ウィキペディアを始めとするウィキメディア運動についての知識を共有し、ウィキメディア運動への貢献を促進させることを目的とするポッドキャスト『要出典なウィキ話』の第2回が日本時間の11月8日に公開されました。このエピソードでは、「推し活とウィキペディア」をテーマに、ファンカルチャーとウィキペディアの親和性や、ファン活動としてのウィキペディアについて考察しています。
この回の内容は?
この回では、『Transformative Works and Cultures』誌に2016年に掲載されたPaul Thomas著「Wikipedia and participatory culture: Why fans edit」という論文をもとに、ポップカルチャーのファンが参加型文化の一環としてウィキペディアを編集しているという論文の内容を紹介したのちに、自身もポップカルチャーのファンである樋口タケナリが、自身の経験や周囲のウィキペディアンの事例を紹介し、ファン活動の舞台としてのウィキペディアの可能性について考察しています。
放送後記
一般的な百科事典とウィキペディアの大きな違いのひとつは、ポップカルチャーに対する態度でしょう。一般的な百科事典と異なり、ウィキペディアは映画やポップ・ミュージック、アニメやビデオゲームなど数多くのポップカルチャーのジャンルを広くカバーしています。英語版ウィキペディアにおいても、2018年時点で秀逸な記事の分野別の記事数はビデオゲームが経済や法学などを上回って第3位でした。閲覧数でもポップカルチャー分野の記事は上位に入ることも多く、ポップカルチャーはまさにウィキペディアの玄関であると言っても過言ではないでしょう。
しかし、日本語版ウィキペディアでは、ポップカルチャー分野の記事の数は充実している一方で、残念ながら質はあまり高くないことが多いです。収録曲だけ書かれたアルバム記事や、あらすじばかり長大化している映画記事、独自研究にあふれたアニメ記事などは枚挙にいとまがありません。「玄関は家の顔」という言葉がありますが、玄関たるポップカルチャーの記事が酷い有様だったら、ウィキペディア全体の価値も毀損してしまうかもしれません。
近年は日本語版ウィキペディアのコミュニティにもポップカルチャー分野に取り組むウィキペディアンが増え、状況は良い方向に向かいつつありますが、それでもまだ人手は足りません。この回が、これまでウィキペディアに触れてこなかったポップカルチャーのファンに届き、コミュニティの一員になっていただければ幸いです。
『要出典なウィキ話』は以下のプラットフォームからご聴取いただけます:
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