イスラエル―パレスチナ危機に関してのウィキメディア財団の最新情報

元記事:2023年12月1日配信

知識へのアクセスは基本的人権です。知識の自由な共有をグローバルミッションに掲げるウィキペディアを運営する非営利組織として、ウィキメディア財団は現在進行中のイスラエル―パレスチナ危機の影響を深く憂慮しています。私たちはこの地域のウィキメディアコミュニティを支援し寄り添います。本日、ウィキメディア財団はこの危機に関連する種々の活動の最新情報をボランティアの皆様に提供いたします。

10月7日以来、私たちはエスカレートしていく戦争を注意深く観察していました。紛争の最中には、最新で中立的情報への確実なアクセスが命にかかわることがあります。これは、世界中のボランティアコミュニティにより実施されているウィキメディアプロジェクトの活動の中でとてもはっきり見られました。彼らは常に有用な情報を注視し、ウィキペディアに正確に反映させ、それを求める人々に提供しようと奔走していました。

紛争に関係したウィキペディアの記事は、世界中から膨大な数のベージビューを得ています。これらの (多言語版の) 記事は、紛争の多くの時点をとらえ、その歴史と現状を伝えます。英語版ウィキペディアの危機に関する主要記事には、およそ1,000人のボランティアが寄稿しており、それは現在75の言語で読むことができます。危機をカバーする彼らの活動はウィキペディアの編集方針に基づくもので、そこでは「公正で、中立的で、編集バイアスを交えない」情報を提供するものです。また全ての情報はウィキペディアの「検証可能性」に基づく、信頼できる典拠情報に裏付けられたものです。英語版ウィキペディアの主題記事は、800以上の引用先があります。

ウィキメディアプロジェクトを支援するという中心責務の他に、財団はガザでのインターネットアクセスを中断させずに通信を維持する事にも注力しています。ガザ内部では広範囲に及ぶ通信とインターネットの断絶があり、それは電力設備の破壊も含むもので、ガザとイスラエルの教育研究施設もまた破壊や破壊が起きています。ウィキメディア財団はインターネット回線中断に反対する「#KeepItOn連合」にこの度参加しました。それに加え、私たちは以前より「自由オンライン連合」に加わり、ガザのインターネット回線を維持するための各国政府の外交活動について協力を続けています。そしてこの地域でのウィキペディアの利用状況に関するデータを同連合や他の協力機関と共有しています。

ウィキメディア財団の人権チームは、法律、偽情報、グローバルアドボカシ―、技術、コミュニケーションなど専門知識集団の、組織を横断するワーキンググループを率いています。グループの焦点は、特に最も直接影響を受けているスタッフとボランティアの安全です。同グループの支援は次の通りです。

・アラビア語とヘブライ語版ウィキペディアプロジェクトのボランティア管理者とコミュニティメンバーに対して、継続的に働きかけ、支援を提供し、安全を確認し、人権および信頼・安全チームを通じて支援が可能であることを伝えている。

・インターネット遮断時にコミュニティメンバーが、どうのように連絡を維持できるかについての情報をまとめた包括的ガイドを作成、出版、共有する。

・ガザにおけるインターネット規制の撤廃を求める声明を最近出したグローバル・ネットワーク・イニシアティヴとの協力活動。

・財団の偽情報チームおよび信頼と安全チームを調整し、ボランティア、スタッフ、提携機関からの紛争に関係する報告に対応する。これらのチームは特に英語、アラビア語、ヘブライ語、ペルシア語の危機に関係した記事を監視し、内容が組織的に改変されるのを保護している。

・財団にとって主要なリスクである、スタッフとボラティアの身体的安全、組織的偽情報キャンペーンのリスク、サイバー攻撃に関して、徹底的に人権擁護に務める。

・学術研究者と協力して、ウィキメディアプロジェクトにおける潜在的な悪意ある活動の理解と可視化に務める。

・ウィキメディアプロジェクトの内容を更新するための信頼できる情報源を認識するコミュニティを支援する。

・ボランティアによる人権についての懸念の通知や、支援要請に対応する「オープンチャンネル」(スタッフが常時監視) を維持する。

この危機はウィキメディア運動の多くのメンバー、特にガザやイスラエルにいる人々およびそこに深い関係を持つ人々ひとりひとりに大きな影響を及ぼしています。私たちはこの騒然とした時代を乗り越えこれらの人々とプロジェクトを支援し、ウィキペディアとウィキメディアプロジェクトを通じて信頼できる知識の果たす役割が以前に増して重要であることを再確認しています。

支援求めるウィキメディアンの皆さん、あるいは支援を提供するその他の方法について提案のあるウィキメディアンの皆さんは、いつでも人権チームにご連絡ください。

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