「フェイク」の世界における知識の未来

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ウィキメディア・イスラエル協会はヘブライ語版ウィキペディア20周年を記念して、インターネット上における「フェイク」現象をテーマにカンファレンスを開催しました。

ウィキメディア・イスラエル協会の「フェイク」カンファレンス – Image by Gilad Kavalerchik, CC BY-SA 4.0

ウィキメディア・イスラエル協会は2024年6月9日、ヘブライ語版ウィキペディア20周年を祝う年間行事の集大成として、ウィキメディア財団の後援により特別カンファレンスを開催しました。会議では「フェイク」とAIの生成するコンテンツの世界での、ウィキペディアとウィキメディアの非常に重要な挑戦に焦点があてられました。

ウィキメディア・イスラエル協会はライヒマン大学データ・統制・民主主義クラスと共同でこのカンファレンスを主催しました。そこにはフェイクニュース、誤情報、情報操作に関わるイスラエルの主要人物が一堂に会しました。

カンファレンスの目標は次の通りです

  • フェイクが人間社会に与える衝撃と結果を検証する
  • 人工知能を使うことの脅威と機会を議論する
  • 知識と情報に熱心な人々の批判的思考能力を開発する
  • ウィキメディア・イスラエル協会の活動の認知を高める
  • フェイクニュース時代にウィキメディア・イスラエル協会が門番の役割を確立する
  • ウィキメディア・イスラエル協会の支援者と多様性を増やす

約200人のイベント参加者には次の人々がいました

  • ヘブライ語版ウィキペディアコミュニティ、特にウィキメディア・イスラエル協会編集コース修了者
  • 学術関係者 – 教授と学生たち
  • 教育関係者:教師と生徒たち
  • GLAM関係者:美術館、図書館、アーカイブズ、博物館
  • メディア専門家
Izik Edri, Chairman of Wikimedia Israel – Image by Gilad Kavalerchik, CC BY-SA 4.0

ウィキメディア・イスラエル協会会長のイツィク・エドリは会議の冒頭で、オンライン利用習慣、AIツール利用状況、イスラエルでのウェブサイトとソシアル・ネットワークでのフェイク現象についての協会調査データを発表しました

「データによると、現在のイスラエルの人々のほとんどは、読んでいる内容がフェイクか利害関係者のバイアス付きかもしれないと考えている。そして私たちの間に急激に広まったAIツールが、こうしたことに明らかに関わっていることも。」 エドリは半数以上の人々が、AIツールの発達は「フェイク」問題を深刻にし、これらのツールが既にネット上のフェイクコンテンツから回答しているのではと危惧しているとも述べた。「これらの不穏なデータは、ウィキメディアのような組織が人々に技術的教育的ツールを提供し、「フェイク」やバイアスを認識して信頼できる知識を消費するための、責任と重要性を示している。」

Image by Gilad Kavalerchik, CC BY-SA 4.0

ライヒマン大学データ・統制・民主主義クラス主任のカリーヌ・ナオン教授は、エドリの言葉を補強して、近年自由民主主義が世界中で弱体化している過程を広く認識していると語りました。

「情報化とAIの時代が市民としての参加を増加させている一方で、誰も責任をとらないのも可能だという感覚も増えている。現代はフェイクニュースが社会に重大な挑戦をし、民主主義を弱体化させている。民主主義における市民と国家の伝統的関係(伝統的メディアや社会サービス)は、フェイクニュースという武器の助けを借りて大きな攻撃を受けている」。

「フェイクニュースの内容には大きな濃淡があり、認識するのが困難で、扱うのが非常に複雑になっている。それに加え、ネットワーク上のフェイクニュースの流れにはいくつかの特徴がある。社会政治的フェイクニュースの内容は第一にけばけばしく、大げさで、差別的で、ポピュリスト的メッセージと結びついている」。

「第二の特徴は、フェイクニュースは経験的に、より早く、ネットワークにより遠くまで広がり、より多くの人々に届けられる。間違った情報は正しい情報よりもより早く広まる。表現の自由の法律の砦であった古典的自由理論は、もはや失敗したことを認識すべきだ」。

「従って、私たちが関心を持つべき課題は、どのくらいのフェイクニュースがあるのかというだけでなく、公共圏におけるゲームのルールを設定するプラットフォームの役割を理解し、その衝撃が私たち個人そして社会、さらには民主主義に対してどのような影響があるかを理解することだ」。

Michal Wander Schwartz, Executive Director of Wikimedia Israel – Image by Gilad Kavalerchik, CC BY-SA 4.0

ウィキメディア・イスラエル協会エグゼクティブ・ディレクターのミハル・ワンダー・シュワルツは、「フェイク」との闘いの重要性への認識を高めるために、イスラエルでのウィキペディア活動を支援する協会が重要であると語りました

「ウィキメディア・イスラエルはフェイクとの闘いの重要性への認識を高めることが最も重要と考えていて、教育システム、学術界、そして一般の人々と共に、情報ツールや情報への批判的取り組みのツールを提供し、ネット上特にウィキペディアにおいて、自由で信頼できる内容を構築するために活動している」。

カンファレンスではウィキメディア・イスラエル協会の主な貢献が議題にあがり、協会はデジタル空間を「フェイク」からできるだけきれいな状態に保つ最前線であることを誇りにしています。


カンファレンスプログラム


挨拶

  • アミット・ラヴィ・ディヌール博士, ライヒマン大学サミー・オフェル通信学部長
  • ミハル・ワンダー・シュワルツ, ウィキメディア・イスラエル協会エグゼクティブ・ディレクター
  • カリーヌ・ナホン教授, ライヒマン大学データ・統制・民主主義クラス主任

セッション 1 – ウィキペディアのカーテンの向こう側

ウィキペディアがイスラエル人の生活で占める地位、そしてAIが取って代わるか?

