ウィキメディアESEAPの航海は地平線を超えたコラボレーションへ向かう

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元記事:Navigating Wikimedia ESEAP’s Voyage Towards Collaboration Beyond the Horizon / 10 April 2024 by Butch Bustria

知識と革新が絡み合うウィキメディアの巨大な生態系の中で、ウィキメディアESEAP地域連合は自由でオープンな共同作業の証拠として出現しました。このグループは、東アジア、東南アジア、そして太平洋地域の文化のモザイクですが、ウィキメディア地域ハブとして連携するための航海の途中です。

ささやかな揺籃期から現在の勝利に至るまで、ESEAPは嵐の中で挑戦を続け、発展のコースを描いてきました。ESEAPの物語は、知識の民主化へのゆるぎない貢献であり、連帯の力強さを示しています。

私たちは過去の歩みを掘り下げ、現在の活動を承認し、そして目標に挑戦する姿を示します。私たちは可能性の地平線を見渡します。そこには未来への大望が、ボランティアによるウィキメディアネットワークに不可欠な結節点を創設するという希望と共に植えられています。

各構成地域が集合する努力を讃えるこの物語の旅は、人間の知識の集合体へのESEAPの貢献に共鳴するものです。

ウィキメディア東アジア、東南アジア、太平洋地域の地域連合 (ESEAP) は、ウィキメディアの国別コミュニティ別の協会であるインドネシア、台湾、オーストラリア、韓国、タイ、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、ニュージーランド、香港、そしてベトナムにより構成されています。また、ブルネイ、カンボジア、中国、日本、ラオス、マカオ、モンゴル、パプアニューギニア、シンガポール、東チモール、そして太平洋島嶼国地域の国別あるいは非公式コミュニティも含みます。

ウィキメディア・アジア

2007年9月に、ウィキメディア・アジアプロジェクトの構想が初めて披露されました。2年後にメーリングリストが開始され、その数ヶ月後にメタ・ウィキのページが開設されました。

最初は交流会から始まった

アジアの人々による最初の即席交流会は、2010年春にドイツのベルリンで開かれたウィキメディア地域会合(これは後にウィキメディア会議となり、そしてウィキメディア・サミットに発展)で開催されました。この物理的な出会いは成功し、ポーランドでのウィキマニア2010で、また別の交流会が企画されました。最初のアジア交流会のイメージは、ワシントンDCでのウィキマニア2012で行なわれた簡単な昼食会でした。それはもともとは、ウィキメディアCCE会議2012と、イベロ-アメリカ・ウィキメディアサミット (Iberocoop) 2011に触発された、アジア地域会議に取り組むためのものでした。

ウィキメディア・アジア交流会、2012年、2013年、2015年、2016年、2017年

その結果、アジア・ウィキメディア交流会は香港でのウィキマニア2013に於いて常設の集まりとなり、ベルリンとミラノでのウィキメディア大会、ウィキメディアサミットでも行なわれました。しかしアジア地区会議は実現しませんでした。

「ESEA」という名称

2015年ベルリンでのESEA交流会

ロンドンで開催されたウィキマニア2014の中とベルリンで開催されたウィキメディア会議2015の中で、東アジアと東南アジアからの参加者たちが集まり、「地域のやり方で」連携する目的について話し合いました。このことは「ESEA集会」と呼ばれる地域会議の計画につながりました。オーストラリアが議論に加わり、ウィキメディア会議2017では太平洋地域がグループに加わってESEAP結成されました。

それ以来ウィキメディア会議ではこの計画が常に議論されるようになり、2017年にはインドネシアのバリ島でイベントを開催する計画の合意が達成されました。同年9月にESEAP会議のための助成金が提案され、同年11月にはウィキメディア財団により承認されました。

バリ島で公式に集う

インドネシア、バリ島でのESEAP会議2018

最初のESEAP会議は、2018年5月5日から6日にインドネシアのバリ島で開催されました。ウィキメディア・インドネシア協会が組織委員会をリードしました。このイベントには、オーストラリア、ブルネイ、カンボジア、香港、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、ニュージーランド、フィリピン、韓国、台湾、タイ、東ティモール、そしてベトナムから参加者が集いました。会議は成功し、地域の連携というコンセプトが進展しました。そこでは能力開発、アウトリーチ、ウィキペディアプロジェクトの推進などの興味深いトピックが発表され議論されました。

