ユージン、タウフィク、ジャナのウィキマニア2024レポート

Translate this post

註 : 本稿は英語版 Diff に寄稿された下記の記事をWadakuramonが日本語に翻訳したものです。

Eugene Ormandy, Tofeiku and Kurmanbek (2 October 2024) “Wikimania 2024 report from Eugene, Taufik, and Caner” Diff.

この記事では、日本のユージン・オーマンディ(User:Eugene Ormandy)、マレーシアのタウフィク・ロスマン(Taufik Rosman)、そしてトルコのジャナ(Caner)が、ポーランドのカトヴィツェで開催されたウィキマニア2024での経験を紹介します。これは私たちが2回目に対面で会った機会でした(初回はシンガポールでのウィキマニア2023)。

左から右へ: タウフィク・ロスマン、ユージン・オーマンディ、ジャナ。 (Rafli Noer Khairam, CC BY-SA 4.0)

著者

ユージン・オーマンディ(User:Eugene Ormandy): 稲門ウィキペディアン会メンバー、ウィキメディア日本マレーシア友好会およびウィキメディア日本トルコ友好会の創設者の1人。2023年新人賞受賞者。

ウィキマニア2024でのユージン・オーマンディ (Ahmad Ali Karim, CC0)

タウフィク・ロスマン(Taufik Rosman): Wikimedia Community User Group Malaysiaメンバー。ウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー2023受賞者。

タウフィク・ロスマン (Don Wong for Tiny Big Picture, commissioned by The Wikimedia Foundation, CC BY-SA 4.0)

ジャナ(Caner): Wikimedia Community User Group TurkeyTurkic Languages User GroupCEE Youth Group、そしてCommunication committeeのメンバー。イスタンブール・ビルギ大学ウィキ学生クラブ創設者、ウィキメディア日本トルコ友好会創設者の1人。最優秀メディア貢献者賞2024受賞者。

ウィキマニア2024でのジャナ(User:Kurmanbek) (Ahmad Ali Karim, CC0)

Q1 ウィキマニア2024で何を学びましたか?

User:Eugene Ormandy: 役に立つ編集ツール、GLAMとウィキメディア・ムーブメントとの協働、ウィキメディア・プロジェクトでの言語保存、いろいろな国でのオープンカルチャー・ムーブメントなど、様々な事を学びました。中でもとりわけ印象的だったのが、全ての参加者がなにかしらの「専門家」であったことです。ウィキマニアは、ウィキメディア・プロジェクトやウィキメディア・ムーブメントについて知りたいと思っている人にとって、一つの理想的な場所だと思います。

ウィキマニア2024での講演「ウィキデータ・クエリ―・サービス ― ウィキメディアのナレッジグラフを最大限に活用する方法」 (Eugene Ormandy, CC0)

Taufik Rosman: 私は主に教育と言語に関連したセッションに参加しました。それらは私がマレーシアで行っているウィキメディア活動で重視している分野です。

Caner: 私はたくさんのセッションに参加し、たくさんの新しく興味深いことを学びました。しかし私にとって最も興味深かったセッションについてお話しします。

それは、ウィキメディア・チェコ共和国協会(WMCZ)が学生のための教育活動で使っている教材についてのセッションでした。WMCZには3つの訓練プログラムがありました。「教育プログラム」、「コミュニティのためのプログラム」、そして「連携のためのプログラム」です。教育プログラムの中で、「メディア教育」の詳細についての説明がありました。彼らはウィキメディア・プロジェクトが、メディア教育の強力なツールであると明言しました。彼らはこの教育の一環として、プラハとブルノの将来の大学図書館員に向けた教育とワークショップを企画していました。

Kurmanbek, CC BY-SA 4.0

私にとって最も興味深かったのはウィキ教育ハンドブックで、それは私がトルコで長い間考えていたものでした。この教育ハンドブックには、教師のための5つの活動が書かれていました。私はWMCZのこのプロジェクトに関わっている人たちと話して、より詳しい情報を知りたいと思いました。それはトルコでウィキペディア教育プログラムのために同様のハンドブックを作る際に参考になると思います。

Q2 ほかのコミュニティのウィキメディアンと、ウィキマニア2024でどのように交流しましたか?

