東京23区の公共図書館をウィキペディアの編集に活用するシリーズ第12弾。今回は豊島区立池袋図書館を訪問しました。
執筆にあたって
図書館の意義が問われる時代です。出版不況が続き、オープンアクセス化が推進され、人工知能が台頭する現代において、図書館はどのような存在であるべきなのでしょうか。
それを探るためには、図書館の活用記録、すなわち「図書館のおかげでこんなことができた」という記録が、様々な観点から作成される必要があると私は考えています。未来を描くためには過去を知る必要がありますし、過去を知るためには資料が必要だからです。
そのような思いで「東京都の公共図書館をウィキペディアの編集に活用する」シリーズを立ち上げました。このシリーズでは、私 Eugene Ormandy が東京23区の様々な公共図書館を訪問し、その資料を活用してウィキペディアを編集する模様を、ウィキメディア財団のブログ Diff にまとめます。
本シリーズが、図書館の意義や未来を探るための参考資料となれば幸いです。
事前準備
編集するトピックは、池袋図書館が作成しているパスファインダーから探すことにしました。具体的には、池袋図書館のウェブサイトに掲載されている『ふくろう通信』2020年9月号に目を通し、豊島区立郷土資料館について編集することに決めました。
図書館訪問
池袋駅で下車し、15分ほど歩いて池袋図書館へ。繁華街から少し離れた、落ち着いた場所にあります。

入口にはチラシが置いてありましたが、他の図書館に比べて種類は少ないかなと感じました。また、入口横には、江戸川乱歩の特集や、東京都地域資料の棚がありました。郷土資料が入口に置かれているのは、珍しいなと感じました。
1階の書庫をぶらぶらしたのち、2階の「こどもの本・資料コーナー」へ。階段を登ってすぐ、教育関連のチラシが置かれていました。上池袋図書館を訪問した時のレポートにも書いたのですが、チラシを一箇所に集中させず、「このチラシはどのような人が必要としているのか」を考えて、様々な位置に置くのはとてもいい試みだと思います。
ただし、残念だったのはエレベーターがなかったこと。こればっかりは建物の都合なので仕方がないのですが、改善を期待したいですね。
いつもどおり、私が愛してやまないプロレス本のコーナーも確認。私が訪問した時は、7冊ほど置かれていました。『別冊宝島1248 格闘技 & プロレスマット界あの舞台裏が知りたい』のような、いわゆる暴露本があるのは珍しいなと思いつつ、『井田真木子と女子プロレスの時代』に目を通しました。
閑話休題。泣く泣くプロレス本を棚に戻し、1階のレファレンスカウンターで「豊島区立郷土資料館の歴史に関する記述がある本はありますか」と尋ねました。「しばらくお待ちください」と言われたので、閲覧コーナーで新聞を読みながら待機していたところ、数分後に郷土資料館の紀要や年報を紹介してもらいました。
その後、2階の机で資料を読みながら、ウィキペディア記事に使えそうな記述をピックアップ。有用な記述を全て収集しようとすると、かなり時間がかかると感じたので、開館前史の情報のみピックアップしました。なお、その場でウィキペディア記事の編集は行わず、スマートフォンのメモに情報を記入しました。
結局、図書館を訪問した数日後に、メモに基づきウィキペディア記事 [[豊島区立郷土資料館]] を加筆しました。差分はこちら。
まとめ
丁寧なレファレンスを行っていただき、とても嬉しかったです。エレベーターがないという欠点はありましたが、これは今後の行政に期待したいところです。