ESEAPの一つの定期プロジェクトとして、ウィキペディア・アジア月間が毎年11月に開催されるようになりました。

バンコクでの戦略会議、ウィキマニア主催、COVID-19、そしてヴァーチャル会議

タイ、バンコクでのESEAP戦略会議2019
2019年ストックホルムでの、ウィキマニア2020プレゼンテーション

次のESEAP会議は2019年にオーストラリア西部のフリーマントルで開催されることが決まりましたが、この年に書かれる運動戦略勧告に適応するために、2019年初期に助成金が凍結されました。地域会議の代わりとして、ウィキメディア財団は2019年6月にタイのバンコクで開催される戦略会議の中にESEAPを含めることを決定しました。ESEAPから提示された勧告のほとんどは、能力開発、パートナーシップ、そしてユニバーサル行動規範に関するものでした。

2019年3月にウィキマニア運営委員会は、ウィキマニア2020をタイのバンコクで開催することをESEAPに提案しました。計画では2020年8月にウィキマニア2020を開催し、ESEAP会議はこのなかに統合されることになりました。

2020年初頭、中国武漢市で発症したウィルス感染症は瞬く間に世界中に広がりました。ウィキマニア2020の計画も危うくなり、世界保健機構によるCOVID-19パンデミックに関する公式声明が出されてから、2020年に予定されたウィキメディアサミット2020を含むいくつもの会議が中止されました。ESEAPのウィキマニア運営チームはウィキマニアを2021年に延期すると苦渋の決断をしました。ウィキメディア財団は対面での集会への助成金支給の承認を停止し、すでに助成金を得ている国別協会や組織に対し、今後の通知があるまでは対面集会の開催を見合わせるよう要請しました。

運動戦略勧告が2020年初頭に発表され、「ハブ」の概念もこの勧告に含まれていました。ハブの勧告は、CEE、WikiArabia、Iberocoop、そしてESEAPのような地域的、テーマ的連携の出現に触発されたものでした。2020年8月、ESEAPは地域ハブ化を進めるESEAP地域連合の会議を、ヴァーチャルで行なうことを決定しました。それ以来毎月、ESEAPは地域に影響のある重要な主題についての会議、ワークショップ、訓練などをヴァーチャルで開催しました。そこにはウィキメディア財団やESEAP以外のメンバーも発言者として招待されました。ハブの話題は頻繁に議題にあがりました。

2020年12月、ESEAPウィキマニア・コア組織委員会は2021年に対面での会議を開催できるか疑念を持ち、コア組織委員会を解散して2021年の対面会議の開催計画を断念しました。ウィキマニアは2021年8月にヴァーチャルで開催されました。ウィキマニア運営委員会は2022年にハイブリッドのウィキマニアを開催することを決定しましたが、主体はオンラインでした。

ウィキマニア2022コア組織委員会の発足決定の後、ウィキマニア運営委員会はESEAPに対し、再度ウィキマニア2023を主催し物理的開催地を提案するよう申しでました。ウィキメディア・タイ協会は同月に、開催地をバンコクでなくもっと広い範囲で選定することがESEAPにとって賢明であると判断しました。

2022年5月、ESEAPはCOVID-19により中断していた対面集会の再開をウィキメディア財団が承認した後、地域会議を開催することを決めました。次の開催地はオーストラリアのシドニーで、ウィキメディア・オーストラリア協会が組織委員会をリードしました。2022年6月に提案が提出され、同月にウィキメディア財団から承認されました。

ウィキマニアの開催地として、ウィキメディア財団によるリスク評価がESEAPの9か国に対し行なわれました。第23回ESEAPヴァーチャル会議に於いて、ESEAPは選択肢を日本とシンガポールの2つの国に絞り、ESEAPのより広いコミュニティにメタ・ウィキ上でどちらにするか諮りました。コミュニティは圧倒的多数でウィキマニアを2023年北半球の夏にシンガポール開催することを決めました。ウィキマニア運営委員会はESEAPコミュニティの決定を支持し、ESEAPはウィキマニア2022の最終日に、シンガポールを開催地としたことをグローバルコミュニティに公表しました。

シドニーでのESEAP会議、そしてハブの種が撒かれた

roup photograph of attendees to ESEAP 2022, Reconnect taken outside the Aerial Centre of the University of Technology Sydney(UTS)
オーストラリア、シドニーで開催されたESEAP会議2022

