館。2023年にウィキペディアイベント WikipediaSanko を実施。Wikimedia Commons [[File:Sanko Library 2023-06-09.jpg]] (Eugene Ormandy, CC-BY-SA 4.0)

Updating the Open Definition to meet the challenges of today

楽しいおしゃべりののち、18時から324号室で開催された “Updating the Open Definition to meet the challenges of today” に参加しました。「”Open” とは何かを探る」という理念のもと、発表者が提示したいくつかのトピックについて参加者がテーブルディスカッションを行うという形式で、私のグループでは「地域ごとに固有の問題がありそう」「商業利用ができないものを Open とみなしてよいのか」といった意見が出ました。

なお、こちらも先述のディスカッションと同様、事前の情報共有を丁寧に行った方が、スムーズかつディープなディスカッションができるのではないかなと感じました。実際、質疑応答のコーナーで、そのような指摘をしている参加者もいました。

夕食

19時にプログラムは終了。この後は有志による自主的なミーティングなどが行われたようですが、翌日以降の疲労を考慮し、私はここで離席することにしました。なお、夕食は会場のショッピングモールにある中華料理屋ディンタイフォンで食べましたが、その後ウィキメディア財団の Junko Nakayama さんから飲みのお誘いがあったので、シンガポールの繁華街でビールを少し飲みました。

中華料理屋ディンタイフォン。Wikimedia Commons [[File:DIN TAI FUNG in Singapore.jpg]] (Eugene Ormandy, CC-BY-SA 4.0)

休憩

ホテルに戻り、ベッドで少しダラダラしたのち、Diff の作業に取り掛かりました。記憶が鮮明なうちに、8月15日分の体験記はまとめておきたいなと思ったので、Vulfpeck のユーモアあふれるアルバム “The joy of Music, The Job of Real Estate” を聴きながら、大雑把な下書きを作成しました。

また、処理しなくてはいけないタスクが生じたので、深夜2時30分くらいまで作業をしました。

まとめ

これは昔からそうなのですが、「Aとは何か」といった抽象的な問題や定義について考えることよりも、自分は個別の事例の経緯・問題点を知ることの方が好きだなと再認識しました。とはいえ、抽象的な問題にも定期的に取り組まないと、個別の事例を分析する精度が落ちてしまうので、バランスよく学びたいなと思った次第です。

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