稲門ウィキペディアン会の Eugene Ormandy です。本項では、Mix’n’match というサービスを活用して、スイスの典拠ファイル Swiss National Sound Archives からウィキデータ項目「Oliviero Giovannoni (Q125545740)」を作成した経緯についてご紹介します。ウィキデータを活用したサービスや、典拠ファイルとウィキデータとの連携に関心がある方のお役に立てれば幸いです。
Mix’n’match とは
Mix’n’match とは、ウィキメディア・プロジェクト外部のカタログ(典拠ファイル)を活用したウィキデータ項目の作成をアシストするサービスです。サービスの詳細についてはメタウィキの「Mix’n’match」をご覧ください。また、ウィキデータの基本的な内容については「Wikidata:はじめに」をご覧ください。
カタログを選ぶ
まずは Mix’n’match のホーム画面にアクセスし、自分のウィキメディアアカウントでログインを行いました。
その後、画面左側に表示された「カタログのグループ」の中から「Biography」を選択。すると様々な人物カタログが表示されました。なお、Biography を選択した理由は、おそらく人物についての情報をまとめるのが最も簡単だろうと予測したからです。
余談ですが、百科事典プロジェクトであるウィキペディアの編集においても、最も難易度が低いものは人物記事だと私は思っています。そのため、初心者レクチャー等では「編集したい記事がない場合は人物記事を書いてみましょう」と言っています。
閑話休題。この中から、まずは自分の得意分野であるクラシック音楽に関連したものを選んだ方がいいと思ったので、「music」とページ内検索を行い「Swiss National Sound Archives」を選択しました。すると、様々な人物の名前が表示されました。なお、この時点で表示されているのは Swiss National Sound Archives に収録された人物名のうち、ウィキデータに反映済みのものです。
先行事例を確認する
自分でウィキデータ項目を作成する前に、まずは先行事例、すなわち Mix’n’match を活用して Swiss National Sound Archives から作成されたウィキデータ項目を確認することにしました。ということで、上記画面の最上段に表示された「Chlöisu Friedli 」のウィキデータ項目「Chlöisu Friedli (Q117790521)」にアクセスし、その「識別子」節に「Swiss National Sound Archives ID」プロパティが設定されていることを確認しました。
その後、Swiss National Sound Archives の「FRIEDLI, Chlöisu」の項目を確認し、生年月日や活動内容などが記載されていることを確認しました。また、英語で閲覧可能であることも確認しました。これによって、Swiss National Sound Archives の情報を参照すれば、ウィキデータ項目の文 (Statements) も記入可能であることがわかりました。
実際に編集する
先行事例の確認が済んだので、いよいよ実際に編集を行います。Mix’n’match の「Swiss National Sound Archives」の画面右上における「Action」ボタンをクリックして「Unmatched」を選択。これにより、Swiss National Sound Archives に収録された項目のうち、ウィキデータ項目がないものが反映されています。
ということで、一番上に表示された Oliviero Giovannoni のウィキデータ項目を「New item」から作成しようと思ったのですが、念のため既にウィキデータ項目が作成されていないか、ウィキデータ上で検索・確認することにしました。
「Oliviero Giovannoni」のウィキデータ項目が存在しないことを確認したので、Mix’n’match 上でウィキデータ項目を作成します。まずは「New item」をクリック。直ちに「Oliviero Giovannoni (Q125545740)」が作成されました。なお、自動的にプロパティ「分類 (P31)」「生年月日 (P569)」「Swiss National Sound Archives ID (P6770)」も生成されました。
その後、Swiss National Sound Archives 上の「Oliviero Giovannoni」の項目を参照し、ウィキデータ項目にプロパティ「出生地 (P19)」「国籍 (P27)」「職業 (P106)」「楽器 (P1303)」「ジャンル (P136)」を手動で入力しました。さらに、Swiss National Sound Archives 以外の典拠ファイルで「Oliviero Giovannoni」を取り上げたものがないか確認するために、VIAF(バーチャル国際典拠ファイル)で「Oliviero Giovannoni」と検索。ヒットした「GND識別子 (P227)」を追加しました。
まとめ
Mix’n’match を活用して、Swiss National Sound Archives を参照しながらウィキデータ項目を作成した経緯についてまとめてみました。日本語ではあまり情報がない Mix’n’match についての参考資料となれば幸いです。また、ウィキデータと典拠ファイルの連携が促進されるきっかけとなれば幸いです。