ウィキメディアンによる「みんなの森 ぎふメディアコスモス」訪問記

稲門ウィキペディアン会の Eugene Ormandy です。2024年7月、岐阜県岐阜市の複合施設「みんなの森 ぎふメディアコスモス」内にある岐阜市立中央図書館を訪問し、所蔵資料を活用してウィキデータを整備したので、その模様を記します。ウィキメディアンによる図書館の活用事例に関心がある方のお役に立てば幸いです。

経緯

所用で岐阜県岐阜市を訪れたので、空いた時間にぎふメディアコスモスに行きました。運動がてらJR岐阜駅から歩いて向かったのですが、30分ほどかかりました。到着した頃には、暑さと空腹とで少々バテ気味に。バスで行くことをオススメします……。

館内散策

その後は涼みながら館内を散歩。公式サイトのフロアマップにあるとおり、岐阜市立中央図書館は、円形のスペースがいくつか集まった泡のような構造をしています。ユニークな意匠と暖色系の照明も相まってとてもオシャレなのですが、動線がかなり独特で、正直なところ「方向感覚が狂うな……」と感じてしまいました。実際、集中して読んでいた資料から顔を上げた際、自分が図書館のどの位置にいるのか一瞬わからなくなりました。「初めて来た人はみんな迷うんじゃないかしら？」といらぬ心配すらしてしまいました。

ウィキデータの編集

閑話休題。せっかく旅先の図書館を訪れたので、所蔵資料を使って何かしらウィキメディア・プロジェクトを編集することに。百科事典のウィキペディアをガッツリ編集する気力はなかったので、手軽に編集できるウィキデータに着手することにしました。

ネタを考える余力すらなかったので、編集対象はとりあえず「みんなの森 ぎふメディアコスモス」に決定。館内OPACで「みんなの森 ぎふメディアコスモス」と検索したところ、新聞記事のスクラップブックを発見したので書架からピックアップしました。その後、持ち込みパソコン席を予約し、自分のPCを用いた編集作業に移りました。

まずはウィキデータ「みんなの森 ぎふメディアコスモス (Q24861909)」が存在することを確認。その後、情報を追加する際の出典として使えそうな資料を探すため、スクラップブックをパラパラとめくりました。すると早速、同館が2022年度の「Library of the Year」を受賞したことを報告した毎日新聞の記事を発見。この情報は上記ウィキデータに記載がありませんでした。あっという間に良さそうな出典が見つかったので、この後対応すべきタスクを脳内で洗い出しました。

• ゴールはウィキデータ「みんなの森ぎふメディアコスモス」に受賞関係のプロパティを設定し、値として「Library of the Year」を入力すること。そして、出典は当該新聞記事のウィキデータとする。
• まずは「Library of the Year」のウィキデータが存在するか確認。なければ立項。
• 次に当該新聞記事のウィキデータがあるか確認。おそらくないので立項することになるだろう。
• 新聞記事のウィキデータは立項したことがないので、ウィキデータ・クエリ・ビルダーを用いてサンプルを確認。

その後は、淡々と上記タスクを処理しました。「Library of the Year (Q1244045)」のウィキデータおよびウィキペディア記事（日本語）は存在しましたが、当該新聞記事のウィキデータは予想どおり立項されていなかったので、ウィキデータ・クエリ・ビルダーを用いてサンプルを確認することに。具体的には「プロパティ『分類 (P31)』が『ニュース記事 (Q5707594)』の値を持つもの」という条件でピックアップし、掲載紙の情報はプロパティ「この作品が含まれる作品 (P1433)」に記入することなどを確認しました。

ここからいよいよ当該新聞記事のウィキデータを立項……と思ったのですが「その新聞記事のウェブ版が存在するなら、わざわざ新聞記事のウィキデータを立項しなくても、情報源欄の『出典URL』プロパティにURLを入力すればいいよね」と気付いたのでさっそく検索。幸い、ウェブ版の記事「ライブラリーオブザイヤー　大賞に「ぎふメディアコスモス」　「子ども司書」と育む地域の未来」が存在しました。

ということで、こちらのウェブ資料を出典として、ウィキデータ「みんなの森 ぎふメディアコスモス (Q24861909)」に Library of the Year の受賞歴を追加しました。差分は以下のとおりです。

まとめ

みんなの森ぎふメディアコスモスを訪問し、所蔵資料を用いてウィキデータ「みんなの森ぎふメディアコスモス」を改善した過程をまとめました。正確に言えば、最終的に出典として用いたのはウェブ資料ですが、そのウェブ資料の発見をアシストしてくれたのは、同館が所蔵するスクラップブックでした。

夏バテ気味で大した編集はできませんでしたが、とりあえず何かしらの成果を出せてよかったです。皆様も酷暑にはお気をつけて！