2022年11月18日~20日に、第2回ESEAP会議がオーストラリア、ニューサウスウェールズ州シドニーで開催されました。会議のテーマは「再結合」で、ウィキメディア地域コミュニティのパンデミック後の重要な再会を示すものでした。会議で主に議論されたのは、ESEAPをウィキメディアの地域ハブに提案することと、シンガポールでのウィキマニア2023の計画でした。

会議の結果ESEAPハブ創設の宣言文を起草する暫定ハブ委員会の創設が指令されました。この宣言文は2023年6月にコミュニティに発表され、その後承認されました。宣言文はウィキメディアコミュニティ、関連団体、コンテンツ貢献者の連携ネットワークの中心的存在として、ESEAPハブの目的と方向性を示すものでした。宣言文の内容は次の通りです。

  • 使命と理想:ハブの目的は、ESEAP地域の人々が知識の総体を共有できるようにすることです。それは、知識は誰でも自由にアクセスできるという考えを推進し、言語、文化、地理、時間的制約を超えた協働と貢献を奨励します。
  • 核となる価値:ハブは正確で、信頼できる、包摂的な知識資源の発展と支援に取り組みます。その使命と理想を実現するために、協力とパートナーシップの重要性を強調します。
  • 戦略の方向性:ハブは市民団体、教育機関、NPO、その他の志を同じくする組織と協力し、全ての人々が自由でオープンな知識にアクセスし貢献できる環境を作りたいと考えています。

ウィキマニア2023:シンガポール

シンガポールで開催のウィキマニア2023において、ESEAP地域の発表者が質問に答える

2023年8月15日から20日まで、地域共同体が主催したウィキメディア最大のイベント、ウィキマニア2023が開催されました。会場はシンガポールの下街にあるサンテック・シンガポール国際会議展示場でした。アオテアロア・パシフィカのパフォーマンスウィキウェントによるサザウ、ボルネオのダンスなど、ESEAPの多様で豊穣な文化が紹介されました。地域の3人のウィキメディアンがウィキメディアン・オブ・ザ・イヤー2023に選出されました。ESEAP地域からの最初のウィキメディアン・オブ・ザ・イヤーには、マレー語ウィクショナリーと語彙データの開発とアウトリーチに貢献している、マレーシアの教育分野の学生、タウフィク・ロスマンが選ばれました。新人賞には、学生クラブを組織し日本語版ウィキペディアの内容を発展させ推進している、日本のユージン・オーマンディが選ばれました。桂冠賞には、オーストラリア・ニュージーランドコミュニティの中心人物で、長期間にわたりウィキメディアに貢献している、ニュージーランドのシボーン・リーチマンが選ばれました。

並行開催:シンガポールでのESEAP戦略サミット

East, South East Asia and Pacific Wikimedians (ESEAP) family photo in Singapore 2023
シンガポールで開催のウィキマニア2023のプレ会議として行なわれた、ESEAP戦略サミット

この年次大会と並行して開催されたのが、ESEAP戦略サミット2023でした。サミットでは、地域の協力者、コミュニティや関係団体のリーダー、ESEAP暫定ハブ委員会の後継者たちが、意義深い議論を交わしました。このサミットは、ESEAP地域から運動戦略のグローバルな会話に貢献する声を集めるよう計画されました。種々の主題地域に広がる、地域にとって関連性の高い戦略トピックが焦点でした。この協力環境は、ESEAP地域からの展望を伝え、地域内のコミュニティと協力者間の関係を強力にするためのものでした。イベントではESEAPハブの概要のセッションや、先行助成の必要性、ESEAPハブ内での役割と責任についての議論なども行なわれました。その結果、ハブの憲章や統治と政策決定構造を起草する準備会議が創設されました。

次のステップ:ハブ憲章と次の集会

ESEAP地域のウィキメディアンは、2024年5月10日から12日までマレーシアのコタキナバルで開催される第3回ESEAP会議に集まります。会議のテーマは「地平線を超えたコラボレーション」です。テーマが目指すのは、私たちの間に横たわる現在の境界を超えた、無限の可能性を讃えることです。会議はまた、これらの法定文書(憲章、統治と政策決定構造)を審議、批准し、地域ハブの将来を語り合う機会でもあります。

ESEAP会議2024ロゴ

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