  • イツィク・エドリ, ウィキメディア・イスラエル協会会長

ウィキペディア編集者のパネル:

ヘブライ語版ウィキペディアにおける偏向、エラー、誤情報の観察メカニズム

  • Darya Kantor, Information Specialist at the Harman Library of Natural Sciences at the Hebrew University
  • Jonathan Berkheim, PhD student at the Weizmann Institute and science writer
  • Daniel Levy, retiree and Wikipedia writing enthusiast
  • Moderated by: Orly Simon, Head of Library Processes Department at the National Library of Israel
Shai Katz, Deputy Executive Director of Content and Programs, Wikimedia Israel – Image by Gilad Kavalerchik, CC BY-SA 4.0

「フェイク」時代における百科事典記述を教える:ウィキメディア・イスラエル協会の研修現場を覗く

  • Shai Katz, Deputy Executive Director of Content and Programs, Wikimedia Israel

真実への競争:ウィキペディアのレンズを通してフェイクを多角的に見る

  • Dr. Shani Evenstein Sigalov, Lecturer and Researcher, Tel Aviv University; Board Member, Wikimedia Foundation
  • In conversation with Tal Schneider, Political and Diplomatic Correspondent, זמן ישראל (Zman Yisrael)

セッション 2 – ディープフェイクと偽のキャンペーン

私たちが自分の目と耳を信じられない時

  • Michael Matias, Founder and CEO of Clarity
Prof. Eirad Ben Gal, Tel Aviv University – Image by Gilad Kavalerchik, CC BY-SA 4.0

国家の強靭性を弱めるAIで作られた偽のネットワークキャンペンを暴き分析する

  • Prof. Eirad Ben Gal, XPOZ and Head of the LAMBDA Lab at Tel Aviv University

ディープフェイクと2024年選挙

  • Maya Horowitz, VP of Research, Check Point

セッション 3 – 激動の生態系で物語を語る

Ziv Koren, Documentary Photographer – Image by Gilad Kavalerchik, CC BY-SA 4.0

燃える語り – 記録化、歴史、物語の設定

  • Ziv Koren, Documentary Photographer

物語、権力、そして意識

  • Brigadier General (Ret.) Miri Eisin, Head of the Institute for Counter-Terrorism Policy (ICT), Reichman University
  • In conversation with Moshe Bar, Expert in Military Information Warfare

陰謀の合理性、事実の両極性、民主主義社会への危険性

  • Prof. Levy Spector, The Open University
  • In conversation with Tal Schneider, Political and Diplomatic Correspondent, זמן ישראל (Zman Yisrael)
From left to right: Dr. Hadas Erel, Shira Rivnai, Mati Marianski and Dr. Noa Morag – Image by Gilad Kavalerchik, CC BY-SA 4.0

偽情報のデザイン – あなたが思ったのとは違う

  • Mati Marianski, Artist and Entrepreneur in the Field of Artificial Intelligence
  • Dr. Hadas Erel, Head of the Social Robotics Group at the Media Innovation Lab, Reichman University
  • Shira Rivnai, The Sami Ofer School of Communication, Reichman University (How Disinformation is Designed Through the Network Ecosystem)
  • Moderated by Dr. Noa Morag, The Sami Ofer School of Communication, Reichman University

方針 – 私たちが見失っているものは?

  • Dr. Asaf Wiener, Deputy CEO of Research and Public Policy, Israel Internet Association
  • Dr. Dalit Ken-Dror Feldman, The Law Clinic for Technology and Cyber, University of Haifa
  • With the participation and moderation of Dr. Tehilla Altshuler, Law and Technology Expert, Senior Fellow at the Israel Democracy Institute

セッション 4 – 情報化時代の人間とフェイクの色合い

フェイクニュースともう一つの事実:信頼と信念の間

  • Dr. Yuval Karniel, The Sami Ofer School of Communication, Reichman University
Prof. Amir Amedi and Prof. Karine Nahon, Reichman University – Image by Gilad Kavalerchik, CC BY-SA 4.0

情報化時代の我々の脳に何が起こっているのか?

  • Prof. Amir Amedi, Head of the Baruch Ivcher Institute for Brain, Cognition & Technology, Reichman University
  • In conversation with Prof. Karine Nahon, Head of the Data, Governance, and Democracy Track at Reichman University

懐疑論 – 誤情報流行の解決か原因か?

  • Prof. Ruth Mayo, Department of Psychology, The Hebrew University

セッション 5 – フェイクのための、または反対する活動

真実のためのクラウドソーシング

  • Inbar Yasur, Information Specialist, Expert in Disinformation and Networks of Influence
Tomer Avital, Independent Journalist and Social Activist – Image by Gilad Kavalerchik, CC BY-SA 4.0

書籍への注目:イスラエルのフェイクニュースとメディア不正操作にいかに対処するか

  • Tomer Avital, Independent Journalist and Social Activist

データ分析による不正操作と影響の早期発見

  • Gil Feldman, Expert in Data Processing and Information Analysis

偽情報がどうやって世界最大の脅威になったか – どうやってそれを克服するか

  • Achia Shaz, CEO Fake Reporter
Image by Gilad Kavalerchik, CC BY-SA 4.0

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