祝世界人権デー75周年:持続可能な未来を築く知識とは

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第5位入賞作品。ウィキ・ラブ地球2023写真コンテスト併設「人権と環境」特別推薦賞。(Human Rights and Environment) 写真作品、撮影者は JC Ferreira – FotografiaCC BY-SA 4.0.

12月10日は世界人権デー、そして国際連合の世界人権宣言(UDHR)75周年の日でもあります。ウィキペディアによると、この宣言は「すべての人の権利と自由を定めた」ものです。この画期的な文書を世界で祝賀する一環として、人権のためのウィキ(※1)というキャンペーンが2024年に5回目を迎え(※1=WikiForHumanRights)、サイクルの一段落を見ることをウィキメディア財団一同、嬉しく感じております。

2019年以来、人権のためのウィキ・キャンペーンは国際連合人権高等弁務官事務所(UNHCHR)と提携し、ウィキペディアに載った人権関連トピックを改善するという取り組みをウィキメディア運動として支えてきました。当キャンペーンは2021年、国際連合がその当時に批准したばかりの健康的な環境の権利に焦点を移し、人権と気候変動、持続可能性が力強く交わる点を探りました。ウィキメディアの世界中の主催者と提携団体はこの複数の話題の交差点から活力を受け、このテーマに沿ってキャンペーンを重ねて、気候変動と環境汚染と生物多様性の喪失という「地球の三重の危機」、それが人権と自由に与える影響を掘り下げてきました。

こうした知識のギャップに対処しようと、ここ数年の間に多様なコミュニティ戦略があちこちの地域で生まれており、2024年のキャンペーンではそれらのサポートに重点を置き、特定の状況で貢献を活性化させた地域の発明とキャンペーン戦術を称賛する予定です。2024年5月から7月にかけてコミュニティのイベントを開催し、ウィキペディアのひとつでも多くの言語版で世界人権宣言に関する記事を改善すること、また翌2025年6月の世界環境デーの国際的なお祝いの準備にも取り組みます。

人権のためのウィキ2024は包括的なテーマとして 持続可能な未来に必要な知識 をかかげ、従来はウィキメディア財団主導によるキャンペーン促進でしたが、ウィキメディア運動組織や地域キャンペーンが担い手となり、持続可能性と環境に関する知識のギャップにもっと焦点を当てて主催の権利分散する移行期に入ります。

この4年で得た学びとは?

ポルトガル語圏のキャンペーンで採用したバナーの例、2023年、撮影者は CalliandraDysantha CC-BY-SA 4.0

キャンペーン全体では、ウィキペディアの60超の言語版で数万件の記事が改善され、人権と環境問題に関するウィキデータの項目もウィキメディア・コモンズの掲載も改善されました。ただし私たちにとって、ウィキメディア運動がこれらの問題に取り組む方法が変わったという重要な影響こそ肝心なのです。3年前と比べるとウィキメディアンは「持続可能な開発を目指すウィキメディアン(※2)」というひとつの分散型グループを介して活動し、人権のためのウィキのイベントを地域単位で共同で調整する実践の場に成長しました(※2=Wikimedians for Sustainable Development)。

これらのトピックは概念として整理したり対処するのが簡単ではありません。ユーフェミア・ウワンドゥさん(※3)2023年キャンペーンに関してブログに投稿し、コンテンツの共同作成に取り組むウィキメディア・コミュニティには、それをサポートする地域コーディネーターが重要だと強調しました(※3=Euphemia Uwandu)。ウィキメディアの地域コミュニティが気候変動や人権など難しいトピックに取り組むには、記述する言語やトピック、技能に補佐が求められます。人権のためのウィキは、主題とするトピックの扱い方をそれぞれがどう学ぶかばかりではなく、さまざまなコミュニティ同士で協力し、リスト作成やイベント企画、情報発信戦略など、戦術と技能を共有することにも重点を置いています。

ポルトガル語話者とスペイン語話者のコミュニティ、特にアフリカと中東、アフリカ北部のコミュニティでは人権のためのウィキ・キャンペーンを介して、コミュニティが一般の人々と環境危機をめぐる現状の問題によって生存をおびやかされつつあると話し合う機会が生まれました。ポッドキャストやインターネット・ラジオのインタビュー、動画配信などの広報活動から、より実践的な編集大会や写真ウォーク、カンファレンス(国際大会)、生物多様性ハイキングまで — 私たちは人権や気候、持続可能性に関する正確で信頼できる情報を求めてウィキメディアのプロジェクトを利用する一般の人々に働きかけています。 

昨年のキャンペーンに参加したコミュニティがどれほど多岐にわたるか、こちらのビデオで確かめてください。

皆さんの地域がかかえるニーズをキャンペーンの中心に  

2023年の地域コーディネーターが集まり、それぞれのコミュニティにキャンペーンが及ぼした影響を話し合った。

このキャンペーンはそもそも世界と国際連合人権パートナー関係に応じて成り立ち – それをサポートする過程では、ウィキメディアのコミュニティという特別な魔法を中心に据えることを学びました。つまり地元および地域の組織コミュニティを支援し、気候と持続可能性の影響をめぐるさまざまなストーリーを効果的に伝えるように行動を促すには、どのような方法で知識のギャップを埋めるかが主題です。

さて、今年のキャンペーンはわずかながら例年とは異なります。一点集中型の作文コンテストを中止する理由とは、規模が大きめの言語コミュニティの多くで人権と環境に関する知識の核となる概念のほとんどがきちんと伝わったと確信したからです。その代わり、私たちは地方および地域レベルで活動し、公共の知識として持続可能な未来を想像できるように取り組みます。この理由に従い、地方および地域のイベントにのみ焦点を当てて地元の知識のニーズに応えていきます。

本年は地域調整をサポートする予定で、アラビア語圏、中央および東ヨーロッパ(CEE)、ラテンアメリカ(LATAM)、アフリカ北部とサハラ以南アフリカなど、世界のその他の地域のイベントが対象です。ご自身の環境で地域イベント開催をしたいと思われたら、Telegramチャンネルに参加するかcampaigns@wikimedia.org 宛にメールでご連絡ください。

皆さんのコミュニティで活動の実施を希望していて、今年のキャンペーンのため迅速助成金を受けようとしている場合は、今後 3 ヵ月以内に応募できるサイクルは2回あります。1番目の応募〆切は1月15日、資金は4月には届きます。2番目の応募期限は4月で、6月までに資金を入手できます。詳細はメタウィキのページ でご確認願います。

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