ウィキマニア2024のプログラムが公開されたので予定を立ててみた(8月7日編)

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稲門ウィキペディアン会の Eugene Ormandy です。2024年8月にポーランドのカトヴィツェで開催されるウィキマニア2024のプログラムが公開されたので、参加するセッションの予定を立ててみました。

Uraniwa, CC0

ウィキマニアとは

ウィキマニアとは、年に1度開催されるウィキメディアンの国際会議です。毎年違う都市で開催されており、2024年は8月7日から10日にかけてポーランドのカトヴィツェで開催されます。詳しくは日本語版ウィキペディアの記事「Wikipedia:ウィキマニア」や、ウィキマニアの専用ページ「2024:Wikimania」をご覧ください。

カトヴィツェを走るトラム (Marek Mróz, CC BY-SA 3.0)

予定を立てた経緯

私は2023年にシンガポールで開催されたウィキマニアに現地参加しました。当地では、各国のウィキメディアンと友達になったほか、新しい国際プロジェクトを立ち上げることもできて大変有意義だったのですが、事前に予定を立てていればもっと色々学べていただろうなという反省もありました。幸い、2024年のウィキマニアも現地で参加できることになったので、今回はある程度予定を立てて臨むことにしました。

シンガポールで開催されたウィキマニア2023 (ZMcCune (WMF), CC BY-SA 4.0)

ウィキマニア2024のプログラム

ウィキマニア2024のプログラムは、eventday というプラットフォームで公開されています (https://wikimania.eventyay.com/2024/schedule/)。こちらを眺めながら、自分が参加するものを決めました。

Kasia Ostrowska (bazgra_nina), CC0

8月7日の予定

9:00-9:45

まずは “Wikimania 2024 Orientation” に参加します。こちらは全員参加のイベントです。なお、開会式後は、複数のイベントが別々の部屋で同時に開催されます。魅力的なものばかりなので、どれを選ぶか非常に非常に迷います……。

ウィキマニア2023の開会式の様子 (Mike Peel, CC BY-SA 4.0)

10:00-10:25

10:00-10:25 は、ニュージーランドの友人 Siobhan Leachman さんが講師を務める “Hidden Figures: creating a Course Based Undergraduate Research Experience (CURE)” に参加しようと思います。タイトルにある CURE の概要は以下のとおりです。

“The aim of this CURE is to train university students in data-sleuthing and Wikidata editing techniques to help ensure marginalised scientists get proper attribution for their scientific contributions, particularly specimens collected and identified by those scientists.”

私は自然科学には全く明るくないのですが、ウィキデータの活用事例や教育方法についてはかなり興味があるので、本プロジェクトを自分の活動範囲内でどのように応用できるかという観点から聴講しようと思います。また、時間があれば Siobhan のこれまでの活動についての予習もしておきます。

講師の Siobhan Leachman さん。(Ambrosia10, CC0)

10:30-10:55

10:30-10:55 は、ウクライナの友人 Anton Protsiuk さんが講師を務める “Ukrainian wiki community during the war: from short-term stitches to long-term adaptation” に参加しようと思います。戦時下でウクライナのウィキメディアンたちがどのような活動をしているのかについてのレクチャーです。参加にあたっては、ウクライナのウィキメディア・ムーブメントに関する多種多様な資料を改めて読み込んでおこうと思います。また、Anton は Diff に数多くの記事を寄稿しているので、そちらも再度チェックします。

友人の暮らす国が戦争に巻き込まれているという状況は非常に心が痛むのですが、一市民としてきちんと勉強してこようと思います。

講師の Anton Protsiuk さん。(ZMcCune (WMF), CC BY-SA 4.0)

なお、この時間帯には、マレーシアの友人 Ahmad Ali Karim さんと
Taufik Rosman さんの発表 “2 Years of WikiKata – Collaborative Efforts in Preserving Indigenous Languages” も予定されています。こちらも非常に参加したいのですが体は一つしかないので、後日アーカイブ動画を視聴することとします。

WikiKata Kensiu の様子 (Lim Natee, CC BY 4.0)

11:00-11:25

11:00-11:25 は Galder Gonzalez さんが講師を務める”Abstract Wikipedia and the dream of a Universal Language” に参加しようと思います。抽象ウィキペディア (Abstract Wikipedia) とは、ウィキデータを活用して、言語に依存しないウィキペディアを作成するというプロジェクトです。ある項目が自分の言語版のウィキペディアに立項されていなくても、抽象ウィキペディアにアクセスすればウィキデータ等を用いてその言語のウィキペディア記事を作り出されるというわけですね。

正直なところ、抽象ウィキペディアは乗り越えるべき課題が相当多いと私は思っていますが、本セッションの参加にあたっては「新しいものはとりあえず試してみよう」というオープンなマインドも忘れないようにしたいと思います。

Galder Gonzalez さん (Aida Kadrispahic for Wikimedia Deutschland e.V., CC BY-SA 4.0)