User:Eugene Ormandy: 私は世界中の人たちと友達になり、興味を分かち合いました。何か新しいことを学ぶのに、これはすばらしい機会です。それから、私が以前に参加したウィキマニア2023ESEAP2024会議で出会った人たちと再び会うことができました。私たちは再会を喜び、最近の活動をシェアしました。こうした嬉しい再会は、ウィキメディア・プロジェクトを編集したりウィキメディア・ムーブメントに参加したりする大きなモチベーションだと私は思います。

WikiMedistas Wayúuから来た新しい友人Leonardi Fernándezと (User:Tofeiku, CC0)

私にとってとても嬉しかったのは、他に参加した日本のウィキメディアンたちもまた、国際交流をしてくれたことです。一般的に、日本のウィキメディアンたちは国内でたくさんのウィキメディアイベントを開催しているにもかかわらず、「グローバル」なウィキメディア・ムーブメントには参加していませんでした。これが変化しつつあるのを見て嬉しかったです。

インドネシア、マレーシア、トルコ、そして日本のウィキメディアンたち (Rafli Noer Khairam, CC BY-SA 4.0)
日本とアルゼンチンから来たウィキメディアンたち (Eugene Ormandy, CC0)
ウィキオーケストラに参加した日本のウィキメディアン (Le Commissaire, CC BY-SA 4.0)

Taufik Rosman: たくさんのウィキメディアンたちに初めて会い、以前の会議で知り合ったウィキメディアンにも会うことができました。世界中のお菓子やウィキメディアグッズが置かれたコレクターズルームでの新しい出会いも楽しかったです。

Caner: 私にとってウィキマニア2024カトヴィツェは、ウィキマニア2023シンガポールで築いた友情をより強くし、新たな友人を作る機会でした。日本やマレーシアのウィキメディアンと出会えてとても嬉しく、またユージンやタウフィクとの旧交を温めることができました。

インドネシアから来た友人Raflinoer32と私(EmpAhmadK, CC0)

そして今年は、アルメニア、インドネシア、ウクライナ、ギリシャ、キルギス、チェコ共和国、ポーランド、その他たくさんの国々のウィキメディアンと出会いました。私はこれらの友情が友情にとどまらず、「開かれた協働」というテーマを思い起こさせる協力活動につながるといいと思っています。

NikosLikomitros, CC0

マレーシアとインドネシアのコミュニティと良い連携を始める日も近いでしょう。ウィキメディア・ムーブメントの中で新しい友人を作り、これまでの友人との友情を強化していくことは、このムーブメントの中でもっと活動していく意欲を高めてくれます!

Q3 ウィキマニア2024で最も驚いたのは何ですか?

User:Eugene Ormandy: 言うまでもなくそれは、ジャナがウィキメディアン・オブ・ザ・イヤーの一つである、最優秀メディア貢献者賞を受賞したことです。彼の実力と活動を尊敬していたので、ジャナはまもなく受賞するだろうと確信していましたが、彼は私とタウフィクに対し「今年は受賞しないよ」と会議の直前に言っていたのです。僕たちをだました彼にお菓子をおごってもらわねば!

ジャナは最優秀メディア貢献者賞2024に選ばれた! (Le Commissaire, CC BY-SA 4.0)

Taufik Rosman: もちろん私は友人のジャナがここで最優秀メディア貢献者賞を受賞してびっくりしました。彼は冗談めかして、今年は賞がほしいなあ、と言っていたのを覚えています。彼のデザインは素晴らしいし、私は彼にいくつかデザインをたのんだことがあります。

Caner: 私の10年間のウィキメディア・ムーブメントの中で、ジミー・ウェールズから最優秀メディア貢献者賞を贈られたのが、何より一番の驚きでした。私はウィキメディア・ムーブメントの中でコミュニティの文化を維持するデザインを創り続けていましたが、この受賞は全く予想していませんでした。2023年にウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー受賞者タウフィクと、同じく新人賞受賞者ユージンに会った時、来年は私も賞を取りたいと思いました。

Niccolò Caranti, CC BY-SA 4.0

Q4 ウィキマニア2024の後であなたは何をしますか?

