2024年2月のウィキペディアを振り返る

ウィキペディアンの Eugene Ormandy と Takenari Higuchi が、2024年2月のウィキペディアの動向を振り返るオンライン対談を行いました。

人物紹介

Eugene Ormandy : 稲門ウィキペディアン会のメンバー。ウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー2023新人賞受賞。編集分野はクラシック音楽の演奏家、喫茶店など。2024年2月の印象に残った音楽は、RHYMESTER のアルバム “Open the Window

Takenari Higuchi : 早稲田Wikipedianサークルのメンバー。編集分野はイスラーム、歴史、ポップカルチャーなど。2024年2月の印象に残った音楽は、MIMIのシングル「ありあ

2024年2月の気になったニュース

Eugene Ormandy : 2月の印象に残った記事は「早稲田Wikipedianサークルが飯間浩明先生を招いた勉強会を開催(第3回)」ですね。この勉強会には私もサークル卒業生として参加したのですが、辞書について様々な角度から考察がなされており大変楽しかったです。これに感化されて、私も辞書に関するウィキペディア記事を編集するようになりました。

Takenari Higuchi : 私が印象に残ったニュースは “AI-generated articles prompt Wikipedia to downgrade CNET’s reliability rating” ですね。AI を活用した記事を作成するテック系のウェブサイト CNET の信頼性が、英語版ウィキペディアにおいて議論されたというニュースです。具体的な内容は英語版ウィキペディア [[Wikipedia:Reliable sources/Perennial sources]] というページで確認できます。

2024年2月の編集活動

Eugene Ormandy : 今月はウィキメディア財団のブログ Diff に日本語の記事を3本、英語の記事を5本寄稿しました。特に気に入っているのは、英語版で立ち上げた “Wikimedia World” というシリーズですね。世界各国のウィキメディア・ムーブメントを色々と取り上げています。ウィキメディアンたちが作成した活動記録のキュレーションはもっと活発に行われてほしいなと思っていたので、自分で始めました。ありがたいことに、すでにトルコ語や日本語に翻訳してもらっています。

Wikimedia World のロゴ (Uraniwa, CC0)

イベントもいくつか行いました。具体的には、オンラインで開催した日本とトルコの編集ウィーク、名古屋大学図書館で Takenari さんと一緒に実施した小規模なアートプラスフェミニズム(女性芸術家のウィキペディア記事を充実させるイベント)、そして早稲田Wikipedianサークルの皆さんとの国立国会図書館訪問ですね。これらのイベントのために、ウィキペディア記事 [[ナジフェ・ギュラン]], [[ヒルデ・ギューデン]], [[チュオン・ナート辞典]] を立項・加筆しました。

また、先月に引き続き、アルク社のウェブマガジン “ENGLISH JOURNAL” に「検閲を乗り越えたトルコのウィキペディアンたち【ウィキペディアの歩き方】 」という記事を寄稿しました。トルコのウィキメディア・ムーブメントを紹介しています。

Takenari Higuchi : 私は Eugene さんとのアートプラスフェミニズムイベントにて、[[シャディア・マンスール]] と [[ソニータ (映画)]] を立項しました。また、日本の首相を務めた [[羽田孜]] のウィキペディア記事を大幅加筆しました。政治家の記事を書いたことはほとんどなかったのですが、やはり難しいですね……。特に評価節の記述に難儀しました。

運営しているポッドキャスト「要出典なウィキ話」も以下のとおり更新しました。

2024年2月の印象に残った記事

Eugene Ormandy : 2月の印象に残ったウィキペディア記事は [[舞楽蒔絵硯箱]] ですね。充実した記事ですし、画像も豊富に使われています。なお、これらの画像は国立文化財機構所蔵品統合検索システム (Colbase) からウィキメディア・コモンズにインポートされたものなので、デジタルアーカイブが利用された事例としても紹介することができますね。

舞楽蒔絵硯箱 (国立文化財機構, CC BY 4.0)

Takenari Higuchi : 私が印象に残った記事は [[Jack Ruby Shoots Lee Harvey Oswald]] ですね。これは一枚の写真に関する記事なのですが、撮影者から撮影の背景、技術や評価まで記されていて、とても良い記事だと思います。こういった記事が立項されるのもウィキペディアならではですね。