11:30-11:55

11:30-11:55 は、Lucie Schubert さんが講師を務める “National Library of the Czech Republic & Wikimedia Czech Republic – pioneering the collaboration of open” に参加しようと思います。ウィキメディアンが国立図書館のような大きな団体と協働するにあたり、どのような企画交渉が必要になるのか学びたいですね。私も東京国立博物館や東京外国語大学といった国立組織でエディタソンを継続して開催しているので、自分の方法論のアップデートに活用したいです。

また、ウィキメディアン・イン・レジデンス制度をはじめとしたチェコのウィキメディア・ムーブメントは前々から気になっていたので、これを機にきちんと情報を収集しようと思います。

Lucie Schubert さん (Jan Beránek, CC BY-SA 4.0)

13:30-14:55

13:30-14:55 は、Asaf Bartov さんが講師を務める “OpenRefine + Wikidata = ~*magic*~” に参加しようと思います。OpenRefine は大変興味があるツールなのですが、本稿執筆時点でまだ使ったことがないので、予習のうえ臨みます。「全ての日本の GLAM が OpenRefine を活用してウィキメディア・プロジェクトに資料をアップロードしてくれる未来が早く来てほしい……」と私は心から願っているので、そのお手伝いができるよう、まずは私がしっかりと学んでこようと思います。

Asaf Bartov さん (Jasanpictures, CC BY-SA 4.0)

なお、同じ時間帯には “Extracurricular Wikimedia organisations: how to connect universities with the movement” というセッションもあります。こちらは、世界各地の大学におけるウィキメディアクラブについての発表です。早稲田大学で早稲田Wikipedianサークルを立ち上げたウィキメディアンとしては是非参加したいところですが、OpenRefine のレクチャーを対面で受けられる機会も相当貴重なので、断腸の思いでアーカイブ視聴とすることに。

Extracurricular Wikimedia organisations の発表を担当する Nikos Likomitros さん (Jan Beránek, CC BY-SA 4.0)

15:30-16:10

15:30-16:10 は、Jose Ignacio Gallardo さんが講師を務める “Regional hubs within the Wikimedia movement: opportunities and challenges for open collaboration” に参加しようと思います。ウィキメディアンが集う地域ハブにどのような可能性があるのか、学んでこようと思います。

ちなみに、私は東アジア、東南アジア、太平洋地域のウィキメディアンが集う ESEAPハブに参加しており、2024年5月にマレーシアで開催された ESEAP Conference 2024 にも参加するなど、積極的にハブを活用していますが、ハブそのもの意義やガバナンスについて考えたことはあまりなかったので、これを機に知見を深めようと思います。

マレーシアのコタキナバルで開催された ESEAP Conference 2024 の様子 (Ahmad Ali Karim, CC0)

16:15-16:55

16:15-16:55 は、Eva Martin さんが講師を務める “Wikimedia Summit 2024 Follow-Up – Looking back and ahead” に参加ししようと思います。Wikimedia Summit とは、ウィキメディア運動提携団体(ボランティアのウィキメディアンが組織したグループのうち、ウィキメディア財団が正式に認めたもの。Wikimedia movement affiliates.)の代表者が出席する会議で、ほぼ毎年ベルリンで開催されていました。

このセッションでは、2024年4月に開催された Wikimedia Summit 2024 で行われた、ウィキメディアのガバナンスにまつわる議論およびその後の動向が紹介されるとのことです。私はガバナンス関連の動向には疎いので(全体に関わるルール策定よりも、少人数でサクッとプロジェクトをこなしていく方が個人的には好きなのです)、ある程度予習して臨もうと思います。

また、これまでサミットはベルリンで開催されていましたが、今後は別の都市で開催されることになったとのこと。そちらの動向については、先述の ESEAP Conference 2024 でも多少耳にしましたが、どのような正式決定がなされたかはまだ把握していないので、これを機に確認しようかと。

ベルリンで開催された Wikimedia Summit 2024 の様子 (Ekvidi, CC BY-SA 4.0)

17:00-18:55

17:00-18:55 は、全員参加の “Opening ceremony + Wikimedian of the Year Awards” へ。今年度は誰がウィキメディアン・オブ・ザ・イヤーに選出されるか楽しみです。昨年度の受賞者として、今年度の受賞者と個人的にお話しできるといいなとも期待しています。

ウィキマニア2023で行われた、ウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー2023授賞式の様子。(Syafiq.y, CC BY-SA 4.0)

その他

ランチやセッション後の時間も、色々なウィキメディアンと交流できればと思います。また、2023年ではセッション中であっても、会場内の別スペースで様々な国の人たちとおしゃべりができたのですが、このおしゃべりをきっかけとして国際交流プロジェクトが生まれたりもしたので、今回も自分が立てた予定にギリギリ縛られることなく、コミュニティ全体にとっての利益が大きくなるよう臨機応変に動いてこようと思います。

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