User:Eugene Ormandy: 編集者としては、OpenRefineのような便利なツールを使って、ウィキデータでもっともっと貢献したいと思っています。イベント主催者としては、ウィキメディア日本マレーシア友好会と、ウィキメディア日本トルコ友好会の活動をいろいろと進めていきます。ウィキマニア2024直後の友好編集月間2024年9月もその一つです。さらに、イスタンブールで開催されたCEE Meeting 2024に日本から参加し、多くのウィキメディアンと交流しました。

私はこうした活動が、ESEAPハブ(東アジア、東南アジア、太平洋地域)とCEEハブ(中欧、東欧地域)の連携を強化することになるのを望んでいます。

それに追加して、2023年新人賞受賞者として、私は歴代のウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー受賞者と連絡をとりたいと思っています。なので受賞者どおしの交流企画を立てています。彼らの知識、経験、そして情熱は、必ず私を力づけてくれるでしょう。

ウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー2024受賞式での、ウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー2023受賞者 (Eugene Ormandy, CC0)

Taufik Rosman: 私はウィキマニア2024で出会ったウィキメディアンたちと、ウィキメディアでの友好とマレーシアとの協働を進めるのを約束しました。会議後にすぐ、利用者グループのためのたくさんの報告書と申込書に集中します。ウィキマニアは私にとって、これらの書類に向かう前のつかの間の休憩でした。この会議ではたくさんのアイデアを思いつきました。例えば、来年の年次補助金申込書のための連携を加える必要があります。また次のイベントのための大使館のような提携者にプロポーザルを書かねばなりません。

Caner: 今年のウィキマニア後には、既に知り合ったウィキメディアンと更に協働を進め、新しい友人たちと新たな協力関係を築く計画です。私はCEE Meeting 2024イスタンブールの主催チームのメンバーとしても活動しました。さらに、トルコのウィキ学生クラブの2024年ー2025年度の活動をサポートしなければなりません。ほんとうに、学生クラブは今年たくさんの優れた活動をしてくれるでしょう。

Wikimedia CEE Meeting 2024 Istanbul 集合写真 (Adem, CC BY-SA 4.0)

Q5 誰かが「ウィキメディア財団はなぜウィキマニアの開催に大金を使うのか」と言ったら、あなたは何と答えますか?

User:Eugene Ormandy: その理由は、ウィキマニアを支援することが、ウィキメディア・プロジェクトとウィキメディア・ムーブメントを持続可能としていくための最善の方法のひとつだからです。このイベントは、ウィキメディアのネットワークに属しているという感覚を育むことで、ウィキメディアンたちがより学び、編集を続けていくようになります。これが、ウィキメディア財団とボランティアたちが毎年大きなイベントを真剣に開催し続ける、大きな理由です。

Wikimania 2024 集合写真 (Patryk Kajdrowicz for 24klatkifilmy, commissioned by the Wikimedia Foundation, CC BY-SA 4.0)

Taufik Rosman: これはウィキメディア・ムーブメントにとって重要で、ウィキメディアの会議の中で最大のイベントなので、個人的にはそのようには(訳注:大金を使っているとは)考えていません。私はウィキマニア2024の数か月前に地域の会議を主催した経験から、特にこの規模の会議を運営することの大変さがよく理解できました。

私はユーチューブのヴィデオ動画で、ウィキペディアにはたくさんのお金がある、というのをよく見ます。お金はウェブサイトの維持にかかるだけでなく、より多くの編集者を集め、内容の格差を縮めるために、ウィキメディアの組織やそれに関わるたくさんのボランティアを支援するためのものです。

Caner: 私はウィキマニアがウィキメディアンにとって必要なイベントだと思います。一番簡単な例を挙げれば、日本とトルコ、日本とマレーシアの友好プロジェクトは、ウィキマニアのおかげで発足しました。もし私たちがウィキマニアで出会わなかったら、こうしたプロジェクトは思いつきもしなかったでしょう。これはまたウィキメディアンどおしが経験を交換するのにとても役立つイベントです。私たちは何十もの異なった話題のセッションでたくさんの興味深い知識を学び、他のコミュニティの活動について直接知ることができるのです。

Can you help us translate this article?

In order for this article to reach as many people as possible we would like your help. Can you translate this article to get the message out?